実験内容

オキシトシンを用いた臨床試験

オキシトシンってなに?

オキシトシンは、、分娩(子宮を収縮させる)や授乳(乳汁の分泌の促進)に重要な役割を果たす下垂体後葉ホルモンです。また、愛情や絆、信頼にも作用するホルモンとして知られています。

オキシトシンと自閉スペクトラ症

自閉スペクトラム症は、対人関係やコミュニケーションに困難を有する発達障害のひとつです。さまざまな研究にて、オキシトシンの補充(経鼻スプレー)が自閉症スペクトラム症の方の社会コミュニケーションスキルを向上させる可能性が示されています。

小坂研究室の取り組み

ここ、小坂研究室では、他の大学とも連携して、このオキシトシンが自閉スペクトラム症の方の日々の生活を改善する有効な治療薬となるのではないかと、さまざまな臨床試験を行い、その有効性と安全性を確認しております。

MRIを用いた臨床試験

fMRIってなに?

MR装置は、強力な磁場とラジオ波と呼ばれる電波を利用して、放射線を使わずに生体内の情報を画像化する装置です。世界中の医療および研究機関で使用されています。撮像法の設定により、脳の形態がわかる構造画像、神経活動に伴う血液代謝がわかる機能画像など、目的に合わせた画像を取得することができます,、

fMRIは、このMR装置を使って、特定の課題を行っているときの機能画像を取得し、その課題を遂行するのには、どの脳領域が関連しているのかを調べる手法です。

MRIを受けられない人

下記の条件に当てはまる人は、本研究室でのMRIを使用する臨床試験には参加していただけません。

・ 過去、現在を問わず、精神・神経疾患と診断された経験のある方

・ 過去、現在を問わず、睡眠障害と診断された経験のある方

・ 過去、現在を問わず、てんかんと診断された経験のある方

・ 日常的に睡眠時間の変動が大きい方(昼夜逆転も含む)

・ 妊娠中の方、もしくは妊娠している可能性のある方

・ 体内に心臓または神経ペースメーカーを装着している方

・ 体内に動脈クリップ等金属製のものがある方

・ 歯列矯正装置を装用中の方(詰め物、かぶせ物は除く)

・ 頭部の手術を受けたことのある方

・ 頭部外傷で5秒以上 気を失っていた方

・ 閉所恐怖症、暗所恐怖症の方

・ ヘルニア等の既往があり長時間同一姿勢を保てない方

MRIを受けるときの注意事項

・ MRIは強力な磁石を使用しているので、金属品を身に着けて入ると大変危険です。

クリップやヘアピンなどの磁性体を撮影室内に持ち込むと、磁性体が飛来し、衝突するなどの事故の原因となります。実際に、アメリカでは医療用の酸素ボンベの撮像室への持ち込みによる重大な事故が起きています。 そのため、検査時には、金属類はすべてはずしていただき、金属チェックを受けていただきます。

ワイヤーなど金属のついた下着やカラーコンタクト(デファインを含む)は使用できませんのでご注意ください。

・ fMRIでは脳活動を記録しますが、機械の中で頭や身体を動かすと正しく記録できません。

また、実験には眠気が大敵です(眠いと全体的に脳活動が下がり良い結果が得られません)。前日は十分に睡眠を取り、検査中に眠くならないように気を付けて下さい。

生理学検査

2D:4D ratioってなに?

胎児期に、性ホルモン(エストロゲンとテストステロン)が遺伝子に影響を及ぼすことで、指の長さが決定するという研究があります。人差し指と薬指の長さの比を2D:4D ratioと呼びますが、男性は薬指が人差し指よりも長い傾向にあります。この性ホルモンは、手指の長さだけではなく、性格や疾患にも影響があると考えられています。自閉スペクトラム傾向もそのひとつです。

※注意)ただし、2D:4D ratioは大規模集団を対象とした統計調査の結果として示された一般的な傾向です。その結果だけで、個人の疾患に対する危険因子の有無や性格傾向などを判断するのは早計です。

心理学検査

心理学検査の種類

当研究室では、上記の様な検査と並行して、心理学検査によって個人の性格傾向等を調査しています。 たとえば、質問紙によって、物事を考える傾向が計れるとされています。