異文化コミュニケーション学

ゼミナール

Intercultural Communication Studies Seminar

ゼミナールの概要

異文化コミュニケーション学ゼミナール(石黒ゼミ)では、異文化コミュニケーションに関連するテーマについて学際的・分野横断的な視点から研究を実施しています。とくに、組織的コンテクストで生成される異文化コミュニケーションとそこでの関係性に着目し、異文化コミュニケーションを多面的多層的動的にとらえるため、院生、学生、そして教員の間で意見交換をしながら研究を進めています。


ゼミナールの歴史

これまで複数の大学で「異文化コミュニケーション学ゼミナール」を実施してきました:

2008年度~2014年度 明海大学外国語学部英米語学科 (なお、2009年度は、文京学院大学外国語学部英語コミュニケーション学科のゼミナールを代講)

2017年度~2018年度 順天堂大学国際教養学部国際教養学科(新設学部立ち上げに参加し、2015~2016年度はゼミナールを担当せず)

2018年度~2020年度 武蔵野大学グローバル学部グローバルコミュニケーション学科・武蔵野大学大学院言語文化研究科

2021年度~現在 立教大学異文化コミュニケーション学部異文化コミュニケーション学科立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科コミュケーション研究領域

 キーワード多文化組織(multicultural organization)、多文化ヴァーチャル・チーム(multicultural virtual team)、異文化コミュニケーション(intercultural communication)、異(differentness)、非対称性(asymmetry)、組織ディスコース(organizational discourse)、言説的リーダーシップ(discursive leadership)、ファシリテーション(facilitation)、知覚構成主義(perceptual constructivism)、相互適応(mutual adaptation)、共創(co-creation)、メタ・コーディネーション(meta-coordination)、メタ意識(meta-consciousness)、エージェンシー(agency)、構成主義(constructivism)、対話的構築主義(dialogic constructionism)、語り論(narrative theory)、質的研究(qualitative research)、エスノメソドロジー(ethnomethodology)談話分析(discourse analysis)、ライフストーリー・インタビュー(lifestory interview)、羅生門的現実(rashomonian realities)、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(modified grounded theory approach)、コンテクスト・シフティング(context-shifting)、同型の帰属(isomorphic attribution)、(再)コンテクスト化(recontexualization)、パワー(power)、インターセクショナリティ(intersectionality)、多元的察し(multiple guessing work)、文化的仲介意識(cultural brokerage consciousness)、時間的仲介意識(temporal brokerage consciousness)、デジタル媒介意識(degital medium consciousness)

