檀信徒カルテ研究所
~見つかる、気づく、思いやる~
最新情報のお知らせ
2023/03/8 2023年3月8日中外日報新聞の特集「寺院サポート」にて檀信徒カルテとクラウド管理寺務台帳が紹介されました。
2023/01/27 2023年1月27日中外日報新聞の社説にてせいざん株式会社の取締役池邊が2022年11月15日に行った「現代に生きる仏教/現代社会に生きる仏教B」の講座内容の様子が紹介されました。
2022/11/15 東洋大学にてせいざん株式会社の取締役池邊が「現代に生きる仏教/現代社会に生きる仏教B」の講師を務めました。
2022/09/02 エンディング産業展「築地本願寺とお寺のDX」に主宰の池邊が登壇しました。
もくじ
檀信徒カルテ研究所とは?
10年間試行錯誤した結果「必要とされるお寺」になるには「カルテ」が必要でした。
檀信徒カルテ研究所を運営するせいざん株式会社はお寺の中で納骨堂の販売管理を10年間担ってまりました。
結果から申し上げますと、檀信徒から1日平均3件連絡があり、法要依頼率が80%となり、日々「ありがとう」という言葉をいただけるお寺になりました。
東京の都心にあるものの、逆に近隣にお住まいの方が少なく、宗派としては少数派で、檀家数もごく一般的な町のお寺です。納骨堂を始める前は、お寺の境内にある寺院墓地のみで、ほとんどの方が檀家。ご新規の方ご縁はめったにない状況でした。
屋内納骨堂の販売を始めた当初は、お寺と納骨堂契約者の関係を密にしたいという想いから納骨堂を契約する場合は「檀家になること」を条件としていました。しかし、その条件を嫌がる方が圧倒的に多く、新しいご縁は半年以上増えず、悩んだ結果、しぶしぶ「檀家になる」条件は撤廃。
当時は
檀家にならない=付き合いが希薄になる=法要依頼も少ない
と予想していました。
契約数は増えるものの、後のご供養が続かないのではないか?
とお寺の方も私達も懐疑的でした。
しかしながら、日々問合せを頂く方々、見学にお越しになる方々、納骨壇を契約された方々とのやり取りを記録し、「檀信徒のカルテ」を作成してこの「檀信徒カルテ」をもとにコミュニケーションを細やかに行った結果、たくさんの檀信徒さんのお役に立てるお寺となりました。
「檀信徒のカルテ」作成の際には、記録の仕方や共有方法も自分たちで考えながらスムーズなコミュニケーションが取れるようノウハウを蓄積してきました。もちろん、肝心のコミュニケーションも試行錯誤しながら、いかに「信頼・安心していただけるか?」「仏様、ご先祖様に手を合わせる機会を増やしていくか?」を模索しました。
こうして10年間、「檀信徒カルテ」をこつこつと記録してきた結果、回忌法要を迎える方の80%以上が法要を依頼してくださるようになりました。
この時は「こんなに法要の依頼があるとは・・・」とお寺の方が驚いていました。
ご法要の他にも葬儀・戒名授与・追善供養といった法務ご依頼をいただけるようになりました。また、法務だけではなく、「娘が結婚した」「孫が大学に受かった」といった近況報告から「自分になにかあったらどうしたら・・・」「介護施設に入ることになったからもしものことを相談したい」といった終活相談までさまざまなご連絡をいただきます。
得たご縁をカルテ化することで、次に檀信徒の方にお会いした時に前回の記録を元に円滑で思いやりあるコミュニケーションをとり、少しづつ信頼関係を築いていく。
そうすることで、現代においても「必要とされるお寺」になることが可能だと日々実感しています。
こうした「1人1人のご縁を大切にする」ことに共感くださるお寺のみなさまと「檀信徒カルテ」のノウハウを共有・研究し、よりより寺院活動のお役に立つことを願って、檀信徒カルテの研究所を立ち上げました。
共感してくださるお寺の方はぜひ、「メールマガジン」「講座」「お問い合わせ」の中からお考えに沿った方法でご参加ください。
心ある寺院のみなさまと共によりよい寺院のあり方を模索していければと思っています。
檀信徒カルテとは?
目的:「必要とされるお寺」になる
檀信徒カルテの使い方:
記録する
確認する
檀信徒カルテで実現できること:
檀信徒と血の通ったコミィニケーション
僧侶・寺族・スタッフ間の共有
次世代への引き継ぎ
その他の利点:
年間の法要依頼・行事参加・塔婆・回向依頼数の把握と予測
堅実な寺業計画の組み立て
檀信徒カルテの基本項目
檀信徒基本情報
親族情報
過去帳情報
やりとりの履歴(契約、葬儀、法要 など)
履歴から見えてくる檀信徒のニーズ事例
檀信徒自身が自分の弔いや福祉課題に気づいていないことが往々にしてあります。
寺院と檀信徒の関わりにおいて、檀家帳が高齢者リストになりつつある現代の寺院が個々の檀信徒と真摯に向き合うことは、檀信徒自身の課題発見につながります。
そこで、履歴の付け方が非常に重要だと私たちは考えています。
例えば、本人が「永代供養墓は用意してあるから大丈夫ね」と述べた事実を記録しつつ、実際には10年以上前に契約した永代供養墓であり、実際に亡くなった場合に「誰が遺骨を寺院に運ぶのか?」「そもそも誰が亡くなった際の連絡を寺院に行うのか?」が決まっていない客観的事実を記録します。
この場合に、寺院として確認すべきことや本人と話し合わなければいけないことはなんでしょうか?
