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創立30周年を迎えて

学校法人 睦学園

理事長 渡邉 東

本年、神戸国際中学校・高等学校(略称KIS)が、神戸市須磨区高倉台の地に産声を挙げて、30年の歳月が流れました。これもひとえに皆様方のご指導、ご協力のたまものと心から感謝申しあげます。

さかのぼれば、このKISの設置母体である学校法人睦学園は、1921年聖徳太子薨去1300年祭を記念して、「仏教の日曜学校」を創設したことに始まります。従って、学園の建学の精神は、『聖徳太子の御徳を慕い、その十七条憲法に示された「和」を根本精神として仰ぎ、仏教主義に基づく情操教育を行い、有為の人材を養成することを目的とする。』ということです。そして、建学の精神の行動規範として、感謝(生かされる心)・寛容(信じあう心)・互譲(たすけあう心)を学園訓と定めています。学園の名称である「睦」も、そのような「和」の精神にちなんで名づけられているのです。

現在、学園は、3つのキャンパスに大学・短期大学、2つの高等学校、中学校、そして、2つの附属幼稚園と、7つの学校を有してします。

かえりみますと、高倉台キャンパスの構築の構想を開始したのが1981年、1983年2月具体的建設計画、1987年10月造成工事着工等を経て、1991年総面積約54,000㎡の校地が完成し、1973年から休校していた須磨ノ浦中学校を再開。校名を神戸国際中学校と改称して、開設したのです。その後、第1期生が卒業するのに合わせて、1993年神戸国際高等学校の新設申請を入学定員90人で行いました。これは学園の併設校である須磨ノ浦女子高等学校(現 附属須磨ノ浦高等学校)の収容定員を減じて行い、神戸国際高等学校は、1994年に開校したのです。

正門には他のキャンパスと同様に四本の円柱があります。古来、仏教には東西南北の四つの方向にそれぞれ、持国天・増長天・広目天・多聞天がおられて、理想の国を守護するという思想があります。本校の正門の四本の円柱もその思想に由来するものです。そして、学園建学の精神の源であり、また遣隋使を派遣するなど、日本における国際交流の先駆者ともいえる聖徳太子の像が、正門階段のかたわらに佇んでいます。

一方、キャンパスの建物は、平面構成でみると「正方形」、でも、校舎中央のメモリアルホールは「円形」、図書館の屋根は「三角形」と幾何学的な造形で構成されています。

子どもの個性は、ユニークなもの、〇の子も△の子も□の子もいる。〇の子を△にしたり□にするのではなく、〇は〇のまま、その特性を伸ばして大きく育てていく教育を、という思いをこめて造られています。

「制服がない」「チャイムがない」、校則も最小限で生徒の自主管理に委ねる。自由で伸び伸びと、個性を伸ばすための6ヶ年一貫教育。海外語学研修なども、豊かな知性と気品、一人ひとりの個性を育てるためのもの。いろいろな個性との出会いが素晴らしい青春をつくることを願って・・・。

 このKIS教育の精神をこれからも大切に歩みつづけてまいりたいと思っております。

今後とも、皆様方の格別のご指導、ご鞭撻を賜り、末永くKISを見守っていただきますようお願い申しあげます。

創立30周年を迎えて

神戸国際中学校・高等学校

校長 澤田 陽一

記念誌の発刊に当たり、一言ご挨拶を申し上げます。神戸国際中学校・高等学校は、この4月に創立30周年を迎えることができました。このような時に、在職在学し、記念式典を挙行できますことはこの上ない喜びであり、この喜びを学校全体で厳粛に受け止めたいと思います。

創立30周年を迎えるにあたり、これまで様々な面でご指導、ご支援くださいました兵庫県私学総連合会をはじめ地元関係者の皆様、そして本校発展にご尽力賜りました歴代校長先生をはじめ教職員の方々、保護者会、同窓会、KIS MEETS(卒業生保護者会)各位に心から感謝申し上げます。

さて、本校は、発展する学校法人睦学園の中、1991年4月に、それまで休校中であった須磨ノ浦中学校を再開し、名称を神戸国際中学校として産声を上げました。その3年後1994年3月には、神戸国際高等学校の設置が認可され、4月に6年中高一貫校の神戸国際中学校・高等学校が誕生しました。神戸の国際性と少人数制の特色ある女子校づくりは、校祖 鶴崎 規矩子先生や校母 河野 仙代先生、校主 河野 厳想先生の思いをさらに継承するものとなりました。開校当初の現兵庫大学附属須磨ノ浦高等学校内にある河野記念館を仮校舎としてはじまり、1992年に現高倉台キャンパスに新校舎が完成し、2学期から新校舎に移転しました。当時神戸の地には、帰国子女問題に象徴されるような国際化に対応した教育が求められる要請があり、その期待に応えるべく本校が設立された経緯とともに、一方神戸の西部地区に女子の進学校という周囲の期待も強くありました。初代 河野 伸之校長提唱の「KISは皆でつくる」を合い言葉に、生徒、保護者、教職員が一丸となって、KISの校風樹立に努め、個性を尊重し、国際性を養い、一人一人を大切にする学習指導と進路指導の充実を通じて、今日に繋がる大きな成果を残してきております。

特にこの10年間を顧みますと、2016年度から長期休業中の補習授業の充実やトワイライトレクチャー(校内予備校)を開講し、更なる学力の定着と伸長を図っております。そして、2017年度入試から高校入試を導入し、高校からの入学生を受け入れております。2018年度からは、それまで高校1年生で実施していたニュージーランド研修を中学3年生に移行し、早期に国際感覚や実践的な語学力を身に付けさせるようにしております。課題研究についても中学3年生から2年間かけ、より完成度の高いレポート作成に取り組ませ、高校2年次の海外研修や将来の進路選択にまで結び付けれるよう工夫しております。また、3ヶ月以上の海外留学については授業料相当の特別奨学金を付与し、学校として奨励しております。進路別コースについても、高校から総合文化コース・理数医歯薬コースともⅠ型・Ⅱ型に分け、更にきめ細やかな学習指導・進路指導に努めております。このように本校は、高い学力と語学力、そして人間力の3つの力を育む中で、21世紀型スキルを身に付ける事を目指す学校として、生徒、保護者のみならず社会の期待に応える教育を展開しております。

急速な国際化、情報化、少子高齢化など先行き不透明な時代にあって、目先だけでなく、10年・20年先を見据えた新しい発想や事象の本質を見通す鋭い目、自らの可能性を信じて挑戦し続ける強い志を持った自立した女性を育成していかなければならないと考えております。創立30周年という節目の時を迎えるにあたり、「和」の建学の精神、「感謝・寛容・互譲」の学園訓のもと、タグライン「個を生かす 進学に強い女子校」を掲げ、保護者会、同窓会、KIS MEETS(卒業生保護者会)、地域の方々と一体となった教育活動を展開し、更に格調高い、創造的な校風の樹立に邁進する所存でございます。今後とも、本校に対し、皆様方の一層のご指導、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。

末尾になりましたが、創立30周年に際し、本校に寄せられました関係各方面からの温かいご厚情に感謝申し上げますとともに、本記念誌の発刊にあたりまして玉稿をお寄せいただきました方々に心からお礼申し上げます。