概要

マレーシア政府派遣学部留学生 予備教育について

1981年12月にマレーシアのマハティール首相(当時)が打ち出した,「ルックイースト政策(Look East policy)」は,

個人の利益より集団の利益を優先する日本の労働倫理を学べというものであった。そのため,日本への派遣留学を受け入れるようマレーシア政府から日本政府に要望が出された。文部省はこれを受け入れ,可能な限り協力するが,マレーシア側でも準備を整える必要があることを伝えた。

そして,政府間で協議を行い,日本から教員を派遣し,マレーシアで大学学部留学生予備教育を行う事となった。

教育機関としては、マラヤ大学予備教育センター(Pusat Asasi Sains Universiti Malaya, 略称 PASUM)と、帝京マレーシア日本語学院(Institut Bahasa Teikyo, 略称 IBT)がある。

私たちの仕事に関して

RPKJの学生に対し,日本語を教える日本語教師団(以下,日本語科団員)と教科(数学・物理・化学)を教える教科教員団(以下,教科団員)が存在する。私たちは両方を合わせて,自らのことをAAJと呼称している。

教科団員は文部科学省から派遣されており,定員は20名(団長1名,数学10名,物理5名,化学5名)である。

任期は2年であり,毎年約半数が入れ替わるようになっている。基本的には、現職の高校教員である。

各教科の授業は,日本の大学(学部)での授業を支障なく受けられるような日本語能力と基礎学力をつける事を目標においている。

予備教育とは?

マレーシアの教育制度は,小学校6年・中等学校3年・高等学校2年である。大学へ入学する前に,1年間教育を受ける必要があり,これが予備教育となる。日本留学を志望する学生は,日本語及び日本語での数学・物理・化学の授業を1年ではなく2年間受けることになる。

AAJとは?

マラヤ大学(Universiti Malaya;略称UM)にある施設"Ambang Asuhan Jepun"の名称。日本語の正式名称は日本文化研究館。

マレーシア語の"Ambang Asuhan Jepun"は英語で"Gateway to Japan",日本語では「日本留学への入り口」を意味している。

また,マラヤ大学予備教育部日本留学特別コース(RPKJ)を指すこともある。どちらかと言えば,こちらを指す方が多い。

RPKJとは?

マレーシア語の"Rancangan Persediaan Khas Jepun"の略称。英語では"Special Preparatory Programme to enter Japanese Universities",日本語では「日本留学特別コース」の意味。

マレーシアで教えるにはどうすればいい?

教科教員(数学・物理・化学)は、例年、5月から6月頃に、文部科学省から各都道府県教育員会へ募集要項が回ってくる。この募集要項に則り応募することになるのだが、教育委員会からの要項が回っていない県もあるようだ。基本的には、現職教員が対象となっているが、退職教員にも声がかかることもある。また、複数の応募を認める教育委員会や、県内で選考を行い応募者を絞り込む教育委員会など、教育委員により様々な対応がある。募集要項と共に資料として、AAJ教員の作成したガイドブックが添付されている場合があり、派遣事業の詳細は、ガイドブックに記載されている。

11月頃には、文部科学省で選考(面接)が行われ、12月頃には、候補者に選ばれた方に通知が行われる。翌年の2月には、東京で研修が行われ、4月には出国をする。

日本語科教員に関しては、国際交流基金からの派遣となるので、そちらを参照いただきたい。