研究(学術)データを管理し、利活用するにあたっては、所属機関、もしくは助成機関が定めたポリシーに依拠する必要があります。
慶應義塾では2022年7月に「慶應義塾学術データ管理・利活用ポリシー」を公開しました。
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慶應義塾は,創設者福澤諭吉の理想に基づき,気品の泉源,智徳の模範としてより良い社会の形成に資する全社会の先導者を育成することを目的としている。そのために,慶應義塾は教育,研究,医療の活動を,尊厳をもち自身の判断と責任のもとに行動する独立自尊の精神と実証的に真理を解明し問題を解決していく実学の精神で進めてきた。近年の学術研究において関心を集めている,研究機関,公的機関,企業のみならず市民も参加して研究活動を行いまたその成果を共有する,いわゆるオープンサイエンスはまさしく慶應義塾の独立自尊や実学の精神に合致する動向である 。
このような背景を踏まえ,慶應義塾は教育,研究,医療,機関運営の活動によって生成され,学術研究を目的として利用される「学術データ」を適切に管理保存し,また個別契約・法令・他の規程等に起因する場合の制約を必要に応じて設けながらも,可能な限り社会に開かれる形でオープンにその利活用を グローバルな視点から促進するとともに、データの信頼性を担保することを目的とするべく本ポリシーを策定する 。
なお,本ポリシーは学術データの管理と利活用に関わる慶應義塾の方針を示すものであり,研究倫理や個人情報保護などに関する慶應義塾の個別規程の実施に制約を与えるものではない 。
本ポリシーにおける「学術データ」は慶應義塾の教育,研究,医療あるいは機関運営活動の過程で収集された情報のうち「学術研究」を目的として利用されうるものを指し,電子的な情報のみならず紙媒体や物理的な資料など情報をもつあらゆるものを含む。
慶應義塾は研究成果を含む学術データを可能な限り長期的に保存し利用可能にすること,および構成員のデータ管理のコストを 最小化させることの重要性を認識し,慶應義塾全体で優れたデータ管理を実践できる基盤の構築を支援する。
慶應義塾内で行われるあらゆる活動で得られる学術データについて,データ作成者の意向を尊重し、研究実施に関わる契約の制約を考慮した上で、可能な限りオープンな利用を推進すべく,最終的には慶應義塾が責任をもって管理を行う。
慶應義塾の構成員は,各研究分野における法令や慣習,外部の資金提供機関の研究倫理,研究データポリシーに基づいて,データ管理計画の策定,メタデータの作成,データの適切な保管,可能な範囲でのデータの公開,利活用の推進を実施する。
慶應義塾は,その構成員が策定すべきデータ管理計画の作成,データの適切な保管の確保,データ利活用に向けてのメタデータの付与などのデータ管理を支援するとともに、ポリシー実現のために構成員に対する広範な啓発活動を行う。
慶應義塾は学問分野の多様性を重視し,具体的な運用方針については,学問分野の特性を踏まえて,必要な方針を決定する。
本ポリシーは法令,社会や学術環境の変化に応じて,適宜見直しを行うものとする。
本ポリシーに関する問い合わせは,慶應義塾大学 研究連携推進本部 rca-rdm[at]adst.keio.ac.jpまで
https://www.research.keio.ac.jp/forms/files/keiodmp-commentary202207.pdf
「慶應義塾学術データ管理・利活用ポリシーの解説」では、ポリシー本文に沿って、考え方の背景や,ポリシー内の表現、用語の示す意味などについて解説しています。