2021年全国研修会のご報告

【第一部】 講演会「ソーシャルワーカーにできる自殺予防」

小高真美氏(武蔵野大学人間科学部准教授)

【概要】「自殺予防に特化したソーシャルワーク」があるのではなく、いつも通り丁寧にソーシャルワークをすることが自殺予防につながる。「お金がないです」という相談を受けると冷静に対応できても、「死にたいです」と言われると苦手な相談だなと思うかもしれない。が、自殺予防も対応は同じ。情報を提供したり、連携先を探したりとソーシャルワークの基本を行うことが重要。ただしひとりで抱えるのではなく、確実に必要なところに繋ぐことが欠かせない。「自殺念慮の確認」については、ためらわず聞いてみること。聞いてくれたから話せたということもある。また、「自殺は起きることがある」(15歳から39歳の死因の第1位は自殺)。聞かなければ生じないというわけでもない。組織の中で発生したその後のケアについても重要な課題となることが紹介された。

※講演後の質疑応答も活発に行われ、各大学等でも自殺予防については関心が高いことが伝わりました。小高先生も編集に携わられた日本社会福祉士会編著の「ソーシャルワーカーのための自殺予防対策入門」も出版されています

出版社ミネルヴァ書房のページ:https://www.minervashobo.co.jp/book/b592115.html

【第二部】 パネルディスカッション・グループワーク

 「キャンパスソーシャルワーカーの武器」

宮江真矢氏(京都精華大学 学生支援センターなんでも相談窓口)

【概要】キャンパスソーシャルワーカーと大学におけるその他の専門職の違いを「CSW の武器は柔軟性」とし、学内外での取り組みについて紹介された。コロナ禍において作品の発表の場を学生と一緒に作り上げている実践については、大学の特性を活かした取り組みであると感じた。

⇒宮江さんが取材を受けた動画がYouTubeに公開されています。ご関心のある方はこちらをご覧ください。https://youtu.be/UpN3z587aKA


「大学におけるキャンパスソーシャルワーカーの必要性―3年目の私が感じる等身大の思いー」

赤沼美郷氏(名寄市立大学 健康サポートセンター)

保健室と相談室が一緒になった形の「健康サポートセンター」にCSWが配置されたことにより、学内の連携が進み、学生や教職員のメンタルヘルス向上が図られていることが紹介された。座り心地の良いソファや、某人気アニメを彷彿とさせる押し入れを改造した通称「ドラ部屋」など、学生が居心地良く過ごせる工夫については非常に学ぶ点が多かった。

⇒名寄市立大学健康サポートセンターのページはこちら。https://nayoro.ac.jp/organization/health_center/index.html

グループワーク

本年度もオンライン開催であったため、ZOOMのブレイクアウトセッション機能を通じて4〜5人のグループに分かれ、所属先での現状や今後について情報交換を行ないました。ブレイクアウトルームは3回組み換えを行いましたので、比較的大勢の皆さんと交流ができたのではないかと思います。キャンパスソーシャルワーカーとしての勤務年数が様々なメンバー同士で、CSWを大学に配置したきっかけや、学内連携のコツ、各大学のコロナ禍においての学生生活の状況などについて情報交換を行うことができました。

どうしても各大学では一人職場となりやすいキャンパスソーシャルワーカーですが、全国のメンバーと交流できる機会はとても貴重なものだと考えています。来年度以降も細々と交流の機会を設けていく予定ですので、今後とも楽しみにしていてください。

(文責・前田多恵/長沼葉月)