おみやげの定義

おみやげとは他人に物品を与える行為である。しかし、その行為にいくつかの条件を満たしたものがおみやげであると定義することができる。

1 人間の移動に伴い、物品を入手すること

2 第3者に供与すること

3 情報の伝達を伴うこと

4 物品そのものに地域的な特異性があること

これらの条件には学派によって解釈に違いがみられるものの、学会としていくつかの注釈を添える必要がある。

1 については他者による運搬、つまり郵便などの輸送業者によって配送することは認められるが、供与者はおみやげが存在する現地へ赴く必要がある。

供与者が現地へ赴かずに通信販売などで入手したものは認められない。ただし、研究のためのサンプリング手段としてはその限りにおいて認められる。

2 については供与者と被供与者が同一である場合、つまり自分自身へのおみやげが認められるかという点である。

後述するが、おみやげのもつ「記念」という機能にあてはめれば、おみやげを取得した時点での本人と、その後の本人は情緒的な状態として別人であると考えることができる。

物品を入手した時点での本人の情緒状態を記録し、のちに懐古、鑑賞するという意味において、自身へのおみやげは認められなければならない。

また、有償、無償の是非についても学派によって解釈の異なる点であるが、学会としてはこれを問わないこととする。

3 については物品には贈与以外の地理的な意味が必要であるということである。「ある場所に行ってきた」という証拠としての情報が伴わなければならない。

また、有形無形のコミュニケーションが供与者と被供与者の間に存在することも重要である。

4 についてはその場所でしか手に入らない物品であるということである。

そのまま解釈すると、全地域に流通している既製品は該当しないことになるが、入手の経緯や情緒的な状態に記念としての意味を付すことができるのであれば、スーパーで買ったボールペンや、その辺で拾った石ころであってもおみやげとして認められる。

要するに物品にストーリーがあるかが重要視されるということである。