Fellows in Concert Vol.3
Fellows in Concert Vol.3
~Sparkeling Brass〜
Brass Band Fellows 第3回演奏会
第3回目のコンサートは、吹奏楽でも大人気、フィリップ・スパーク氏の作品を特集します。
同氏のブラスバンド作品デビュー曲から、人気コルネットソロ曲、変奏曲まで、
ブラスバンド界最高峰のメロディーメイカーの作品をお楽しみください。
■Date2014/5/31 (Sat.) 13:30 start
■Venue
江東区文化センター(東京都江東区) 公式サイトはこちら
■Conductor
鈴木 孝裕(ブラスバンド指導者協会理事)
■Admission 入場料
500円
Special Stage〜Sparkeling Brass〜
♪Concert Prelude Youtube
コンサートプレリュード
♪Vivid Brass Youtube
ヴィヴィッド・ブラス
♪Song & Dance Youtube
ソング&ダンス
Cornet Solo : 吉村 友宏
♪Serenade for Horns Youtube
ホルンのためのセレナーデ
Tenorhorn Trio:佐々木幸子・山口由裕・柴田義仁
♪Diversions Youtube
ディヴァージョンズ
Regular Stage
♪Star Wars (John Williams / arr. Steve Sykes) Youtube
スターウォーズ
♪Shine as the Light (Peter Graham) Youtube
シャイン・アズ・ザ・ライト
♪Slavische Fantasie (Carl Horne / arr. Peter Graham) Youtube
スラヴィッシュ・ファンタジー
Euphonium Solo: 月村 一裕
♪Don't stop me now (Freddie Mercury /arr. Philip Harper) Youtube
ドント・ストップ・ミー・ナウ
♪Cats Tales (Peter Graham)
キャッツ・テイルズ
1. Catalonia Youtube
2. Catwalk Youtube
3. Scat! Youtube
4. Catnap Youtube
5. Toccata Youtube
Encore
♪Merry-Go-Round (Philip Sparke) Youtube
メリーゴーランド
お客様の声
「とても充実したコンサートだった。」
「知ってる曲が⾦管バージョンで、違ったテイストで聴く事が出来て⾯白かった。」
「聴いた事の無いジャンルだったので新鮮だった。もっとたくさんの人に聴いてもらえると良いと思う。」
「飽和しそうで飽和しないホールの響きが心地よい。」
■Programme
プログラムノート
1st Stage
フィリップ・スパークの世界
フィリップ・スパークはイギリスの作曲家。吹奏楽の世界でも知らない人がいないほど有名ですが、同じようにブラスバンドのための曲を多数書いており、現代のブラスバンドを語る上で欠かせない人物のひとりです。日本の吹奏楽界・ブラスバンド界とも親交が深く、本日演奏するVivid Brassをはじめ、日本のバンドのために書かれた曲も多数あります。2011年の東日本大震災の時には、ブラスバンドのために書いてあった「カンティレーナ」を吹奏楽に改め、「陽はまた昇る」とリネームして発表し、印税を含むその収益を日本赤十字社へ寄付されています。作風はメロディアスかつリズミカル。多数の曲を書かれていますが、そのひとつひとつが独創的で多彩なメロディを持ち、人気曲ばかりです。 本日は同氏の作品を特集しました。それぞれの曲に個性があり、飽きることのない、フルコースに仕上がりました。フィリップ・スパークの世界、どうぞお楽しみください。
♪Concert Prelude (1975)
コンサートのオープナーにお送りする曲は、コンサート・プレリュードです。この曲はスパークにとって、初めて出版された、いわばブラスバンドデビュー作品です。時は1974年、スパークが王立音楽大学で学んでいた頃のこと。楽譜出版社からのオファーを受け、打合せの後、帰宅すると一晩でこのコンサート・プレリュードを書きあげたといいます。 コルネットのユニゾンで始まるファンファーレに始まり、軽快なリズムに乗せた大らかな主題が続きます。途中には、スパーク作品で今でもよく使われる、めまぐるしい変拍子。デビュー作ながら、今に続く彼の作風の芽生えをも感じます。
