私たちは、平和の海のための島々の連帯の第5回国際平和キャンプに集いました。第1回目は2014年にカンジョン村で行われ、そして沖縄、台湾、石垣島へと私たちのキャンプは移動してきました。私たちは、共有している海域を平和の海にするため、島々と周辺地域から軍事基地をなくし非武装地帯にするという目標に向かって努力してきました。私たちは、言語、年齢、性別、国籍、背景の違いを超えた連帯と友情の絆でつながっています。多様性を取り入れながら、国家暴力、軍事基地建設、環境破壊、強引な軍事化、乱開発、貧富の不平等に直面している生命と民主主義の平和を守るという共通項で繋がっています。
2018年の平和キャンプのテーマは「私たちがグロンビだ」です。グロンビ岩は、カンジョン村の海岸線を取り囲む湿地帯、生息地でした。そこには絶滅危惧種の生物が生息し、住民や多くの生物にとって貴重な場所でした。しかし、現在は海軍基地のコンクリートに押しつぶされ苦しんでいます。私たちは、グロンビはいつか息を吹き返すと信じています。それは、私たちの闘いにとって、共通の大切なシンボルであり、エネルギーの源として存在し続けています。
私たちは、このキャンプを通じて連帯を築いた、チェジュや沖縄、石垣島、台湾、ハワイなどの島々から集っています。さらに、それらの島々だけではなく、朝鮮半島や日本、アイルランド、香港、カナダ、アメリカ合衆国からの仲間も共に行動しています。私たちはここチェジュ島に集まり、日本帝国主義の歴史;第二次世界大戦下のアルトゥ−ル飛行場の戦跡やアメリカ軍軍事政権下の1948年に始まった4・3事件の民衆蜂起と民間人虐殺のトラウマについて学びました。 そして私たちは、チェジュの海軍基地と第2空港、すなわち空軍基地計画、に対する闘争についてより深く理解するために、カンジョンとソンサンを訪れました。私たちは、カヤックや平和を求めるダンス、直接行動である人間の鎖、早朝にささげる百拝を共に行いました。島々の状況や現在と将来にむかって私たちに何ができるのかを話し、考え、インスピレーションを共有しました。
現在、ハワイ王国の中立性に反し、26の国々による海軍合同演習リムパックが2年ごとに行われています。ハワイ王国と呼ばれた島々は、1893年以来、アメリカ合衆国によって違法な軍事占領を受けています。そこでは、カナカ・マオリ(ネイティブ・ハワイアン)の独立とアロハ・アィナ(土地に対する愛)の闘いが行われています。ポハクロアやカホオラウェ、マウナケアなどの聖地が破壊に対する抵抗に、私たちも心を一つにします。
去年、ピースキャンプが開催された石垣島では、基地建設は喫緊の問題です。石垣島をはじめ琉球列島に自衛隊ミサイル基地建設を許せば、有事の際に攻撃の標的となりかねません。それにもかかわらず、2018年7月に石垣市は新基地建設に同意し、ミサイル基地建設が進められています。さらに、私たちは自然環境の破壊を深く危惧しています。石垣島は、世界でもっとも多くの観光客が訪れる島です。観光客増加に伴い計画されているいくつもの大型リゾート建設によって自然環境が破壊されることは避けられません。
世界の人々が、沖縄の人々と共に、沖縄の島々の軍事化に抵抗してきました。しかし、日本政府は、住民の声を全く聞き入れません。日本政府は、沖縄本島北部東村高江にはヘリパッドが建設中で、名護市辺野古では、新基地建設が進められています。去年のピースキャンプ以降、米軍用機による事故が多発しました。地元住民は安全な生活を求めて声を上げましたが、米軍用機は今も住宅や学校の上を飛んでいます。
台湾では平和運動に対する相対的な無関心は、なぜ住民が軍事利用を可能にする台東と台北の内湖の施設建設にほとんど関心を払っていないのか、なぜ海外での戦争に徴集された兵士の悲惨な歴史が注目されないのかという問題に結びつく。しかし、私たちは、台湾が軍事費を削減し、アメリカ合衆国との軍事演習への参加を拒否するよう主張し、教育を行うことで、住民の態度を変えることができる。無関係な者は誰もいない、という(台湾先住民運動の訴え)言葉にもあるように、私たちは、台湾の平和を目的にするだけではなく、アジア、そして世界の平和を望んでいます。
