2025.9.26
along は古英語から「…に沿って、…伝いに」の意味で用いられている。古英語での語形は andlang, onlong であり、「…に対して、向かって」を意味する接頭辞 and- と、long「長い」と同根の -lang から成る。したがって、原義は「…と同じ方向にのびた、(何かに)長く相対して」であり、そこから「…に沿って、…伝いに」の意味が発達した。その後、?1200年以前から「縦に」、?1300年以前から「前方に、進んで」、1595–96年から「…と一緒に」の語義が生まれた。ちなみに、接頭辞 and- は answer 「答え」(古英語では andswaru)に見られるほか、「反…、非…」などを意味する接頭辞 ant(i)- と同根である(ant(i)- はフランス語・ラテン語からの借用とされている)。
『英語語源辞典』によると andlong から along への語形変化は子音群の同化(assimilation)によって起こった。まず andlong の d と l が同化して anlong となり、n と l が同化して allong となって <l> が1つの along になった。また、『英語語源ハンドブック』によると、along や long は印欧祖語 *del- の母音のない形 *dl- に基づくもので、ここから語頭音脱落(aphaeresis)で d- が落ちたため、印欧祖語の痕跡をとどめるのは l だけになっているようだ(p. 12–13)。
参考文献
「Along (2), Prep. & Adv.」寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』研究社、1997年。
「Ant(i)-, Pref.」寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』研究社、1997年。
唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一『英語語源ハンドブック』研究社、2025年。
キーワード:[assimilation] [aphaeresis] [Germanic] [Indo-European]