キャンパスソーシャルワークネットワーク主催全国研修会2016のご報告

Post date: Apr 17, 2017 2:44:46 PM

2016 キャンパスソーシャルワークネットワーク全国研修

<全体を通して>

今年で3回目を迎えたキャンパスソーシャルワークネットワークの全国研修が11月20日に池袋で開かれ、全国各地から27名の方々がお集まり下さいました。無事に開催でき、盛会に終わりましたこと皆様に改めて御礼申し上げます。

「1年に1回の本会を励みに毎日頑張っています!」というお言葉をちらほら伺い、開催準備を仕事の片手間にこなしている世話人も身の引き締まる思いと嬉しさを感じております。

1年に1回だけでもお顔を合せて情報、意見交換をし、ネットだけのつながりではないネットワークをつくっていきたいと思っております。遠方の方々には、多大なご負担をお掛けしておりますが引き続きのご出席を何卒よろしくお願いいたします。

<第1部 早野木の美先生「大学生の消費者トラブル」ご講演>

たっぷり2時間に及ぶご講演を頂きました。内容は、1)学生が陥りやすい消費者トラブル 2)契約とは・クーリング・オフのポイント 3)奨学金の返済について 4)トラブルを解決する機関(消費者センター・法テラス・簡易裁判所等)5)調停制度

について等、具体的で実務的なお話をわかりやすく伺いました。

若者の消費者トラブルは、決して減っているわけではなく、相手の巧妙な手口と脅しともとれるつけ込む態度でのやり口は、気真面目な大学生はカモになってもおかしくないとつくづく感じました。また、ダマされていることも気づかずに支払いに四苦八苦し、誰にも相談できずに学費の支払いに窮した状態で退学を余儀なくされるケースが少なからずあることは容易に想像が付きました。最近流行っているのが「マイタケエキスのマルチ商法」だそうで「いつまでもマルチ商法は、廃れていかないんだ」と変な感心をしてしまいました。

あらゆる相談を受けるCSWの頭の片隅にこのご講義がいつも入っていて、「あれ?なんかおかしい」と消費者センターに繋がり、学生の被害が最小限におさめることができるようになるような学びでした。知っていることが強みになると感じた内容でした。

早野先生の熱意あるご講演は、初めて伺う知識も多く、特に皆さまからも大変好評でございました。

第1部のアンケート結果の一部

〇対処方法について法律や使える相談窓口等、具体的にお話しいただけてありがたかったです。学生から話があったときに案内しやすいと思いました。年々、被害にあう内容が変化するようなので、常に関心をもっておきたいと思います。

〇盛りだくさんの内容でありがとうございました。もう一度資料を自身で読み返し、理解を深めたいと思います。もし可能でしたら具体的な事例を次回お聞きしたいです。

〇とても盛りだくさんの内容で、必要な情報ばかりで、大変ありがたかったです。講師の方の消費者を守ろうという熱意も伝わり、是非学生たちが被害にあわないよう、あってもすぐに相談に来てもらえるような仕組みを作れたらいいなと思いました

〇金銭が原因で大学に来なくなり、卒業できないといったことがなくなれば、といつも考えています。調停を必要なときに大学生活に活用する方法を教示くださりありがとうございました。

〇とても分かりやすい事例で、新入生に対しこのような内容をオリエンテーションの中に取り入れればと思いました。

〇今日はありがとうございました。名前を知っている機関であっても、中身をよく知らなかったので、今後の参考になりました。トラブルに合いやすい環境になっているので、活用できるようにしていきたいです。

〇消費トラブルの相談については、自分の知らないことが多すぎていつも消費者生活センターに相談してみたら?とアドバイスしてきました。今回、私自身も勉強することができたので、今まで以上に自信をもって消費者生活センターに相談してみるようにアドバイスすることができます。知らないって怖い事だと改めて感じました。とても分かりやすかったです。ありがとうございました。

〇知らないことばかりで、大変勉強になりました。法テラスや調停利用の際の具体的な手順も教えていただき、今後事例のような学生からの訴えがあったときは、役立てたいと思います。ノウハウとして、明日からの職場でも取り入れられそうなことや、法律面など深く学んでみたいと思えるようなことまで、バランスよく説明をいただき参考になった。たった3回の遅滞で住宅ローンも組めなくなる恐れがあるなど、学生受けのよさそうな話まであり、参考になりました。

〇自分に相談が来たところで、「知識」がなければ対応できない。今日初めて知ったことも多く、非常に勉強になった。配布資料を持ち帰って学生支援に生かしたい。消費者センターで解決できないこともあるが、調停があることは心強いと思う。

<第2部 パネルディスカッションとグループディスカッション>

この場をお借りいたしまして、中澤さん、三角さん、田邊さん事例紹介ありがとうございました。それぞれの皆様から順に「教育指導とハラスメント」、「自己肯定感の低い学生支援」「受講に対する配慮」の事例をご発表頂き、その上で4~5名のグループに別れてグループでディスカッションを行いました。

