慶應義塾大学大学院 文学研究科 英米文学専攻所属の寺澤志帆のホームページです。
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2026.2.19
astonish は16世紀前半の初出で、当初は「†気絶させる」(17世紀前半に廃義)、「†落胆させる」(16世紀末に廃義)を意味した。「(ひどく)驚かす」の語義は1611年の欽定訳聖書(The Authorized Version)で最初に用いられたとされている。
astonish は「気絶させる、呆然とさせる」を意味する †astone から変形したもので、†astone は中英語期に古フランス語の estoner(現代フランス語では étonner )から借用された。古フランス語の estoner は俗ラテン語の *extonāre から発達したもので、*extonāre はラテン語接頭辞 ex- と「雷が鳴る」を意味する tonāre から成る。『英語語源辞典』には「16Cに astonish の形が用いられるようになったが、この形は AN *estonnir, *estonniss- を予想させる」(「Astonish, V.」)と説明されている。OED にも同様に “An alteration (not found before 1500) of earlier astony v., as if this represented a French *estonnir, estonissant. Perhaps such a form had arisen in Anglo-Norman” (“Astonish, V.”) との記述がある。フランス語の -iss- は原形に -ir の語尾を持つ動詞の現在分詞や現在複数語幹で、英語では口蓋化(palatalisation)を経て -ish の語尾となったものである。†astone の語源を考えると -ish の語尾はつかないはずであったが、アングロ・ノルマン語からの影響で語源に -iss- が含まれると見なされて astonish に変化したと考えられているようだ。
また、『英語語源辞典』によると、欽定訳聖書では astone は10回、astonish は34回用いられているが、シェイクスピアの作品には astone の用例はないという。欽定訳聖書とシェイクスピアの作品は同時代であるものの、古形の使用については違いが見られる。欽定訳聖書は古い語形を留めているとする一つの根拠となりそうだ。
参考文献
「Astonish, V.」寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』研究社、1997年。
「-Ish (2), Suf.」寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』研究社、1997年。
“Astonish, V.” Oxford English Dictionary Online, www.oed.com/dictionary/astonish_v?tab=etymology. Accessed 19 February 2026.
キーワード:[-ish] [Authorized Version] [Shakespeare] [French] [Latin]
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