2017年度全国研修会のご報告

Post date: Feb 6, 2018 4:18:19 AM

2017年12月21日 (土)11:00~20:30、淑徳大学 千葉キャンパス におきまして2017年度のキャンパスソーシャルワークネットワーク主催の全国研修会を開催いたしました。第2部にはネットワーク加入者33名のご参加をいただきました。ありがとうございました。当日の内容・雰囲気をご報告いたします。

【第一部】 講演会「『貢献して稼ぐ』ぐるなび特例子会社の挑戦」田中 潤 氏

田中氏は、株式会社ぐるなび 上席執行役員 管理本部人事部門長であり、株式会社ぐるなびサポートアソシエ 代表取締役でいらっしゃいます。飲食産業検索サイト「ぐるなび」の特例子会社として2010年に誕生した「株式会社ぐるなびサポートアソシエ」。精神・身体・知的の障害を持った社員が働く会社の現状と今後の課題についてお話を伺いました。以下その概要です。(ぐるなびサポートアソシエについて)

・現在障害をもつ社員(メンバー)は27名、サポートスタッフ4名。障害の内訳は精神6~7割、身体3~4割。療育手帳所持の方もいる。

・業務内容はPC入力やチェック(ぐるなびに掲載された内容のチェック)、郵便発送作業など。他の特例子会社では「清掃」のような、体力が重視される仕事を引き受けるところも多いが、ここではそういった体力勝負の仕事が難しい人でもできる業務がある。参考)ぐるなびサポートアソシエhttps://corporate.gnavi.co.jp/recruit/gsa/

(「働く場」について)

・たとえば、精神疾患のある人だと、家庭が落ち着かず「居場所」にならないときに、家庭の代わりにならないとしても会社が「居場所」になると、自己肯定感が持てることがある。営利を目的とする企業であっても、それだけでなく「居場所」と「持ち場」を提供することを目指している。

・働く場所が「ただの空間(SPACE)」ではなく「場(PLACE)」になる関係を目指す。

(支える側の体制)

・当初メンバーを支える社員を「管理社員」と呼んでいたら「指示・命令」をする立場になってしまった。そのため、名称を「サポートスタッフ」と変更し、働き方の答えを教えるのではなくメンバーが持っているリソースを引き出すことを目指すようにした。支援する人は支援される人に対して「パワー」を持っていることを自覚すること。

・障害年金との関係は難しい。年金受給できるのに我慢をする人もいれば、年金受給したことによって働く意欲がなくなる人もいる。

  • 参加者のご感想
  • 障害者枠で就活を希望する学生の相談が現在進行中なので、質疑応答における採用面接で重視されている点を聞けたのは大変有意義であった。
  • 学生が就職する先にこのような方がいらっしゃると思うと心強く思えました。障害学生だけでなく、どの学生にとっても有効な業界研究の話などが聞けてありがたかったです。
  • とてもわかりやすく話をきかせていただきました。ぐるなびのような身近な企業で長く働けるのはご本人の誇りとして人生を支えると思いました。
  • 企業の側から障害のある若者への仕事についてのお話わかりやすく、大学在学中にどんなことを身につけたらよいか考えるよい機会になりました。また、企業がとりたい学生、その面接についてのお話も大変参考になりました。

【第二部】グループディスカッション

午後は前田多恵氏(多摩美術大学)の司会のもと、米村美奈氏(淑徳大学)のあいさつを経て、最初に二名の話題提供があり、グループディスカッションに移行しました。


話題提供

「カウンセラーにおける大学での学生支援の現状と課題」 (日本福祉大学 学生相談室 非常勤カウンセラー 若山 隆 氏)

・学生が被害を受けたバス事故(1985年)以降、学生の命と健康は教職員で守るという大学の気風が作られていったことをはじめとして、大学コミュニティの中に学生相談・支援活動がどのように根付いていったのかについて、若山さんのお立場からのご紹介がありました。

「カウンセラーとCSWの協働」 (日本福祉大学キャンパスソーシャルワーカー 澤田 佳代 氏)

・カウンセラー、CSWそれぞれの業とは何かを改めて理解し、そのうえでお互いの専門性を理解して連携・協働が必要であることが確認されました。

グループディスカッション

参加者が7つのグループに分かれ、2名の話題提供に基づき、お互いの大学の状況について情報交換を行いました。

2回のグループ替えを行い、より多くの参加者と直接話すことにより、各大学で行われているカウンセラーをはじめとする他職種との連携の具体的な話を聞くことができました。

大学によって学生支援の経緯や歴史も異なることから、同じ福祉職でも学内で取り組んでいる課題や動き方が異なることが分かり、今後とも情報交換が重要であることがわかりました。



  • 参加者のご感想
  • CSWとカウンセラーとの協働について、立場や役割の違いを認識しながら最適な選択肢を考えていく必要性を感じた。澤田さんの発表について、社会福祉士や公認心理士の法律上の規定など資料として参考になることが多かった
  • 若山さんから学生支援の長い経験をもとにお話しいただき、組織の中で、学生支援をおこなううえでの難しさやだいごみも感じられ「力」になりました。カウンセラーさんとの連携について、互いを知ることの大事さにもあらためて理解しました。
  • 何を目志して支援をしていくのか、考えさせられました。若山先生の奮闘ぶりがよく伝わってきました。久々に懐かしい面々に会え、皆さんが頑張って仕事に取りくんでおられる話が聞けて力を頂きました。“キャンパスソーシャルワーカー”という職名の拡がりを実感しました。日々の活動は光が見えないことが多いですが、仲間がいるというのは素晴しいことですね!
  • 大学でSWrはどうあるべきか考えるきっかけをいただいたように思います。グループディスカッション毎回貴重な時間と思います。1人職場が多いと思いますので、情報交換の場は非常に大事と思っています

最後まで参加できた人で記念撮影です。

【交流会】

27名の方が参加され、おいしいお料理とお酒を片手にグループディスカッションの続きのように活発な情報交換が行われました。参加者の各大学においてCSWの業務内容も異なれば雇用体制も異なります。今後、よりCSWが大学に定着するためには、雇用が安定し、支援知識の蓄積につながることが求められているのではないかとの声があがりました。