♪Vivid Brass (2011)
プロフェッショナルプレイヤーにより組織される日本のブラスバンド、”ヴィヴィッド・ブラス・トーキョウ”のために書かれた難曲。2011年の第15回定期公演で世界初演されました。スパークはそれまでに同バンドを何度も指揮しており、バンドの良さを存分に発揮できるような曲に仕上げました。その特徴のひとつが各所にちりばめられたソロ。それぞれのプレイヤーを思い浮かべながら書かれたのでしょう。転々と曲奏が変わるなか、各楽器の魅力が引き出されます。本日演奏する曲の中では最も新しいスパークの作品です。“煌めくブラス”のサウンドをお楽しみください。
♪Serenade for Horns (1992)
テナーホーントリオのためのセレナーデ(小夜曲)。ホーンの名を冠するこの曲は、テナーホーンの持つ音色を思う存分引き出す曲に仕上がっています。伴奏はコルネットを除いて中低音楽器のみで奏され、スパークらしい豊かなハーモニーでテナーホーンの音色をより際立たせます。3人のテナーホーンによって紡がれる、気品あふれる穏やかな旋律をお楽しみください。テナーホーントリオは、佐々木幸子、山口由裕、柴田義仁でお送りします。
♪Song & Dance (1981)
スパーク渾身のコルネットソロ曲。演奏するのはプリンシパルコルネット奏者、吉村友宏です。この曲はタイトルの示すとおり、”Song”と”Dance”のパートで組み立てられています。”Song”はスコットランド音楽でよくみられる「スコッチ・スナップ」という装飾音を模したリリカルなメロディ。”Dance”は一転、軽快でめくるめく変拍子のなか、奏者の妙技を披露します。
♪Diversions -Variations on a Swiss Folk Song- (1997)
この曲は、1999年にスイスで行われたブラスバンドコンテストのために作曲されました。19世紀から伝わる民謡”Der Heimetvogel”のフレーズをベースに書かれており、テーマとその4つの変奏(テーマとなるメロディをアレンジして演奏すること)で構成されています。冒頭、細かな連符に彩られたファンファーレに続き、テナーホーンの独奏から始まるテーマが受け継がれながらゆったりと演奏されていきます。そして、この曲の変奏が始まります。
第1変奏はヴィーヴォ・スケルツァンド。”常動曲(moto perpetuo)”と呼ばれる、常に一定した音符の流れが続いていく形式をとり、この曲では軽やかな八分音符が続いてメロディーを構成していきます。
第2変奏はスビート・メノ・モッソ 。12/8のリズムでやや気味の悪いマーチ。間を割ってトロンボーンや低音楽器がテーマを演奏しますがそれも絶妙に薄気味悪かったり・・・。
第3変奏はレント・エスプレッシーヴォ。それまでと一転、静寂なコラールが奏され、透き通るような美しいコルネットのソロへ。美しいメロディはバンド全体へ引き継がれ、聞く人の胸を打つ、感情的なクライマックスを迎えます。スパークらしいブラスバンドのサウンドは、この曲の見せ場のひとつです。テナーホーンのカデンツァを経て次の変奏へ。
第4変奏はヴィヴァーチェ。ひとつの主題を複数の声部が追いかけて演奏する”フーガ(fugue)”の形式をとります。バリトン・ユーフォニアムによって提示された主題を、さまざまな楽器が模倣し追いかけ、幾重にも重なり合いながら曲が進行します。低音楽器によって主題が再現され、まくしたてるように曲を終えます。
15分にも及ぶこの大曲。ぜひお楽しみください。
2nd Stage
♪Star Wars (John Williams / arr. Steve Sykes)
“スター・ウォーズ”制作当時トレンドであった電子音楽を排除し、新しい映画音楽を作るため、監督ジョージ・ルーカスが起用したのが作曲家ジョン・ウィリアムズとロンドン交響楽団でした。特に有名なメインテーマは金管楽器のファンファーレに始まり、これから始まる壮大なストーリーへ向けて気分を高揚させてくれます。本日はスティーヴ・サイクスのアレンジで、エッセンスをギュッとまとめたスター・ウォーズのテーマを2部のオープナーとしてお送りします。
♪Shine as the Light (Peter Graham)
