研究会について

■ 設立趣旨(2006年) ■

今,日本政府主導によるe-Japan戦略に代表されるように,生活の安全性・利便性向上,産業活性化等を目的として,地方自治体を中心に,社会の様々な場面における情報技術活用が取り組まれてきました.これら取り組みの多くは,情報通信分野のものであり,日本各地におけるインターネットの利活用を促進し,地域の情報化に多大な貢献を成し遂げてきました.

一方,社会では,度重なる列車や飛行機事故,高齢介護や医療現場での事故等の,主に人為的ミスに起因する事故が多発しています.この種の事故軽減には,情報通信分野ではなく,人間の行為を支援する,あるいは代替するための情報処理技術の知見適用が有効であると考えられます.また,災害事象以外にも,機械金属分野等の製造業分野は人間の技能との結びつきが深く,この技能を支援し向上させるための情報処理技術の適用が必要とされています.

しかしながら, 地方自治体の政策において人間の行為を支援する情報処理技術である AI分野の活用に重点をおいた情報技術活用事例は数少なく,適用手法に関する議論はまだまだ不足している状況です.

また,この他にも,様々な情報技術活用事例の中には,各分野の効率化や進展に貢献するどころか,状況悪化をもたらしかねない事例すら存在しています. AIは,様々な情報処理分野のなかで,人間の行為を支援する様々な研究が含まれた,現実社会における適用が最も期待される分野です.実際,従来,多くのAI分野の研究者が,研究成果の社会における適用に興味を抱き, RoboCupや災害分野の研究等の取り組みが進められてきました.

既にこれらのプロジェクトに関わる研究者は積極的に社会と連携を深め,連携方策を模索してきましたが,個々の研究者が論文等を用いて発表する研究内容は,あくまで研究自身が主題であり,社会との連携成果や連携方策に関する内容は乏しい状況が見受けられます.そのため,現在,AI分野の研究成果の社会への適用に関する課題の掘り下げ,具体的には適用成果や連携手法に関する評価分析,並びにこれらの評価手法等に関する議論は不足しており,客観的な評価が得られ難い傾向が存在しています.

これ等の事より,AI研究の社会への適用を促進し上述の課題等への対処を促進するためには,個々の研究成果の現実社会における適用局面,適用手法について議論を深め,その知見を共有することが重要であると考えられます.

そこで,上記の点を踏まえ,(社)人工知能学会の研究会として,「社会におけるAI研究会」の設立を提案します.この研究会は,AI分野の研究成果を現実社会に適用する際の適用手法やその評価に関する研究をテーマとし,研究成果の社会的影響や克服される課題等の知見を共有することで, AI分野の研究成果の社会への適用を促進し,社会の安全性や生活の利便性向上に学術的立場から貢献する事を目的とします.

■ 主査・幹事・専門委員(2020-21年度) ■

  • 主査

    • 小柴 等(文部科学省科学技術・学術政策研究所)

      • 2016~(幹事)/2020~(主幹事)/2022~(主査)
  • 主幹事

    • 小川 祐樹(立命館大学)

      • 2014~(幹事)/2022~(主幹事)
  • 幹事

    • 諏訪 博彦(奈良先端科学技術大学院大学)

      • 2015~(幹事)
    • 岩田 員典(愛知大学)

      • 2017~(幹事)
    • 中島 智晴(大阪公立大学

      • 2018~(幹事)
    • 林 久志(東京都立産業技術大学院大学)

      • 2020~(幹事)
    • 櫻井 瑛一産業技術総合研究所

      • 2022~(幹事)
  • 専門委員

    • 神成 淳司(慶應義塾大学)

      • 2006~(主査)/2012~(幹事)/2014~(専門委員)
    • 松原 仁(公立はこだて未来大学)

      • 2006~(主幹事)/2012~(幹事)/2014~(専門委員)
    • 野田 五十樹(産業技術総合研究所)

      • 2008~(幹事)/2012~(主査)/2016~(専門委員)
    • 篠田 孝祐(電気通信大学)

      • 2006~(幹事)/2012~(主幹事)/2016~(主査)/2018~(専門委員)
    • 伊藤 暢浩(愛知工業大学)

      • 2006~(幹事)/2018~(主査)/2020~(専門委員)
    • 香山 健太郎(情報通信研究機構)

      • 2006~(幹事)/2020~(専門委員)
    • 藤井 秀樹(東京大学)

      • 2014~(幹事)/2018~(主幹事)/2020~(主査)/2022~(専門委員)