2025.8.24
記念すべき100回目の記事は毎朝かける人も多いであろう alarm から。alarm はまず1378年頃に間投詞の「戦闘準備(をせよ)!」の意味で現れた(1600年に廃義)。名詞としてはほぼ同時期の1380年頃に「非常招集」の意味で現れ、1523年に「騒音」、1586年に「警報(装置)」、1587年に「不意打ち」(1681年に廃義)、「恐慌、不安」の語義が現れた。「目覚まし時計」の語義は『英語語源辞典』には明記されていないが、OED によると1614年から用いられているようだ。
alarm は(古)フランス語の alarme から借用されたが、これはイタリア語の allarme から借用されたもので、‘to (the) arms!’ を意味する all'arme! に相当する。したがって、alarm の語源には「武器」を意味する arm が含まれていることになり、間投詞の「戦闘準備(をせよ)!」の語義の所以が見えてくる。
『英語語源辞典』の alarm の項から読み進めていくと、alarm が変形した alarum が見出しとして立てられている。OED によると alarom や alaram などの異綴りもあり、こうした母音(字)を挿入した語形は -r- の巻き舌から生じた可能性があるという。『英語語源辞典』によると、かつては alarm のすべての語義で用いられたが、現在は「警報、目覚まし」の語義以外での使用はまれであるという。また、alarums and excursions の表現がシェイクスピアのト書きによく見られ、「混戦乱闘;てんやわんや」の意味を表す。さらに、alarum の語頭音が消失(aphaeresis)した larum の語形もあり、現在はまれであるものの1453年頃から使用が見られる(OED, Larum, N.)。
参考文献
「Alarm, Int., N. & V.」寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』研究社、1997年。
「Alarum, N.」寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』研究社、1997年。
“Alarm, Int., N. & Adv.” Oxford English Dictionary Online, www.oed.com/dictionary/alarm_int?tab=etymology#238060746. Accessed 24 August 2025.
“Larum, N.” Oxford English Dictionary Online, www.oed.com/dictionary/larum_n?tab=etymology#39743837. Accessed 24 August 2025.
キーワード:[aphaeresis] [French] [Italian]