ブラスバンドの人気作のひとつ。作曲家ピーター・グライアムはイギリスの救世軍系作曲家です。この曲も3つの讃美歌(i) It's A Great Day, the beautiful (ii) Candle of the Lord, and the blazing finale (iii) The Light Has Comeを元に作られています。 まさに「ブラスバンドをやっていて避けて通ることのできない曲」と言っても過言でないくらい、多くのバンドで取り上げられる曲です。ブラスバンドらしいオーケストレーションで、響きを余すところなく堪能できます。ブラスバンドの魅力を少しでも味わっていただけると幸いです。
♪Slavische Fantasie (Carl Hohne / arr. Peter Graham)
カール・ヘーネによる、コルネットとピアノのための曲を、巨匠ピーター・グライアムがユーフォニアムとブラスバンドのために編曲しました。カデンツァに始まり、物悲しいリリカルなパート、トリッキーなパートへと続いていきます。ソロを演奏するのはプリンシパルユーフォニアム奏者、月村一裕。
♪Don’t stop me now (Freddie Mercury / arr. Philip Harper)
英国の誇りともいわれる、伝説のロックバンド”QUEEN”が1978年に発表した、ノリのいいロックチューン。多数のアーティストにカバーされ、今でも耳にする機会の多い曲です。
♪今俺を止めるな、今こんなに楽しんでいるんだ。最高なんだ
俺を止めるな、もし君も楽しみたいなら俺に電話してくれよ
俺を止めるな、だって楽しいんだ
俺を止めるな、そう楽しんでいるんだ
絶対に止まりたくない
FELLOWSも最高に楽しんで演奏します。
♪Cats Tales (Peter Graham)
cat 【可算名詞】 《俗語》ジャズ狂 《人》.
Cats Talesはジャズとニューヨークを愛するミュージシャン達へのトリビュート(献辞)として作曲されました。あまり知られていませんが、ユーフォニアム奏者黒沢ひろみ氏率いるTrailblazers 10 Piece Brass(本日お聴きいただいている金管バンドで使われる金管楽器と打楽器によるアンサンブル)のために書かれ、2008年1月に世界初演されました。黒沢氏の大好きなネコ"cat"のスペルが各楽章のタイトルに散りばめられた、洒落た楽曲です。
~1楽章 カタロニア(Catalonia)~
パーカッションのリズムに乗せてフリューゲルホーンの郷愁感の漂うソロで幕を開ける第一曲目はカタロニア。映画音楽作曲家、エルマー・バーンスタイン(1922-2004)へのトリビュートとなっていますが、途中で一転、スピーディな後半は、同じ時期に活躍した”もう一人のバーンスタイン”、レナード・バーンスタイン(1918-1990)へのトリビュートとして書かれています。
~2楽章 キャットウォーク(Catwalk)~
同じく映画音楽作曲家として活躍したヘンリー・マンシーニ(1924-1994)へのトリビュート。数多い彼の曲からピーターが選んだモチーフはネコ族代表、”ピンクパンサー”。ソロリソロリと忍び歩く怪盗ピンクパンサーのテーマ曲を彷彿とさせる、とってもジャジーな一曲です。
~3楽章 スキャット!(Scat!) ~
テナーサックスの巨人、ソニー・ロリンズ(1930-)へのトリビュート。1954年録音のマイルス・デイヴィスのアルバムに収録され発表された"Airegin"からインスピレーションを受け、モチーフを組み込みながらも軽快な一曲となっています。途中ではトロンボーン、コルネット、バイブラフォンがソロを取ります。最後にドラムスのソロで曲は締めくくられます。
~4楽章 キャットナップ(Catnap) ~
ジョージ・ガーシュウィン(1898-1937)へのトリビュート。ミュージカル「ポーギーとベス」の名曲”サマータイム”にインスピレーションを得て作曲され、哀愁漂うトロンボーンソロの楽曲です。
~5楽章 トッカータ(Toccata) ~
最終楽章はレナード・バーンスタイン(1918-1990)へのトリビュートです。第一楽章後半で演奏したテーマが再現し、コルネットのデュオがソリを取り、派手に終曲します。
クールなソロがちりばめられた、ジャジーな楽曲です。ブラスバンドらしい楽曲とはまた違った、金管楽器のサウンドをお楽しみください。各楽器のソロがばっちりキマった時はぜひ惜しみない拍手をいただければ幸いです。