中澤さんからは、ミクロレベルの支援からメゾレベルの支援を視野にいれた内容の事例と支援を実施する中での課題を丁寧に分析頂いたものをご発表頂きました。ハラスメント相談は、まだまだ萌芽期状態と分析されておられましたが、何かあった時は、個別支援から組織対応まで熟知されておられる中澤さんにご相談しようと社会資源リストにしっかり入れさせて頂きました。

三角さんからは、主訴が異なっていても我々の多く支援対象の課題となる「自己肯定感の低さ」に着目した事例でした。こうした事例は、とりわけノウハウがあり、社会資源を提供することで解決をみない事例です。特にCSWがどのように関わるのかがポイントになってきます。三角さんが「レジリエンスを信じること」と「ユーモア力と寄り添い」「傷つきを癒やす言葉がけ」で支援を展開されたと伺い、三角さんの温かいお人柄もにじみ出て、人と関わる力の大きさを感じたご発表でした。

田邊さんからは、教員としてのお立場からソーシャルワークを展開されている事例でした。こうしたきめ細やかな支援が退学者を減らすことにつながるのだと痛感します。なかなか必要性を感じていても実質困難な高校との連携も実施されていることは1日で作り上げた関係ではないことがわかりました。そして、支援目標の「学生がストレングスを自分自身が見つけ出す」は、丁寧な熱意ある継続的な関わりから到達することであり、クライエントが「ありのままの自分に向き合うことを重視した」という視点は、発達に障がいがあってもなくても大切なことだと改めて感した事例でありました。

3人にもお入り頂き、発表後にグループで討議がされた。発表事例を深ぼりして考えたグループや事例から発展して、日常のご自身の相談を持ちかけられグループで話し合ったところなど内容は様々でした。

皆様からは、事例発表の方法に対するご意見も伺いました。来年度に活かすようにさせて頂きます。

第2部 パネルディスカッションとグループディスカッションについて 「支援事例を通し、キャンパスソーシャルワークを考える。」からのアンケート結果の一部

〇他の大学の方の実践を聞ける機会は少ないので、貴重で参考になります。小グループで意見交換や情報交換できたのも良かったです。

〇それぞれの大学の様子をお聞きできるのは本当に有難かったです。20分でまとめるのはもったいないくらいで、時間に余裕はないかもしれませんが、次回は一人30分くらいの時間設定はいかがでしょうか。事例もありイメージがしやすかった。ワールドカフェも良いですが、ゆっくり話ができてよかったです。3人の事例をもっとじっくり聞きたいと思いました、内容はとても満足です。

〇事例報告の時間をもう少し長く。2例くらいでも良いかも。非常勤の立場上、事例に関われないことも多く、私自身には大切な機会となりました。

〇受け身の学生が増えているが、そういう学生に問題を抱えることが多く感じます。早い段階で気づき、対応することの難しさを感じました。

〇パネルディスカッションでは、3人の方の熱意を強く感じました。改めて自分の働き方、動き方を見直し、「頑張ろう」と元気をもらいました。グループディスカッションでは、「そこはやりすぎ」と止められるという事例が多く、とてももったいないことだと思いました。〇大学によって置かれている支援体制が様々であることが良く分かりました。大学として掲げている理念や哲学と一致した。支援の方向性が必要だと感じました。

〇各大学でどのようにキャンパスソーシャルワーカーが導入されているか、参考になった。

〇中澤さんからはハラスメント相談におけるソーシャルワークの専門性を、三角さんからはケースワークの意義を、田邊先生からは子供の発達をどのように一つの手がかりとするかを学びました。今後、キャンパスソーシャルワーカーの会を発展させるために、様々なテーマを扱って、それを社会に向かって見える形にしていければと思います。

〇SWの役割を再認識させられる時間だった。グループディスカッションでは、率直な意見交換ができた。

〇各大学の事例が分かり、これからの学生支援に生かせると思う。CSWにとって事例検討の大切さを感じることができた。各大学の取り組みを知ることができてよかった。

〇大学でのCSWの動きや立場が違っても、福祉の視点で各々頑張っていることが分かった。自分もこれから頑張ろうと元気をもらいました。

〇それぞれの大学のニーズが異なる。CSWに求められる役割も異なること。ただ、グループワークをすることで、考え方が他の事例にも活用できるため、研修会は本当に有難い。実践そして組織づくりが学べた。

〇学生支援の事例を聞く機会をいただけて、重要にした視点などを学べてよかった。

〇「CSWを導入したいが・・・という参加者」「CSWとして勤務しているがもやもやしているという参加者」がいる中で、キャンパスソーシャルワークの実践報告は、様々な見方があったのではないかと思います。焦点がもう少し絞ってあると議論しやすいかもです。

<情報交換会>

朝から夜遅くまで多くの方がお残り頂き20名ほどの方がご参加下さいました。「参加したいのに事情で帰らなければ…」との残念な声もたくさんありました。

この場でもディスカッションの続きが繰り広げられ、パネリストの3名の方々も続きのご講義をして下さっていたような?最後までありがとうございました!

3時間という時間が文字通りに「あっ」という間に過ぎてしまいました。遠方にもかかわらずギリギリまでお残り頂いた皆様に改めまして御礼申し上げます。