遺言書は本来、亡くなった方(被相続人)の最終意思を尊重するための重要な文書です。
しかし、現実には
・内容が極端に偏っている
・筆跡が本人と違う
・遺言作成時の判断能力が疑わしい
など、本当に本人の意思によるものか疑われる遺言書 が存在します。
こうした場合、相続人は 、遺言無効確認訴訟を通じて、裁判所に遺言書の有効・無効を判断してもらうことができます。
三津間法律事務所では、筆跡鑑定・医療記録調査・関係者聞き取りなど、証拠収集から訴訟対応まで一貫してサポートいたします。
遺言書は民法で厳格な方式が定められており、方式に違反すれば無効となります。
・自筆証書遺言で全文・日付・署名が本人以外によって書かれており自筆になっていない
・本人の印ではない
・公正証書遺言に必要な口授が行われないなどの作成手続に重大な瑕疵がある
・代筆が行われた可能性がある
・ビデオや音声だけで遺言が作られている(法律上は無効)
遺言作成時の本人の遺言能力(意思能力)、つまり、遺言内容を理解し、遺言結果を判断できる能力が欠けていた場合も無効です。
・認知症が進行していた
・意識障害・せん妄状態だった
・重度の精神疾患があった
・思考判断に影響を与える薬物治療を受けていた
これらの事情がある場合、裁判所に遺言の無効確認を求めることができます。
遺言無効を訴訟において主張するには、裁判所に対し説得力のある証拠を整理して提出することが不可欠です。
自筆証書遺言であれば、使用された筆記用具のインクの一致、筆圧、余白、差し替えの可能性などを精査します。
遺言作成日前後の診療情報は、意思能力の有無を判断する重要な資料で、最も基本的な資料です。
認知症の進行度や日常生活の様子を示す客観的資料となり、遺言無効確認訴訟において最も重要な証拠になることが多いと言えます。
本人の署名・普段の筆跡と照合して、不自然な相違を明らかにします。
遺言作成当時の、遺言者の状況を具体的に証明するために有用です。
三津間法律事務所では、必要に応じて 医師・介護施設・筆跡鑑定業者等 と連携して証拠を収集します。
① 調査・分析
遺言書の形式・筆跡・医療記録などを確認し、無効主張の可能性を判断します。
② 相手方との交渉
任意の話し合いで解決できる場合もあり、遺産分割の合意が可能なケースもあります。
③ 家庭裁判所へ遺言無効確認を求める家事調停申立
任意での協議で解決しない場合、家庭裁判所に調停を申し立て、家庭裁判所主導で調停を行います。
④遺言無効確認訴訟
調停がまとまらない場合、地方裁判所に遺言無効確認訴訟を提起します。
すべての証拠をもとに、地方裁判所が遺言の有効・無効を判断します。
遺言無効確認を求める手続きは、医療記録・介護記録・筆跡など多くの証拠を総合的に検討し、効果的な主張を組み立てる必要があります。
そのため、相続発生後速やかに専門家による証拠収集、判断をすることが非常に重要で、遅れると、本来無効であるはずの遺言書を基に財産を処分されてしまう可能性があります。
三津間法律事務所では、早期に証拠収集を行い、証拠の優先順位、医学的観点からの意思能力の分析、筆跡鑑定の必要性判断を迅速に行います。
対立を最小限に抑える交渉戦略を練り、収集した証拠を総合的に検討し、最も有利な解決を目指します。
遺言無効の争いは相続人間の関係が大きく悪化しやすいため、専門家である弁護士が介入することで、冷静で適切な対応が可能となります。