今城周作
Shusaku Imajo
今城周作
Shusaku Imajo
White Sands National Park
New Mexico, US
東京大学新領域創成科学研究科物質系専攻 准教授(東大卓越研究員)
〒277-8561 千葉県柏市柏の葉5-1-5 基盤棟4A8号室
Phone: 04-7136-3765
E-mail: imajo [at] edu.k.u-tokyo.ac.jp
Links : 今城研究室 Google Scholar Research map
これまで東京大学物性研究所国際超強磁場施設の全国の研究者向けに共同利用を担当してきました。現在も共同研究という形で非破壊型パルス磁石を使った強磁場物性実験を行うことができます。最大75テスラまでの非破壊型パルス磁石を用いた電気輸送・磁気トルク・超音波・熱測定が専門です。他の測定手法も可能ですので気軽にご相談いただくか、強磁場施設のホームページをご参照ください。
1. 共同研究を行うには、物性研究所の共同利用制度に登録していただく必要があります。
2. 共同利用の申込は年に2回(6月と11月に締切)受け付けられています。中途申請に関しては別途ご相談ください。
3. 申込を行うにあたって、研究内容(測定法・スケジュールなど)について事前に今城までご相談ください。
4. 共同利用の申請に関する詳細については、物性研究所共同利用のサイトをご覧ください。
パルス磁石を用いた強磁場実験の成果例
図:有機超伝導体κ-(BEDT-TTF)2Cu(NCS)2のSdH振動
強磁場の価値は多岐に渡りますが、特に「磁場にしか引き起こせない現象」に対する研究では非常に重要となってきます。その一例として量子振動現象があります。低温・強磁場中では電子状態の量子化によって物理量の磁場依存性に振動が現れ、電気輸送の場合はShubnikov-de Haas (SdH)効果、磁化の場合はDe Haas–Van Alphen (dHvA)効果と呼ばれます。量子振動自体が興味深い量子現象であると共に、量子振動を解析すると電子状態に関する重要な情報が得られます。量子振動の観測・正確な解析には強磁場が不可欠であるため、パルス磁石の強みを発揮できます。
Phys. Rev. B 107, 104421 (2023).
Phys. Rev. B 103, L220501 (2021).
Phys. Rev. Lett. 125, 177002 (2020).
量子物性は多岐に渡りますが、ゼロ磁場中では不安定なせいで磁場中でしか現れない物性というものがあります。例えば、1964年にFulde と Ferrell、Larkin と Ovchinnikovによって理論的に予想されたFFLO状態は磁場中のみで現れる特殊な超伝導状態として知られています。通常の超伝導状態は磁場中で抑制されますが、FFLO状態は磁場中でも比較的安定であるため、強磁場中ではFFLO状態が現れることがあります。しかし、FFLO状態が現れる条件はいくつかあるため実験的検証が難しいという問題点がありました。近年は、強磁場中の測定技術の発展によってFFLO状態の理解も深まってきました。FFLO状態以外にもスピンパイエルス相のソリトン格子状態やウラン系化合物の磁場誘起超伝導相など、強磁場がトリガーとなる量子物性はたくさんあり、パルス強磁場を用いることで新しい強磁場物性探索を行うことができます。
Phys. Rev. Lett. 132, 096601 (2024).
Nature Commun. 13, 5590 (2022).
J. Phys. Soc. Jpn. 88, 083705 (2019).
図:強磁場中超音波測定を用いたFFLO状態の研究