>>第2版への序文

『言語における意味』から,第2版の序文を掲載します.

第2版への序文

この改訂版でも,第1版の全体的構成と本の目的と性格は変わっていない.改訂したのは主に次の3点だ.第一点は,内容の更新に関わる.第1版の出版から3年しか経過していないものの,理論の重大な進展がなされてきた.これはとくに語彙意味論で顕著だ.これにあわせて,新しい章を追加した(第14章).ここでは単語の意味に関する新しい考え方を概説している.参照文献も更新してある.改訂の第二点は,内容の不足がわかった分の補充だ.もちろん紙幅にかぎりはあるのでときに省略は避けられなかったが,ほんとうに言及すべき話題が第1版で落ちていたことがわかった.たとえば,フレーム,一般化された会話の推意,関連性への制約といった話題だ(もちろんこの3つだけではない).とはいえ,当然ながら話題の選別は個人的なものではある.改訂の第三点は,話題それぞれの既存の取り扱いを改善したことだ.第2章と第18章(第1版の17章)のように章の構成を全面的にあらためた場合もあれば,明晰さおよび/または一貫性を向上させるために文章を書き直した場合もある.

この新版を準備するにあたって,2人の匿名レビューアに有益なコメントと提案をいただいた.もちろん,最終的な出来不出来の責任は全面的に筆者が負う.