2025.10.11
amiable と amicable は同じラテン語を語源に持つ二重語である。amiable は後期ラテン語の amīcābilem「友好的な」から発達した(古)フランス語の amiable から借用したものである一方、amicable は後期ラテン語の amīcābilis「友好的な」から直接借用されたものである。また、amīcābilem と amīcābilis はラテン語の amīcus「友人」に遡るが、それ以前の語源は明らかになっていない。
意味の観点から amiable と amicable を比較すると、amicable は?1425年以前から語源であるラテン語と同じく「友好的な」の語義で用いられているのに対し、amiable は1375年以前から「†愛すべき」(1877年に廃義)、1380年頃から「愛想のよい」の語義で用いられている。『英語語源辞典』によると、amiable は古くは人だけでなく事物についても用いられた。また、amiable における「愛すべき」の語義はフランス語の動詞 aimer「…を愛する」から派生した aimable「愛すべき」との混同によるもので、aimer は古フランス語の amer、ラテン語の amāre に遡る。フランス語では英語に借用された amiable は法律用語に限られ、通常は aimable が用いられているという。英語には、語彙としてはラテン語から直接借用された amicable とフランス語を経由して借用された amiable があり、amiable の語義には語形のよく似た異なる語源のフランス語 aimable が入り込んでいたことになる。
参考文献
「Amiable, Adj.」寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』研究社、1997年。
「Amicable, Adj.」寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』研究社、1997年。