片山 惠輝(かたやま よしき)
在学中は様々な素材で彫刻を制作し、 その楽しさや難しさを学びまし た。特に魅力を感じた木彫は日本古来から伝わる仏像を自身の制作の参考にすることもありました。しかし、 制作中は造形カ ・精神カ ・技術力等々 の面で自身の未熟さを感じることも多々ありました。 そこで私は日本古来の木彫(主に仏像などの文化財)の修理に携わり、 仕事をすることで自身の成長に繋がればと思い現在の職業に決めました。
就職して15年以上経ち 、 今は文化財修理の奥深さや難しさを実感することが増え、経験・知識・技術・失敗時の対処等々の重要性を日々学びながら仕事をしています。そんな中、修理作業する上で必要な彫刻作業や団体作業での協調性等は本学で学んだ要素も多く、今でも自身の活動の大きな支えとなっています。
私はまだまだ半人前ですが、この修理をするという行為で地域活性に役立てることを願っていて、少しでも多くの人にこの仕事のことを伝え続けていきたいと思います。
記載されている情報は2022年大学案内のものです。図版及び文章の無断転載を禁じます。
本郷 芳哉(ほんごう よしや)
私は現在、彫刻家として展覧会への出品や、パーマネントの作品の制作などの活動を行いつつ、東京藝術大学の彫刻科で非常勤講師を務めています。
近年、彫刻、もっと言ってしまえば美術というものが非常に狭い世界であると感じると同時に、それが私たちの生きる社会にとってとても重要なものであると改めて強く感じています。
今、地域創世の事業や福祉、教育など様々な側面で芸術のもつ力が注目されています。彫刻家、作家であるがこそ、ジャンルを超えた多くの人との出会いがあります。作品を通して社会とつながっていくことはもちろんですが、様々な人が生き、社会がつくられていく中で、作家のもつ視点や動きがそれらを繋ぎ、新たな社会を作っていくことも芸術の、作家の一つの大切な役割だと思います。
また、多様化する芸術の表現の中で様々な作品が生まれていますが、作家として活動していく基礎となる教育が大学で行われていくことは重要だと思います。豊かな自然、ゆったりとした環境の中で、自分や彫刻と向き合うことのできた沖芸で過ごした時間は、今でも確実に私の中で息づき、作品の根底にある大切な部分を支えています。
今後も幅広い作家が沖芸から生まれていくことを期待しています。
記載されている情報は2019年大学案内のものです。図版及び文章の無断転載を禁じます。
大谷 滋 (おおたに しげる)
大谷工作室
僕はいま、大谷工作室という芸名で、主に焼き物で作った立体作品を制作して暮らしています。
壺や人形のようなものを大小いろいろ、3メートル位から2センチ程の小さいものまで、いろいろ作っています。
粘土をぺちゃぺちゃ付けたり取ったり、でこぼこ具合を見ながらいい具合になれかし、と作る仕事です。
大学で学んだ彫刻の考え方みたいなものが、今の仕事を支える柱の一つとなってくれているのを実感しながら作っています。
彫刻の考え方とは、でこぼこ具合への理解、ボリュームのつながり方など造形的な教養の一つ、芸術ジャンルの基礎研究の大事な部分の一つだと思います。
その勉強は話や画像だけではわからない 自分で時間をかけて作って直してやっているうちに少しずつ理解が進むような抽象的なものでした。
東京など、文化的な刺激の強い大都市から離れた沖縄で、4年間、彫刻を学べてよかったと思っています。
記載されている情報は2017年大学案内のものです。図版及び文章の無断転載を禁じます。