仲間と共に探究に取り組み様々な視点を学びます
アイデアをみんなで出し合います
対象 本校65期生 2年 164名
毎週 火曜日 6・7限 50分 × 2
教員 8名
・SDGsの課題解決に向けて主体的に取りくむ姿勢を育む
・社会や日常生活の中から自分の探究したいテーマを見出す。
・課題解決に向けて自ら計画を立て、行動・実践する。
・自分とは異なる立場・意見を尊重しながら、他と協働する。
・自分の探究を他者に伝えるスキルを磨く。
・様々な視点や繋がりから自らの探究を振り返る。
・探究活動を通して、自分の長所や社会的役割についての認識を高める
年間計画
1.グローバル探究Ⅰの学習をベースにして、多教科連携の横断的な学習や外部講師による講演から、高校生としてのより深い総合的な「学び」を目指す。
2.ユネスコ国際教育の理念を意識し、人間の尊厳・平等・相互の尊重をベースにESDを中心テーマとした学習を行う。
3.クリティカルな思考を通して身近なところから世界で起きている様々な諸問題に向かい、地域や世界の文化の違いや人としての普遍の精神を理解することによって、平和の文化を築こうとする資質を養う。
4.身近な実社会で起こっている地域の諸問題を学習し、その総合的な理解と解決に向かう資質を養う。
1.自分や他者を大切にし、身近な問題から世界の諸問題の理解に向かっていける。
2.自分の知識や信念を批判的に振り返り、様々なものの見方で社会の問題を吟味することができる。
3.周りの人とも連携し、諸問題の解決に向けた態度で行動できる。
4月13日(火)
昨年度に引き続き、SDGsに関する探究学習を深めていこう!ということで、オリエンテーションを実施しました。最初に、「持続可能な社会に役立つグッズを作ろう」というテーマで、ワークショップを行いました。皆戸惑った様子で始まりましたが、持続可能な社会とは何か、それを阻害する要因とは何か、などを語り合うなかで、具体的な形を模索していきました。子供がSDGsについて学べる玩具や、SDGsを訴えかけるアート、実用的な道具などが生み出され、同級生のアイデアに刺激され合う姿が見られました。各自で振り返りを行った後、これからの探究テーマ及び探究計画を考えるヒントを提示して終えました。
生徒の制作物 例
制作についてのコメントを付箋で貼っていきます
4月20日(火)
マンダラート作りの中で出てきたキーワードの中から最も興味のあるものを一つ選び、そのキーワードを元に先行研究の調べ学習を行ないました。その分野に関する論文を検索サイトで探し、その論文の内容をまとめました。その後グループの中で内容を共有しました。
キーワードをどんどん挙げます
どれに興味があるか、まとめていきます
完成したマンダラートは廊下に掲示しました
4月27日 (火)①
「調べ学習」ではなく「探究」にするために、論拠の吟味について考えました。短い例文中の良くない点を探し、論拠として成立するための条件を考えて、全員で共有しました。また、文献調査やアンケート調査、実験、フィールドワークなど、論拠の収集方法から、書籍、学術論文などの文献、資料を取り上げ、資料の集め方、リスト化の重要性についても学びました。最後に、引用参考文献を記録しておくスプレッドシートが提示され、具体的に集めた文献の必要情報のまとめ方についても学びました。次回「アカデミックリーディング講座」に向けた準備として、学術的な本を1冊用意することと、講義動画2本を見ておくことが、ゴールデンウィーク中の課題として示されました 。
「読む」という学び方を学びます
4月27日(火) ②
興味のあるテーマごとにグループ分けし、「質問づくり(問いづくり)」について考えました。まず、質問づくり(オリンピックに関して)の制作動画を参考にして、「質問づくりの4つのルール」に従い、マインドマップ形式でたくさん質問を書き出しました。その後、「閉じた質問」と「開いた質問」に分類したのち、「閉じた質問」→「開いた質問」、「開いた質問」→「閉じた質問」の書き換えを行いました。最後に、グループで出した多くの質問から、自分自身の探究テーマ設定に役立つ問いを3つ選びました。さらにそこから、優先度の高い問いを決め、なぜその順位をつけたのかを書かせ、グループ内で共有しました 。
