1)失行の分類
①肢節運動失行
②観念運動失行
③観念失行
・失行の上記の分類は、用語が難解に見える。
・では、この3つの失行はどうして、こういう名前になったのか?この分類は、20世紀初頭にリープマンが考えたものである。
用語がむつかしいのは、「着衣失行」のように、「見た目から命名した」のでなく、「リープマンが想定した機序」から命名したからである。
*差し示しているもの自体は、それほど難解ではない。「着衣失行」のように、「できないことで命名」すると、①肢節運動失行>細かい動作失行、②観念運動失行>しぐさ失行(「使うふり」「サイン」を含む)、③観念失行>道具使用失行とでもなる(正式名ではないが)。
・オリジナルの症例が、以下のリンクから参照できる。
図2に右手に失行がある人のイラストがでている。水差しやブラシを変な使い方をしているイラストがでている。
・リープマンは「ブラシをうまく使えない」症例を見て、失語と、同じ枠組みで理解しようとした。失語では、「聴理解>伝導>発話」のプロセスがあるように、失行では、「観念>伝導>運動」のプロセスがあるのではないかと想定した。
*失行と、言語の病態図との類似性を見ることができる。
・リープマンの提唱した「観念」というのはむつかしい言葉だが、ここでは、「櫛を使うのはこんなことだ」という「イメージ」のようなものと思えばよい。
さて、リープマンの考えを採用すると、「3観念>2伝導>1運動」の流れに沿って以下のような病態が想定しうる。
1,そもそも細かい運動に問題がある(だが麻痺ではない)
>細かい動作ができない(コインをひっくり返せない)
⇒①肢節運動失行に相当(言語のBroca失語に相当)
2,「櫛を使うのはこんなことだ」というイメージはあるのだが、伝導に問題がある
>「櫛を使うふりをしてください」と言われてもできない
⇒②観念運動失行に相当(言語の伝導失語に相当。「復唱ができない」に意義が近い)
3,「櫛を使うのはこんなことだ」という「イメージ」がない人
>櫛そのものをつかえない
⇒③観念失行に相当(言語のWernicke失語に相当。言語にインプットが入らないように、道具のインプットがあっても使用ができない。)
以上のように分類できる。
・他の分類
なお、失行は失語より機序が複雑と考えられており、リープマン以外にも他の分類やモデルのバリエーションがある。(失行の様々なモデルの紹介・外部リンク)
だが、慣例的に、リープマンの用語は今でも使われているので、この用語が残った。
2)失行の実例
動画リンク
1:20 観念失行、「空飛ぶじゅうたん」を出そうとして、間違った敷物を出しています
1:35 観念運動失行、「のび太君またね」「敬礼してください」に対する反応が変です
*余談ですが、ドラミが出した敷物の道具は、名前がついていたのですが、問題があるということで、削除されたそうです。(封印されたドラえもんの道具外部リンク)