音楽の科学研究会

第33回 研究会

半年に一度継続できればいいな!ということで第33回を開催いたします。毎度この研究会では音楽の科学にかかわる幅広い研究が紹介されてきましたが、今回も多様です。研究者だけでなく音楽愛好家、音楽に関連した職業についておられる方などの参加者間の交流をはかりながら、学会の枠を超えて音楽の科学研究の知見を共有することを目的としています。当日、画面越しにお目にかかるのを楽しみにしております世話役:正田 悠・橘 亮輔・大澤 智恵

日時・場所

参加費・申し込み

プログラム

発表順は変更になることがございます。

橘 亮輔(東京大学)

松野純男・永井希佳・上羽悠雅・山本卓資(近畿大学)

北原 鉄朗・大下 沙偉・増田 航(日本大学)

総合討議

橘 亮輔(東京大学)、正田 悠(立命館大学)

オンライン 懇話会

(参加自由:こちらもオンラインで開催します。参加方法は当日ご案内いたします。)

講演概要

声の不安定性と柔軟性の関係:ヒトと小鳥のデータ

〇橘 亮輔(東京大学)

私たちは発声中に自分の声を聴いて発声を調整している。発声中に聴覚フィードバックのピッチを変えると、そのズレ分を相殺するように声を調整する。この補償反応の程度には個人差があり、完全に相殺するよう調整する人もいれば、少ししか変えない人もいる。実験によって、補償反応量がもともとの声の不安定性と相関することが分かった。一方、小鳥のさえずりを対象とした実験でも、声の不安定性が聴覚フィードバック操作に対する応答の程度と相関することが分かりつつある。ヒトとトリで共通した発声制御機構があるのかもしれない。


「リラックスラジオ体操」によるストレス軽減効果の検証

松野純男・永井希佳・上羽悠雅・山本卓資(近畿大学)

音楽療法やマインドフルネスなどはメンタルケアに有効とされている。今回上羽の開発した「リラックスラジオ体操」に同様の効果があるかを検証した。学生ボランティアを通常のラジオ体操とリラックスラジオ体操についてクロスオーバーで実践してもらった。唾液中アミラーゼは、通常のラジオ体操→リラックスラジオ体操では段階的に低下した。s-IgAは対照的に、通常のラジオ体操→リラックスラジオ体操で活性が上昇した。アンケートも加えた主成分分析の結果、一部の参加者に大きなストレス変化が起こっていることが示唆され、施行前のストレスが軽減効果に大きく影響することが示唆された。


音や音楽の主観評価の定量化に向けて:北原研究室での取り組みにおける山積する課題

〇北原 鉄朗・大下 沙偉・増田 航(日本大学)

音や音楽を聴いたときの主観評価を計算により再現することは、各種支援システムへの応用に有用なだけでなく、学術的に興味深い研究テーマである。そのため、本研究室ではこれに関連する研究テーマをいくつか実施しているが、そもそも主観評価をどのように得るかから始まり、問題が山積みである。本発表では、本研究室で実施中の研究のうち「フルートの演奏音に対する主観評価」と「メロディのキャッチ―さに関する主観評価」の現状をお伝えし、どのようにすれば適切に研究を進めることができるか、聴衆の皆さんと一緒に考えていきたい。

世話役