 ゼミナールの主な活動

講義、演習における発表・ディスカッション、研究相談、論文執筆、合宿、学会・研究会への参加(主に大学院生)など

近年の卒業論文タイトル

・LMXを用いた日本人型グローバルリーダーシップの開発── 北米組織における地域特殊スタイルの検討

・日本企業の海外進出に必要な人材とその育成方法について── インタビュー調査に基づく実態把握と提言

・日本の多国籍企業における異文化ファシリテーターの役割と育成方法── ライフストーリーインタビューを用いた語りの分析

・日本における多国籍企業のグローバル人材育成方法について── ブリッジ・パーソンのメンタルモデルの分析を通じて

働きやすい職場環境を実現するリーダーシップフォロワーシップの在り方──変革型リーダーシップの視点から

日本企業における社内英語公用語化の影響と社内コミュニケーションの変化──楽天のケース分析とアンケート調査から

・技能実習生が抱える職場内におけるコミュニケーション問題──日本語教育の観点とそこからのアプローチについて

多文化組織において日本人リーダーと異文化出身フォロワーが相互に行う対等な関係づけとは── 自律型組織を生み出すシェアド・リーダーシップの視点から

日本の大学に求められるリーダーシップ教育のかたち──シェアド・リーダーシップに基づく受講成果インタビューを通して

・日本の企業成長を担う組織風土と人物像── インターナルコミュニケーションという観点から

航空安全に携わる異職種間のコミュニケーション──ヒューマン・エラーを低減する取り組みを中心に

・ティール組織におけるコミュニケーション── これからの日本企業のあり方を探究して

・フォロワーの対人ストレス回避・軽減を実現するリーダーシップスタイル── サーバント・リーダーシップの視点から

・アメリカの学生社交クラブ「グリークライフ」における組織コミュニケーション── その社会的認識とフィールドワークを中心に

・市民参加のまちづくりにおける多様な主体のコミュニケーション── 「まちづくりファシリテーター」の特徴について

・外国籍の相手とのコミュニケーションにおける日本人のナショナル・アイデンティティに関する分析

LGBT当事者教員の必要性について問う──異文化感受性発達モデルを軸に考察する 

日本におけるベジタリアン学生自分らしく生きられる社会実現の関連性 ──ドイツのベジタリアン学生からみえる社会認識の違いを通して 

「異文化理解力」や「異文化コミュニケーション能力」を育むための教育方法──義務教育課程で修得すべき考え方やスキルを中心に

・日本の義務教育での異文化及び多文化教育における美術の有用性について──構成主義的視点から

日本アイドルの海外進出促進に必要な戦略とは── K-POPの成功事例との比較分析

MBTIの外向性と内向性──大学生のSNSとリアルで性格差異


近年の修士論文タイトル

・日本企業における日中間の異文化間コンフリクトとその要因に関する考察── 中国人社員の視点から捉えられるリアリティを中心として

・在日中国人留学生のライフストーリーにみる無意識の差別── マイクロアグレッションという視点から

・「ハーフ」に対する差別的言動をめぐる当事者の向き合い方と心理的変化── 学校・家庭に関するライフストーリーの分析を

中心にして

現ゼミメンバーの研究テーマ

学部生

4月に数名追加予定

大学院生

ゼミ合宿(4年生・院生対象)における研究発表

2022年度 9月13日(火)~9月14日(水)神奈川県三浦海岸にある施設にて実施:個人研究発表と質疑応答&懇親会

2023年度 9月29日(金)~9月30日(土)神奈川県三浦海岸にある施設にて実施:個人研究発表と質疑応答&懇親会

(2023年度の様子は「イベント報告」のページをご参照ください。)

ゼミナール担当者の自己紹介

石黒武人(Taketo ISHIGURO) 

立教大学異文化コミュニケーション学部教授

専門:異文化コミュニケーション学(博士:異文化コミュニケーション学 [立教大学、2008年3月])、組織ディスコース研究

紹介サイト(Researchmap):https://researchmap.jp/read0143823

ご興味がある方は、こちらから論文をダウンロードできます

 担当者の近年の関心

多文化ヴァーチャル・チームにおける日本人リーダーの認知的志向性(時間的仲介意識、文化的仲介意識、デジタル媒介意識、知覚的複雑性、認知的複雑性、統合的複雑性)

・Dr. Milton Bennettによる知覚構成主義に基づく異文化コミュニケーション研究・教育、とくに異文化感受性発達モデルの「統合」(intergration)と多文化チームにおけるリーダーたちの認知的志向性との関係

ライフストーリー・インタビュー調査に基づく語り手の認知モデルの構築

多次元のモノ(物理的なモノ、制度的なモノ、観念的なモノ)とコミュニケーション とのかかわり;脱人間中心主義的枠組みからのコミュニケーション理解 ←アクターネットワーク理論、ミシェル・セールの準-客体

・領域を超えた研究者・実践者の相互交流・相互学習・共同研究のための「領域(分野)横断的コミュニケーション」(とくに、多文化関係学会における「縁側」知という概念の学会活動における具体的展開)

「縁側」知についてはこちら:https://www.akashi.co.jp/book/b615350.html

【研究ブログ】はこちらから:https://researchmap.jp/read0143823/research_blogs


多文化組織におけるリーダーシップとディスコース(テクストとコンテクスト)

学術的には、1970年代以降のリーダーシップ研究において、社会構築主義などを背景とし、「組織のメンバー/フォロワーによってリーダーとして知覚されることがリーダーシップである」といった考えが提示され、メンバーの主体的認知者としての役割やリーダーとメンバーの相互行為に関心が集まり、近年特に、リーダーとメンバーが相互に関わる中で生成されるディスコースが組織の生産性、メンバーの満足度、離職率、差別、持続可能性といった多様な側面に影響を与えている点が認識されている。

さらに、こうした多文化組織におけるディスコースは、近年、国籍のみならず、ジェンダー、宗教、職種、身体能力といった多様性を射程とし、また、組織に影響を与えるSDGsや新自由主義といったグローバルに展開する思想の影響も視野に入れたものである。

(石黒武人「様々な機会への扉」『わたしの学術書』pp. 80-81より)



【異文化コミュニケーション研究に関連する諸学会のご案内

異文化コミュニケーション学会(SIETAR Japan)、多文化関係学会、日本コミュニケーション学会、異文化間教育学会

異文化コミュニケーションに興味がある方向けのサイト

多文化関係学会サイトhttps://js-mr.org/  

 ⇒ホームページでニュースレターが公開されており、学会活動の様子がよくわかります。

異文化コミュニケーション学部案内 2024 https://www.d-pam.com/rikkyo/206134/index.html#target/page_no=1]

 ⇒ゼミ担当教員の所属学部の案内です。