大学院への進学を希望される方へ

当研究室では主として西洋哲学の諸問題を研究対象としますが、哲学においては古今東西を問わず同じ問題が異なった形で出て来ているとも考えられますので、哲学の国籍や今昔は重要ではありません。各自が自分に合った哲学者ないし問題を選び、それを突破口として専門的な研究の道に入ればいいのです。たとえば、プラトン研究は現代の科学哲学の研究にもなりうるでしょうし、カント哲学研究は日本の倫理思想研究にもつながるでしょう。この意味では、あらゆる哲学の問題が研究の射程に入ってくるでしょう。当研究室では、それが哲学に関する問題であるかぎりは、何でも自由に勉強できるということなのです。

当哲学研究室での授業は哲学研究の訓練の場であり、その主たる目的は熟練した知的労働者(専門的な哲学研究者)の養成にあります。実際の授業の場では、古代から現代にいたる西洋哲学の基本的テクストの精読を行い、それを通して哲学の根本問題を自ら考えることを目指しています。当然のことですが、原典を読むために英・独・仏のほかにギリシア語・ラテン語の素養が要求されます。大学院生諸君は、いま述べたような演習・講義に出席し、リポーターになったり討論に加わったりすることによって、自らの哲学的レベルと研究の練度を高めることになります。

正規の授業の他に、前期課程の院生は修士論文作成に向けて年数回の研究発表をする機会があります。こうした場で教員や他の院生たちと忌憚なく論じあうことによって、またとりわけ関係する教員から個別的な研究指導を受けることによって、論文を仕上げていくことができます。

後期課程の院生は、単位に関わらず自分の専門に近い授業の幾つかに出席することが要請されています。それ以外に、一年毎に研究成果をまとめたDC認定論文を提出しなくてはなりません。さらに全国学会での発表が強く勧められ、発表の予行演習を兼ねた研究会が適宜もたれています。これらの研究活動が課程博士論文(後期課程入・進学後6年以内に提出)へと収斂されることになるのです。なお、当研究室は中部哲学会、名古屋大学哲学会の二つの事務局となっており、多くの院生がその機関誌に投稿するなど、学会運営に参画しています。

院生数は、ここ数年コンスタントに10名~15名程度です。出身大学は、東北、関西地方など広範な地域に及びます。近年修士論文のテーマとなった哲学者は、カント、フッサール、デカルト、ウィトゲンシュタイン、アリストテレス、プラトンなどであり、また心身問題をテーマとした学生もいます。