ロシア東欧コースではどんな授業が開かれているか
開講科目や卒業論文題目などからもうかがえるように、ロシア東欧コースは、ロシアと東欧のみを対象にしているわけではありません。旧ソ連邦に属していた地域、たとえばウクライナ、コーカサス諸国、中央アジアやシベリアも、その対象に含まれます。学べるジャンルは、文学、芸術、思想、宗教、政治、経済、歴史、社会、文化人類学など、広くかつ学際的です。
授業については、指導を行う専任スタッフ3名とロシア人教員を中心に、ロシア・東欧を専門とする他分科所属の専任教員の協力を得て、多様な科目を開講しています。非常勤講師の先生方のご協力に負う面も少なくありません。研究テーマによっては、卒論指導にもご協力をお願いしています。
科目履修は、基本的には3年から始めればよいわけですが、実際には内定生段階でかなりの科目を履修しているケースが多く見うけられます。
また、ロシア語学習歴が浅い学生にはロシア語集中コ一スを特別に開くこともあります。
言語科目は、東スラヴ語群のロシア語(ネイティヴ・スピーカーの授業が約4割)以外に、南スラヴ語群のセルビア・クロアチア語、西スラヴ語群のポーランド語などが、1、2年生向け三語と共通で開講されています。
特にロシア語は、会話、講読、作文などいくつもの授業があり、今までの卒業生は皆、これらの授業を通して、立派な卒業論文をロシア語で書く語学力を身につけています。しかも、その中には、内定生に決った2年次の後半にゼロからロシア語を始めた人も少なくありません。
ロシア東欧コース必修授業の概要(一部)
※年によって多少変わることがあります。
黛秋津教授「ロシア東欧歴史論」
<各回のテーマ>
キエフルーシの成立とモンゴル支配下のルーシ
モスクワの台頭と発展
17世紀ロマノフ朝の成立とロシア帝国の拡大
ピョートル1世の近代化とその後
オスマン帝国支配下のバルカン
「女帝の時代」のロシア
18世紀のバルカンとロシアのバルカン進出
ウィーン体制の中のロシア帝国
ロシアと「東方問題」
帝政末期ロシアの政治と社会
ロシア革命
浜田華練准教授「ロシア東欧文学テクスト分析(ロシア文学と宗教)」
<授業内容>
初回授業で、ロシア文学史とロシア宗教史の概説を行う。二回目以降、実際のテキストを読みながら、その都度文学史的・宗教史的観点からの解説を加える。取り上げるテキストとしては、トルストイ『三人の隠者』『戦争と平和』、ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』、『アヴァークム伝』、および「銀の時代」の詩などを予定している。
鶴見太郎准教授「ロシア東欧政治社会論」
<各回のテーマ>
ロシア帝国と民族
ソ連体制と民族
映画『ワレサ―連帯の男』鑑賞
体制転換と経済―ポーランドとロシア
共産圏崩壊と民族紛争―チェチェンとユーゴスラビア
現代ロシアの政治と外交
現代ロシアの社会と宗教
冷戦後の東欧国際関係―ウクライナとベラルーシ
歴史問題―バルト三国
ロシア東欧としてのイスラエル
ディアスポラのロシア人-イスラエル、アメリカ、ヨーロッパ