慶應義塾大学大学院 文学研究科 英米文学専攻所属の寺澤志帆のホームページです。
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2026.1.5
arraign は1380年頃の初出とされており、まず「†審問する」の意味で用いられたが、1447年までで廃義となった。1387年以前より「非難[糾弾]する」、1390年頃より「罪状の認否を問う」の意味で用いられている。
arraign はラテン語の ratiō(n-)「理性、説明」に、接頭辞 ar-(ad- の d が後続する r に同化(assimilation )した)が付いたものから派生した、後期ラテン語の arratiōnāre「責任を問う、釈明を求める」を語源に持つ。後期ラテン語から古フランス語の araisnier, aresner, arai(g)nier、アングロ・フレンチの arainer を経由して英語に借用された。
中英語期の主な語形は ar(r)einen, ar(r)ainen で綴りに <g> は含まれておらず、借用元であるフランス語の多くの異形や、語源であるラテン語にも <g> は見られない。『英語語源辞典』によると <g> の入った現在の語形は reign「治世」や feign「…のふりをする」などとの連想による過剰矯正(hypercorrection)形で、16世紀以降に一般化した。名詞の reign はラテン語の rēgnum「王国」から古フランス語の reigne を経由して、feign はラテン語の fingere「…を形作る」から発達した古フランス語の feign-, feindre から英語に借用され、どちらも中英語期から <g> を含む綴字が用いられた。arraign は reign, feign と (<a>または<e>) + <ign> の部分が共通しているために、過剰修正や一種の類推がはたらいて語源にはない <g> が挿入されたと考えられる。
また、後期ラテン語の arr- の語形からフランス語では ar- と <r> が1つになっており、中英語期には arr- と ar- の両方が見られた。arr- がラテン語に沿った語源的綴字ということになるが、OED の語形欄によると17世紀まで <r> の数に揺れが見られたようだ。ただし、時代ごとに arr- と ar- のどちらが優勢だったのか調査する必要はあるだろう。
参考文献
「Arraign, V.」寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』研究社、1997年。
「Feign, V.」寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』研究社、1997年。
「Reign, N. & V.」寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』研究社、1997年。
“Arraign, V. (1)” Oxford English Dictionary Online, www.oed.com/dictionary/arraign_v1?tab=forms. Accessed 5 January 2026.
キーワード:[hypercorrection] [analogy] [etymological spelling] [ad-] [assimilation] [Latin] [French]
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