香港は現在国際都市として知られています。しかし、香港という名称と概念は1841年の大英帝国植民地時代にできました。その後、地理的優位性のために、香港は軍事的中継地となり、多くの戦争に巻き込まれました。このことは過去のこととして忘れさられています。今日の香港に住む多くの人びとは、この地域の軍事化と、香港の歴史が関連していたことを全く知りません。
私たちがチェジュ島で会した時、私たちはカンジョン村総会が2018年3月に決定した同年10月の軍艦寄港への反対決議に拍手を送りました。しかし、この決議は違法な手続きによって覆されました。それは、韓国星州ソソンリのサード配備のようであり、2018年4月27日の南北朝鮮首脳会談の精神に反しています。それは国際観艦式と呼ばれ、チェジュ島民を苦しめ、島の環境にも悪影響を与えます。100隻以上の軍艦が寄港することによるリスクを受け入れることができないばかりか、南北朝鮮首脳会談の精神を脅かすものです。悲劇的なことに、その国際観艦式の強行は、チェジュ島の軍事化を加速し、世界平和の島というチェジュ島のアイデンティティを裏切る行為です。私たちは、チェジュ島東部にあるソンサンの住民と連帯します。そこでは、チェジュ第2空港建設という名のもとに空軍基地建設が行われようとしています。その建設は島の環境を深刻に悪化させ、乱開発とさらなる軍事化によって島の未来を危険にさらすことになります。
これらの深刻な課題にもかかわらず、私たちは、私たちのビジョン、希望、そして平和な世界を求める情熱を含めた私たちの長所を祝福します。世界平和の島として、私たちはイエメンの戦争の暴力から逃れてきた人々を、チェジュが歓迎することを願います。私たちは、私たちの意識を向上させ、肯定的な変化をもたらすのに効果的な役割を担っている現在のさまざまな運動によって励まされています。
沖縄の辺野古における反基地運動においては、沖縄県知事が埋立て承認を撤回することを表明しました。これが意味しているのは、8月中旬に予定されていた辺野古の海を埋め立てる土砂の投入を止めることになります。そして私たちは、これからも新基地建設の中止を要求し、沖縄の軍事化に抵抗し続けます。さらに、私たちは台湾や韓国、日本、さらには東南アジア地域の反核運動から学び、共にすべての生命が生き続けるために必要な環境を守る行動にも関わっています。加えて、私たちは国連人権理事会の特別報告者アルフレッド・M・ザイヤス博士のハワイ王国の不正併合と違法な軍事占領の認識に賞賛を贈ります。
自然破壊を黙認すると言うことは、私たちの死を意味します。真の安全とは、平和と自然環境の保護なしにはありえません。軍事主義は生命を脅かし自然を破壊するのみです。海は私たちを、平和と共生共存のために連帯によって結びつける架け橋です。時間を掛けた私たちの平和へのたゆみない実践は変化をもたらすことにつながります。私たちは、教育や対話、異なる背景を持つ人びととの理解を通じて、地域主義と家父長制を拒否します。互いに学び合い、祈り合い、想像や創造性の力を受け容れ、団結と非暴力で立ち上がります。そして世界中の島々の軍事化に抵抗する人々と連帯します。
私たちは軍事主義の終焉を要求します。
私たちはリムパックの中止を要求します。
私たちは国際観艦式の中止を要求します。
私たちはチェジュ島の不当な再軍事化の終焉を要求します。
私たちは、高江や辺野古、与那国島の軍事基地建設の中止と石垣島、宮古島そして奄美大島の軍事基地計画とチェジュ第二空港建設計画の撤回を要求します。
私たちは乱開発をやめるよう要求します。
私たちは、島々の住民とその他の人々の権利を守るために、人間の尊厳、国際法、良心の政治を尊重することを要求します。