京滋心血管エコー図研究会

第50回京滋心血管エコー図研究会プログラム

第50回当番世話人

JCHO鞍馬口医療センター　循環器内科　丸山尚樹

　検査科　井上真菜

日　時：2025年 6月 28日 (土曜日)　14:00～

開催様式：現地開催

場　所：TKP ガーデンシティ京都タワーホテル 9F 飛雲

〒600-8216 京都府京都市下京区烏丸通七条下ル

東塩小路町721-1京都タワーホテル TEL:075-342-1533

参加費： 1,000円

参加方法：下記URLもしくはQRコードより参加申し込みをお願い致します。

👇事前登録URL 　 https://forms.office.com/r/x8w4rsd4Y8

QRコードは(株)デンソ-ウェ-ブの登録商標です。　

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊　プログラム　＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

【一般演題】（14:00～15:50）

座長: JCHO鞍馬口医療センター　循環器内科　丸山尚樹

　検査科　井上真菜

（発表9分、質疑5分でお願いします）

1. 心房中隔欠損閉鎖目的に紹介となった２症例

京都府立医科大学附属病院　臨床検査技術課　中田　成美

2. 3度の開心術となった若年の1症例

洛和会音羽病院　臨床検査部橋爪　麻弥

3. がん治療関連心機能障害を呈した一例

京都第一赤十字病院　検査部野出　智香

4. 左室中部閉塞を呈した左室肥大の一例

パナソニック健康保険組合松下記念病院　循環器内科吉田　裕

5. VSD術後に右室内に圧較差を認めた一例

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　京都第二赤十字病院　循環器内科　馬渕　貴史

6. 二弁に感染が及び弁破壊が進行した感染性心内膜炎の一例

京都府立医科大学附属病院　循環器内科　木村　英希

7. 遺伝子検査にて確定診断となった家族性心筋症の一例

JCHO鞍馬口医療センター　循環器内科　丸山　尚樹

【特別講演】（16:00～）　

座長:JCHO鞍馬口医療センター　循環器内科学　　丸山　尚樹先生

「エコーをもっと身近で使ってもらうために

－身体所見との関連付けと教育の試み－」

東北医科薬科大学地域医療学教室准教授(病院教授)　大原　貴裕　先生

【閉会の辞】　　　　　　　　　　　　　京滋心血管エコー図研究会　代表　山野哲弘

講演後、質疑応答の時間を十分に取りたいと考えておりますので、日頃の疑問点なども含めてたくさんの

ご質問をお願いいたします。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

(最新の情報はホームページにてご確認下さい。https://sites.google.com/site/kucghp/)

共　催

京滋心血管エコー図研究会、大塚製薬株式会社

●ご提供頂きました個人情報（ご氏名、メールアドレス）は、講演会の出席者の確認、連絡のために使用いたします。お預かりした個人情報は、講演会実施後に弊社eコンテンツを送付する際のコミュニケーション手段としても活用させて頂きます。個人情報は、主催関係者および業務委託先を除く第三者に提示・提供することはありません。個人情報は弊社の個人情報保護方針に基づき、安全かつ適切に管理いたします。

●問い合わせ先：〒600-8099　京都府京都市下京区仏光寺通烏丸東入上柳町310太陽生命京都ビル4F　

大塚製薬㈱京都支店医薬二課　TEL：075-343-5545

協　賛(五十音順)　キヤノンメディカルシステムズ、京都医療設計、山光、GEヘルスケア・ジャパン、

ダテ・メディカルサービス、フィリップス・ジャパン、フクダ電子

事務局：京都府立医科大学附属病院　医療技術部臨床検査技術課E-mail: ucg.kpum@gmail.com

事前登録URL 　 https://forms.office.com/r/x8w4rsd4Y8

QRコードは(株)デンソ-ウェ-ブの登録商標です。

心房中隔欠損閉鎖目的に紹介となった2症例

中田　成美1 ，山野　倫代2 ，東谷　萌絵1,　阪口　直子1 ，藤仲　直美1 ，溝部　佑希1 ，松本　紗和子1 ，岡部　裕美1 ，大塚　明子1 ，加藤　ゆず子1 ，山野　哲弘2 ，中村　猛2, 的場　聖明2