このように記録することで気づきを得て、次回の対話の際または自ら声をかけてこの課題を解決することが可能になります。
檀信徒カルテの記録領域
供養に関することを中心として、寺院が活動している「福祉活動」や「行事」への檀信徒の参加記録も合わせて管理することを推奨しています。今後の寺院は供養だけではなく、グリーフケア、臨床、介護、看護といった地域包括的な役割も檀信徒に期待されることが予測されます。「檀信徒の記録」としてカルテにはいずれの情報も記録することが望ましいと考えています。
檀信徒カルテの管理3原則
更新できる
必要な情報をすぐ確認できる
消失させない
檀信徒カルテ研究所の活動
檀信徒カルテを実施するうえでの規定制定
檀信徒カルテのテンプレート提供
檀信徒カルテのクラウド管理「寺務台帳」の提供
檀信徒カルテを実施する寺院の活動支援
檀信徒カルテの記録の仕方・事例の共有
檀信徒カルテを実施する寺院の定性的な活動研究
檀信徒カルテ研究所にご興味がある方へ
檀信徒カルテに関連する情報
仏教界でもあまり公に論じられることのない「住職交代」。
「ご縁を大切にする寺院」であるために、寺院の住職がどのようにしてその縁の記録を残し、次代に継承していくのか?を僧侶と考える連載。
檀信徒カルテ研究所 主宰
せいざん株式会社取締役 池邊文香(いけべ あやか)
大阪府生まれ。関西大学社会学部卒。新卒で「葬儀サポートセンター」「霊園・検索サイトついのすみか」などで喪主の相談を受ける相談員と事業リーダーを経験。現在まで8,000件以上に及ぶ「供養」にまつわる悩みに応えてきた。社の理念である「敬う心をひろげ、次世代につなぐ」に貢献するため活動。
「当たり前のことを見直す」ことを信条として、これからのお寺の課題解決のお手伝いを行っている。
日本弔い委任協会 理事 (株式会社寺院デザイン等と共同運営)
星野哲氏主宰 立教大学社会デザイン研究所 看取りと弔いの社会デザイン研究会メンバー
小川有閑氏主宰 ライフエンディング研究会メンバー
大正大学会報誌「地域寺院」にて「これからの寺檀関係」連載執筆中
毎日新聞主催シニアライフカウンセラー資格講師 など
講師実績
本山、地域の寺院、大正大学、毎日新聞、各寺院、各自治体 など年間を通してゲスト講師を多数務める
檀信徒カルテ研究所に込めた想い
本研究所はお寺(僧侶、寺族)が檀信徒についての記録を「カルテ」として残し、日々の教化および檀信徒の生活支援に役立てることを目指して立ち上げました。
現代の寺院が檀信徒と交流するうえで、「檀信徒に関する記録」は重要です。
本研究の運営母体であるせいざん株式会社は株式会社でありながら寺院内に事務所を設け、庫裏と廊下一本で繋がった距離感で僧侶・寺族と二人三脚で檀信徒の応対を行ってきました。
寺院清掃、電話応対、お参り対応、法要受付、葬儀の事前・緊急相談、葬儀社手配、書類管理、管理費徴収、お手紙郵送、お彼岸やお施餓鬼などの季節供養の準備、おひとりさま支援、介護施設選定、遺言執行人、代理法要、終活相談。法務(読経・戒名授与など)以外のおおよそのことを10年以上お手伝いしてきて感じたのは「檀信徒の記録の大切さ」でした。
「個の時代」になり、檀信徒が抱える課題も複雑化する中で、「前回の会話」「檀信徒の悩みごと」「頼まれていたこと」「前回の法要」「前回の葬儀」「前回の法話」「戒名の由来」。その1つ1つを人間の記憶に頼るには限界を迎えています。一方で、これらを取りこぼしてしまうと目の前の檀信徒の立場に立ってみると「覚えてくれていないのか・・・」「また同じ話をしなきゃいけない」といった不安や不満に繋がり、信頼関係の希薄化や供養心の阻害になりかねません。
そこで檀信徒のカルテを作成することで檀信徒との記録を残し、属人的な記憶ではなく寺院として共有・継承していくことが大切だと私達は考えています。
実際に、カルテを作成してきたことで寺院と檀信徒の関係性も高まり、結果的に法要依頼やお参りの増加に繋がっている実感を持っています。
また、何よりも檀信徒との交流を記録し、観察することで檀信徒に寺院が何を求められているのか?縁ある人々に何を価値と感じてもらっているのか?といった「気づき」を得ることが大切だと感じています。
記録するためのカルテではなく、寺院がカルテの記録と振り返りを通して、寺院の課題や寺檀関係の課題を発見し、「宗教者・菩提寺として今できることの気づき」に繋がる。
そのようなお寺のカルテ文化が醸成され、寺院の社会的資源価値の向上に寄与できることを願っています。
最後に、設立にあたり、私の考えにご賛同くださり、お知恵を提供してくださった僧侶のみなさまに心から感謝申し上げます。
檀信徒カルテ研究所 主宰
せいざん株式会社 取締役 池邊文香
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