2025.5.13
abode (1) は「遅れ、待つこと」の意味で1200年頃から用いられている。「遅れ」の他に「滞在」の意味もあったが、これらは廃用となり、現在は「住居」の意味で使われている。
abode (1)は中英語期から用いられているが、『英語語源辞典』によれば古英語で‘abide’(「待つ」「とどまる」)を表すābīdanと「待つこと」を表すbādが混成(blend)してabodとなったという。
もう一つのabode (2)は「…の前兆となる、前兆を示す」の意味の動詞で、『英語語源辞典』では廃語とされている(ただしOEDでは現代でも使われるとされている)。1590年頃から用いられたが、こちらは古英語で「知らせる」などを意味するābēodanから発達した中英語のabede(n)と、現代でもbode「予言する」として用いられている中英語のbode(n)が混成してできた。
元は語形も意味も異なっていたが、ābīdan + bādとabede(n) + bode(n)がそれぞれ混成した結果、同音異義語(homonymy)の2つのabodeが生まれたという訳だ。
参考文献
「Abode (1), N.」寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』研究社、1997年。
「†Abode (2), V.」寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』研究社、1997年。
“Abode, V.” Oxford English Dictionary Online, www.oed.com/dictionary/abode_v?tab=etymology#8018444. Accessed 13 May 2025.