1 京都府立医科大学附属病院　臨床検査技術課

2 京都府立医科大学附属病院　循環器内科

当院に経皮的心房中隔欠損 (ASD) 閉鎖目的に受診となった2症例。

[症例1] 70代男性. 健診で胸部X線での心拡大, 肺門部異常陰影を指摘され, 前医に受診した, 経胸壁心エコー図 (TTE) でASDがあり, 当院に紹介となった. TTEで22 mm大の欠損孔, 右心拡大, 肺高血圧を認めた. しかし, 明瞭な左室肥大を呈していた.

[症例2] 70代女性. 下腿浮腫を自覚し, 前医に受診した. 内服薬調整による心不全治療が行われた後に, TTEでASDを認めたため, 当院に紹介となった, 当院のTTEで4 mm程度の欠損孔を認めた. 心内圧の上昇は明らかではなかったが, 左室肥大を認めた.

いずれの症例もASDは認めたものの, 治療選択に関して再度検討を要した.

3度の開心術となった若年の1症例

洛和会音羽病院　臨床検査部　　橋爪　麻弥　　　

症例は40歳男性。20XX年、呼吸困難を主訴に、当院ERを受診、水中毒の疑いで入院となった。既往歴としてアトピー性皮膚炎、広汎性発達障害がある。また、20XX年－9年にIEのため僧帽弁形成術、20XX年－1年に再び IEのため僧帽弁置換術を行っている。

入院5日目に、退院前のスクリーニング検査として経胸壁心エコー図検査が行われた。そこで、機械弁一葉の可動性が低下しており、MVmeanPG=22.5mmHgと僧帽弁圧較差の著明な上昇所見から、血栓弁が疑われた。抗凝固療法を強化したが、入院11日目に行われた経食道心エコー図検査にて機械弁一葉の可動性低下を認め、 MVmeanPG=21.2mmHgと依然高値であり改善は見られず、生体弁を使用した僧帽弁再置換術を行う方針となった。弁再置換術後、経過は良好で独歩にて退院となった。今回、3度の開心術となった若年の1症例を経験したので報告する。

がん治療関連心機能障害を呈した一例

野出智香１)，中倉真之１)，北住彩華１)，内藤多恵１)，大浦紗世１)，南出ちひろ１)，松下幸子１)，完岡正明１)，小薗治久１)，浦田洋二１)，安土佳大２），木下英吾２）

京都第一赤十字病院検査部１），循環器内科２）

近年、心血管リスクを有する化学療法や、がんサバイバーが増加しており、がん治療関連心機能障害の重要性は高まっている。今回、心エコー図検査にて、がん治療関連心筋障害の経過を評価できた一例を経験したため供覧する。症例は50代女性。後腹膜平滑筋肉腫の肺転移に対して、ドキソルビシン単剤療法を施行し、8コース目（1回あたり60㎎/ｍ2）に胸部症状が出現したため、心エコー図検査を実施した。LVEFおよびGLSは、投与前と比較してそれぞれ16％ポイント、30.5％低下しており、ドキソルビシン心筋症が疑われたため、ドキソルビシンからパゾパニブに変更し治療を継続した。1か月後に労作時呼吸困難が出現したため精査加療目的に入院され、LVEF20％、GLS-２％と心機能は著明に低下していた。パゾパニブの休止と心不全薬物治療により症状は改善し、LVEFおよびGLSも経時的に改善した。

左室中部閉塞を呈した左室肥大の一例

吉田裕、本田早潔子、山野倫代、川崎達也

パナソニック健康保険組合松下記念病院　循環器内科

症例は80代女性。健診で心雑音を指摘され、数か月前から両下腿浮腫も認めるようになったため、当科を受診した。経胸壁心エコー図では左室全周性壁肥厚と、安静時最大圧較差33 mmHgの左室中部閉塞を認めた。二次元スペックルトラッキング法で評価した左室 longitudinal strain は bull’s eye mapでapical sparing pattern を示し、心アミロイドーシスを疑った。Tc-99m-HMDP シンチグラフィでは心筋に grade 3 の集積を、心筋生検では Congo red 染色陽性および免疫組織化学で ATTR 陽性を確認し、トランサイレチン型心アミロイドーシスと診断した。本症例の心肥大の鑑別として閉塞性肥大型心筋症（HOCM）を考えたが、身体診察で perfect O sign が陽性、心肥大が存在するにもかかわらず、洞調律下でⅣ音を聴取しなかった。左室中部閉塞は従来 HOCM 特有の所見とされてきたが、本症例は心アミロイドーシスにも合併し得ることを示唆しており、鑑別診断の際には留意すべきである。

