2025.10.21
amphisbaena は1398年以前の初出で、「(伝説の)両頭蛇」、また1833年から「ミミズトカゲ」を表す。ミミズトカゲはその名の通り、よく似た2組の手足を持つために頭と尾を区別するのが難しい爬虫類で、アメリカ大陸で見られる(OED, amphisbaena, n. 2)。ラテン語の amphisbaena から借用されたが、ラテン語の amphisbaena はギリシャ語の amphisbaina「前にも後ろにも動くことができるとされている蛇」から借用したもので、「両側に、周囲に」などを意味する連結形 amphi- と「行く、来る」を意味する bainein から成っている。
しかし、amphisbaena の中英語の語形は主に amphibena で、現代英語の綴字と比較すると <ae> が <e> になっており、<s> が脱落している。借用元のラテン語は amphisbaena であり、OED の用例を見る限り amphisbaena の語形は17世紀以降に見られることから、語源的綴字の流れによってラテン語を参照し、<e> を <ae> に置き換え、<s> を挿入したものと考えられる。多くの人が日常生活ではめったに使わない語であるが、2種類の綴字の変化が含まれている点で興味深い。
参考文献
「Amphisbaena, N.」寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』研究社、1997年。
“Amphisbaena, N.” Oxford English Dictionary Online, www.oed.com/dictionary/amphisbaena_n?tab=meaning_and_use. Accessed 21 October 2025.
キーワード:[etymological spelling] [Latin] [Greek]