PPR型RNA編集因子

PPRタンパク質

これまでに50以上ものPPR(pentatricopeptide repeat) タンパク質が植物オルガネラの各RNA編集サイトの特異的認識に必須な因子として同定されてきました。そのうちの20以上は私たちの研究グループが同定したもので、MEF(mitochondrial RNA editing factor) という名前がついています。

PPRは35アミノ酸からなるダブルヘリックス構造を繰り返しもちますが、RNA編集部位の認識に関わっているタイプはその中のPLSクラスに分類されます(図1)。このクラスのPPRドメインはそれぞれ35,36,31アミノ酸からなるP, L(long), S (short) という3種類のモチーフから構成されます。PPRドメインのC末端側にはEドメインが必ずあり、約半数のRNA編集因子はさらにそのC末端側にシチジンデアミナーゼ様の配列であるDYWドメインを保持しています(図1)。

ほとんどのPPR型RNA編集因子は一つまたは数箇所のCの編集に関わっています。しかし中には50−100箇所のRNA編集にかかわるMEF8,MEF8S, DYW2のような例もあります。これらのPPRタンパク質は4−5個しかPPRモチーフを持たず、自身のDYWドメインを、DYWドメインを持たない他のPPR型RNA編集因子へ供給していると考えられます。

それぞれのRNA編集因子は標的となる編集部位の5’側にあるRNAの配列を識別することができます。その配列特異性は個々のPPRモチーフがRNA一塩基を認識することにより得られるようです(PPRコード)。しかし現在提唱されているPPRコードだけでは特異的結合を説明出来ない例も数多く、さらなる解析が必要です。

またPPRタンパク質はRNAに結合するだけではなく、MORFなどの他のタンパク質と結合し、RNA編集複合体を形成することが解ってきました。

図1 PPR型RNA編集因子