研究②

美白と白斑

「お肌を白く」はいいこと?よくないこと?

日本を含むアジア地域では、コスメトロジー(化粧品学)の観点から男女を問わず美白に対して強い興味を持っていて、市場規模は年々拡大しています。これは【皮膚の色をより白くしたい(メラニン色素を減らしたい)】という想いの現れです。

一方で、コントロールできない状態で皮膚の色が白くなると、これは皮膚疾患の一つである【白斑症】を呈することになります。白斑症は過剰な美白剤の使用や誤った薬などの使用、あるいは遺伝的な要素など、様々な原因が複合的に作用して発症します。

我々は、皮膚のメラニン色素量をコントロールする新しい手法を開発しています。

我々の研究室では、コスメトロジーと皮膚医学の観点から、「適正な」量のメラニン色素の量をコントロールするために様々な研究を行っています。

現在、体の中にもとから存在するコラーゲンから派生した成分や、アミノ酸とその誘導体が、メラニン色素の量をコントロールできる可能性について研究を行っています。

皮膚は【己と外界】を隔てる最前線。

皮膚は様々な細胞が層を形成して形成されており、そのなかには血管や体毛、筋肉、脂肪などの層も存在します。主に表皮層、真皮層、皮下組織の3層で構成されています。

最外層の表皮はさらに細かい層で構成され、外界からの異物やウイルスの侵入を防いでいます。表皮を構成する細胞の大部分は基底細胞の分裂によって供給され、供給された細胞は有棘層、顆粒層、角質層へと運ばれて、最終的には「あか」として排出されます。これがいわゆる【皮膚の新陳代謝】です。

皮膚は他の組織と同様に加齢によって老化し、紫外線のような外界からの直接的な攻撃にも曝され、どんどん劣化していきます。