2025.9.4
alive は「生きている」を意味する副詞・形容詞で、古英語期には on līfe の語形で用いられていた。前置詞 on が弱化し、接頭辞 a- となった alive の語形は12世紀後半頃から見られる。
古英語期の on līfe が表す通り、alive は前置詞 on と名詞 life から成る語であるが、古英語の名詞は現代英語とは異なり、性・数・格によって異なる屈折語尾がついた。on līfe における līfe は、中性名詞 līf に前置詞 on の支配を受けた与格の屈折語尾 -e が付いたもので、中英語以降もこの屈折語尾のなごりで -e が付いた語形になっている。また、古英語では <f> が用いられているのに対し、中英語以降は <v> も用いられるようになり、近代・現代英語の標準は <v> の綴字となっている。これは、古英語の -f- が有声音(母音)の間で /v/ と発音されたことによるもので、<v> の綴字はむしろ発音に忠実な語形ということになる。
また、『英語語源ハンドブック』は、alive がもとは前置詞句 on līfe であり、前置詞句が名詞を修飾する場合は、名詞の後ろに前置詞句が置かれていたために、形容詞となった alive も修飾する名詞の前に置く限定用法では用いず、補語として、あるいは名詞の後ろに置く叙述用法でしか用いることができないと説明している(p. 11)。
参考文献
「Alive, Adv. & Adj.」寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』研究社、1997年。
唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一『英語語源ハンドブック』研究社、2025年。
キーワード:[inflection] [intervocalic fricatives]