2025.6.16
actual は形容詞で第1義は「実際に行なわれた」(1333年以前に初出、17世紀半ばに廃義)、第2義は「実際の」(1398年以前に初出)、第3義は「現在の」(1642年に初出)である。後期ラテン語で ‘practical’ の意味を表す actuālis が語源で、act の語源である actus と、「…に関する、…の性質の、…に特有の」などの意味の形容詞を造る接尾辞 -ālis から成る。actuālis は(古)フランス語に借用されて actuel となり、中英語期に借用されて actual、actuel の語形で用いられた。
したがって、<-al> の語形はラテン語由来、<-el> の語形はフランス語由来であり、『英語語源辞典』によると現在の actual の語形はラテン語の影響とのことである。OED の語形一覧を見ても、中英語期には <-al(le)> と<-el(le)> が競合しており、近代英語にかけてラテン語由来の <-al> が標準となったことが見て取れる。また、『英語語源辞典』の接尾辞 -al の項には、-al はラテン語 -ālis または古フランス語の -al から借用されたが、中英語で用いられ、古フランス語から借用された類義の -el も近代英語期に -al に同化したと記されている。
参考文献
「Actual, Adj.」寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』研究社、1997年。
「-Al (1), Suf.」寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』研究社、1997年。
“Actual, Adj., & N.” Oxford English Dictionary Online, www.oed.com/dictionary/actual_adj?tab=forms#19204677. Accessed 16 June 2025.