高校生のみなさんへ

函館校・国際地域学科の特徴

函館校は2つの側面をもっています。

1つは教員を育てる面です。将来、中学校や高校の、各教科(国語、数学、理科など)の先生を育てます。

もう1つの側面は、国内外の地域について、教育・研究する側面です。たとえば、私は生物の視点で、江差や函館の研究を行っています。また別の先生は、文学の視点あるいは経済の視点で、同様に地域の研究を行っています。

なぜこのような2面性があるかといえば、教育大学という名前の通り、従来は教育に重きが置かれていましたが、2014年に新設された国際地域学科では、その体制を残しつつ、地域研究についても積極的に行うようになったからです。

教員の資格をとって卒業するのは、卒業生の2~3割程度となります。残りの卒業生は、民間・公務員などに就職します。

教員になるかどうかを、入学時に決めないといけないわけではありません。迷ったまま来ても大丈夫です。各専攻・各グループの教育を受ける中で、最終的にどちらの道に進むか選んでもらえば大丈夫です。

ただし教員になるということは、将来、中高生を育てるという点で、とても大事な仕事です。その分、多くの授業を受けなければなりませんし、教員に向いているかに関しては、厳しい評価が下されますので、その覚悟だけはしておいてください。

函館校のメリット

私は、これまでいくつかの大学で学生として学び、教員として教えてきました。

それらの経験からすると、函館校は小さな大学です。そのためデメリットもあります。たとえば、大きな予算を使うような施設がないとか、図書館が小さいなどです。それはある意味当たり前です。10000人のためであれば、それだけ大きなお金をつかって大きな図書館が必要ですが、1000人のためなら、小さな図書館になります。

一方でメリットもたくさん感じています。ここでは2つのメリットについて話しましょう。

1つは、さまざまな分野の先生に出会えることです。一般に大学の研究は大きく3つに分けられます。人文科学、社会科学、自然科学です。函館校では、どの先生にも手軽に会いに行くことができます。

「それは、大きな総合大学でもそうなのでは?」と思うかもしれません。しかし、大きな大学では、たとえ同じ理学部であっても、生物の教員と地学の教員が出会うことは滅多にありません。なぜなら、異なる価値観や思考方法を持っていて、なかなか合わさることがない上に、それぞれの分野に同僚がいるのですから、そちらと研究の話しが盛り上がるからです。物理的な距離もあって、組織が異なりますし、建物も、当然違います。場合によっては、キャンパスが異なることもあります。

ですが、函館校は良くも悪くも、同じ分野の教員は数名です。それゆえ、多分野の先生と日常的に接することになります。私自身、政治や経済の分野の先生との日常的な会話の中で、多くの刺激を受けています。学生の立場からみても、多分野の先生方から学ぶことができます。それは多様な価値観に触れることができるという意味で、小さな大学だからこそ得られるメリットです。

2つめは、個人の要望が大学に届けやすいということです。一つ例を出すと、私は以前所属していた大学で、大学構内に巣箱を掛けようとしました。しかし、それを申請してから許可が得られるまでに2週間かかりました。なぜなら、巣箱をどこにかけたら問題がないかを確認したり、それを周知したりするために、時間がかかるからです。しかし、函館校でかかった時間は30分ほどです。なぜなら、目が届く範囲でものごとが進むので、決定が早いのです。

これは学生からもそうです。大きな大学では、学生が何かをしたいといっても、さまざまな制約がかかりやすくなります。また学生の人数が多いので、一人の声は小さいのです。しかし小さな大学では、何か問題があってもすぐに対処できるので、とりあえずやらしてみようという雰囲気があります。

大きな大学にはもちろんメリットもあります。特に、何かの分野について深く学びたいと思った場合には、その分野のある大学に行くといいでしょう。たとえば、「生物学」について学びたければ、理学部にいけば、分子、遺伝、発生、進化、生態などのそれぞれの専門の先生から学べます。一方で、広く学びたいと思っている学生にとっては、函館校は良い大学だと思います。

地域環境科学グループについて

地域環境科学グループでは、主に自然科学を学ぶことができます。数学、情報、心理学、物理、化学、生物、地学などです。高校と違って、実習形式の講義なども多く、たとえば、私が担当する生命環境基礎実験では、函館山で動植物の調査をしながら登って、頂上でソフトクリームを食べたりします(なお、私は、食べている途中に油断して、カラスに奪われて、さらに鳥類学者の威厳としてカラスから取り返しました)。生態学の講義では、動物の行動を動画で見ながら、なぜそんな行動が進化したのかを考えたりします。

3年生から研究室に配属になります。

私の研究室では、主に鳥を対象として、研究をしています(やる気があれば、別の分類群でもかまいません)。制約はとくに設けてありませんが、地域と関わりのあることをする傾向があります。たとえば、カラスが家庭ごみを襲って荒らしてしまうことをよく見かけると思いますが、その生態を調査したり、実験をすることで、どうやったらゴミの散乱被害を減らせるかを考えたりします。また、現在、アメリカシロヒトリという外来種のガが、函館市内の街路樹を食べてしまって、多大な害を与えていますが、シジュウカラによる防除ができないかといった研究をしています。

自分が何をしたいか、あまり固まっていなければ、函館校を1つの選択して考えてみるのも良いと思います。研究室の雰囲気は、ブログを読んで見てください。

また進学について相談があれば、以下にメールをくれれば、お答えします。

E-mail: osamu.k.mikami(at)gmail.com