Keynote: 西條玲奈(東京電機大学)
参加登録:https://forms.gle/2oXkCtYHLDGkSvA96
ワークショップ終了後に懇親会を予定しています。
懇親会への参加を希望される方は、10月18日までに登録をお願いします。
社会存在論(social ontology)は、社会領域に関する形而上学的探究として幅広いテーマを含み、それゆえ社会に関わるさまざまな学問領域と接続されることが期待されます。にもかかわらず、日本では、社会存在論とそれらの領域の交流はそれほど盛んではありません。このワークショップは、そうした状況に進展をもたらすために、さまざまな分野の研究者に相互交流の場を提供し、社会存在論をより魅力的な分野として発展させることを目的としています。
第2回となる今回は、キーノートスピーカーとして西條玲奈さんに講演していただき、さらに発表者を数人程度公募します。
社会にかかわるあらゆる探究を歓迎します。
13:15–14:15(Keynote)
西條玲奈「「評価が同等である場合は女性を優先して採用します」の「女性」とは誰のことであるべきか」
〈要旨〉本発表は大学教員等の公募文書にある「評価が同等である場合は女性を優先して採用します」という文言を事例に、フェミニスト哲学における「女性」概念の定義に対する批判的論点を踏まえ、定義を行うことが差別への抵抗に有益になることを示す。定義問題の背景には、Alcoff(1988)が述べるフェミニズムのアイデンティティクライシスに代表される、定義に伴う排他性の回避と明確さの要求を両立する困難がある。すなわち女性概念を定義することで、その要件を満たさない人を差別是正を訴える主体から排除し、性差別を温存する危険性がある反面、女性とは誰かを明示しなければ不正を被るのは誰のことか曖昧になるという問題である。本発表では、Haslanger(2005)が提案する分析フェミニズムの手法のうち、改訂的アプローチに基づき、公募文言の「女性」概念がどのような意味で用いられているか記述的に分析した上で、性差別の是正という観点から次のような評価基準で代替案を考える。第一に社会的抑圧の説明である。公募の当該文言は、社会の差別を是正するために実施される政策の一環である以上、「女性」概念もこの抑圧を反映する必要がある。第二に包摂性である。性差別の説明において、シスジェンダー中心的な記述を避け、トランスジェンダーやノンバイナリーの人たちの利害を無視せず、不利益に加担しないことである。第三の基準はアイデンティティの尊重である。その個人の性別に対する自己理解や経験に敬意を払うということである。これらに基づき「女性」概念よりも、「シスジェンダー男性以外の人」と改めることが性差別の是正という理念上に照らすと望ましいと結論する。
14:15–14:30 休憩
14:30–15:30
岡汐美「身体性の持つ政治的効力について:生きてるだけで政治的」(都合によりキャンセル)
→吉原雅人「タイトル未定」(「人工物としての法」についての発表)
15:30–16:00 休憩
16:00–17:00
中村颯太「行為する集団の存在論:プティットの議論を中心に」
〈要旨〉「ある会社が不祥事を犯した」、「日本政府が決断した」のように我々は個人ではない「集団」が行為主体であるかのように記述することがある。本発表はこのように行為するとされる「集団」の存在論的身分について、「方法論的個人主義」と「集団の実在論」の両立を主張しているプティットの議論を中心に検討する。ここにおける「方法論的個人主義」とは「社会現象に関する良い説明というのは個人の行為者性に由来するもの以外のいかなる社会的な力も措定すべきではない。」(Petit and List 2011 3p)というものである。この一見矛盾した二つの立場を両立させるためにプティットが持ち出すのが「集団の行為者性はその構成者個人にスーパーヴィーンする」というテーゼである。「方法論的個人主義」と「集団の実在論」とその両立を支える「スーパーヴィーン」テーゼがどのような関係にあるのか、またその議論は妥当なのかについて検討する。