武蔵野女子大学教員組合結成趣意書

18歳人口の減少期に入って大学経営の厳しさが増すにつれ、大学に働く教員の労働条件、教育研究条件は急速に悪化しつつあります。入学者の定員割れを理由に給与の引き下げが行われた大学・短大は、全国に珍しくありません。既にいくつかの大学では、教員の定年退職年齢の引き下げが実施され、大学審議会が答申した教員の「任期制」もこれからは採用の動きが出てくることでしょう。武蔵野女子大学でも、学院長から給与審議会に退職金、手当の見直しが諮問されています。

労働条件の改定は、当事者である教員の要求を聞かずに、理事会が一方的に決めてよいものではありません。武蔵野女子大学には、教員の給与の改定などを協議する機関として給与委員会がありますが、この委員会は、結果的に理事会の決定を教員に伝達しているにすぎず、理事会と対等の立場に立って交渉する権限を持ちません。

労働条件の悪化は、教員の生活の基盤を揺るがすばかりでなく、大学における教育・研究の意欲をも減退させます。そして、自分たちの要求や意見を反映させる正当な手段を持たないことは、教員の間に無力感を蔓延させます。それは、学生にとって非常に好ましくない教育環境であることは明らかです。

このような状況の中で、私たちは武蔵野女子大学教員組合の結成を決意しました。この組合は、教員の労働条件、教育研究条件の改訂にあたって、教員の声を最大限に反映させるよう努力します。

私たちは、理事会と徒に対立して大学の運営を混乱させることを好みませんが、組合と理事会とが、相互の権利を尊重しながら、健全な緊張関係を保つことは、むしろ大学の発展に資するものだと考えています。

武蔵野女子大学の発展を願うすべての教員のみなさんが、組合に積極的に参加されることを訴えます。

平成8年11月11日

武蔵野女子大学教員組合発起人一同