VSD術後に右室内に圧較差を認めた一例

京都第二赤十字病院　循環器内科　　馬渕　貴史

1歳時に心室中隔欠損症に対して、パッチ閉鎖術を施行され、3歳頃より経過フォローを中断していた30歳台の男性。呼吸困難感を自覚され、当院紹介となり、精査の結果うっ血性心不全の診断で入院加療となった。入院時の経胸壁心エコー図で中等度から重度の大動脈弁閉鎖不全症(AR)と肺動脈弁周辺で2.3m/sの加速血流を認めた。利尿剤で除水後に右心カテーテル検査を行ったところ、右室内に収縮期血圧40mmHgの圧較差を認め、Oximetry runではO2 step upは認めなかった。大動脈造影検査でSellers分類はクラス2のARであった。経食道心エコー図で大動脈弁は右冠尖の短縮による二尖弁様の形態となっていた。若年であることから、大動脈弁置換術は機械弁が選択され、また右室流出路狭窄に対しても手術介入が必要である可能性があった。治療方針に関して若干の考察を踏まえて症例発表とする。

二弁に感染が及び弁破壊が進行した感染性心内膜炎の一例

木村英希, 安田貴裕, 山野倫代, 山野哲弘.

京都府立医科大学附属病院循環器内科

症例は70代男性. X年3月27日, 発熱と倦怠感を認め当院に入院となった. 血液培養からStreptococcus gordoniiが検出されたため, 感染性心内膜炎を疑い, 経食道心エコー検査を実施したところ, 大動脈弁右冠尖の逸脱による中等度の逆流に加えて弁尖に疣腫の付着を認め, また僧帽弁前尖にも疣腫が付着し中央には弁穿孔を認めていた. 診断時には心不全症状は認めず待機的な外科手術を予定していたが, 徐々に心不全症状が出現し, 第30病日の経食道心エコー検査では大動脈弁の逆流と僧帽弁の穿孔部からの逆流は増悪していたため, 第33病日に大動脈弁置換術・僧帽弁置換術を実施した. 本症例のように感染性心内膜炎が疑われる患者においては, 疣腫の有無の確認だけではなく, 逆流ジェットの当たる場所などに弁破壊や疣腫がないかを注意深く観察すべきであり, また手術の時期を逸さないように経時的にエコーで慎重にフォローを継続することが重要である.

遺伝子検査にて確定診断となった家族性心筋症の一例

JCHO鞍馬口医療センター　循環器内科　　丸山　尚樹

症例は59歳男性。X-6年にcAVBで他院にてPMI施行。その際に壁運動異常を指摘され、DCMの診断となった。開業医にてフォローされていたが、X年1月より咳嗽がみられ、胸部CTで縦郭リンパ節腫脹があり、肺癌の可能性が疑われた。精査を予定されていたが全身状態悪化から心不全が疑われX年3月に当科に紹介。濃厚な家族歴があり、祖父・父親・弟・長男がDCMで死去。UCGでは、左室拡大があり壁運動はびまん性に高度低下がみられた。左室中隔は菲薄化がみられるも、心尖部と側壁に網目状の肉柱形成がみられ緻密化障害の可能性も示唆された。カテコラミン投与で一旦は症状の改善がみられるも、発熱がみられ心不全増悪がみられた。抗生剤投与など感染症治療を行うも状態は悪化。PCPSやL-VADを勧めるも希望されずに死亡された。死亡後は病理解剖と遺伝子検査を行い、遺伝子異常が判明した。遺伝子異常に伴う心筋症での心不全症例を経験したため、文献的考察を加えて報告とする。