質問をグループで拡散→収束させていきます
問いが問いを呼び、気になることが増えていきます
1分間で読むため、必死です
お互いがどう読み取ったのか、話すのも大切です
5月11日(火) ①
大阪大学の堀一成先生によるオンライン講義にて「アカデミック・リーディング」について学びました。概要説明と2つのワークを行いました。1つ目のワークは「1分間ワーク」です。探究活動にあたり、テーマに関連する本や内容を探す場合、膨大な数からどのように見つければよいか。そのために、「あたり」をつけるワークを行いました。本の題名や目次等から概要を把握し相手に伝えることを1分で行いました。このスキルは本屋や図書館で資料探しで使えるスキルとなります。2つ目は「速読チャレンジ」です。600字程度の新聞記事から必要情報(著者・題名・文献情報・内容)を3分でメモする、構造(問い・答え・論拠)を7分間でメモする、それらを共有しました。情報交換をしながら読むことも効果的で、どう読み取ったかということが大切とアドバイスをいただきました 。
5月11日(火) ②
北海道の植松電機の専務取締役である植松さんの動画(TEDx Talks)を視聴しました。植松さんは町工場を経営しながら、小さい頃からの夢であった宇宙開発にも関わっている方です。
植松さんは”どうせ無理”という言葉に潰されず、夢を実現させる人を増やしたいという思いを持っておられました。また、夢を持ち続ける大切さと周囲の否定的な意見に負けない強さが大切であり、これを「思いは招く」と表現されていました。
この動画を見て、自分に限界を作らず問いづくりをしたとき、SDGsに関する新たな問い(視点)が見つかるのでは?という観点で授業展開を行いました。
5月18日(火)
探究の過程で大切なことはなにかを学びました。大きくは3点です。
まず1つ目は、多くの情報を得て因果関係をしっかりと分析し、論理的に考えること。2つ目は、多くの情報を集め、様々な角度から観察を行い、客観的に考えること。そして3つ目は、粘り強く1つの対象に興味を持ち続け情報を集めることでした。新たなものに関心を持ったり、様々な対象に興味を持つ拡散的な好奇心は探究への入り口となり、そこからさらに興味を膨らませ深めていくのが探究であること再確認しました。
5月25日(火)①
リサーチクエスチョンに対する仮説を立てさせることを目的に3人~4人のグループを組み、学習活動を行いました。まず、各自で決めたリサーチクエスチョンを書き出させ、どのように研究活動を進めていくかをまとめさせました。その後、各自の研究計画を一人ずつ3分間で発表し合い、クループ内で共有しました。また、一人1.5分でそれぞれの考えにコメントをもらい、それを付箋にしてワークシートにまとめました。その上でグループで出た意見を各自で要約しました。最後に様々な意見を参考にして、リサーチクエスチョンに対する自分の仮説を立てました。仮説も複数考え、仮説の根拠となる事柄も二つ以上ワークシートに記入しました。
5月25日(火)②
これから本格化する探究活動に向けて、複数の探究方法(アンケート、文献調査、実験、インタビュー、観察・現地調査)の特徴について学びました。様々な角度から物事を捉えるために、自分のリサーチクエスチョンに関して、5つの手法それぞれで具体的に何をどう調べられそうかを検討し、意見交流しました。例えば、アンケート調査を行うならば、誰に・どうやって・何を尋ねるのか。探究方法が違えば得られる情報も異なってくることに気づき、自分の探究活動において有効な探究方法は何か、なぜその探究方法が有効なのかを考えました 。
この調査方法は妥当か、グループで話し合います
6月8日(火)
本授業では、国際協力や研究の場で活躍されている方4名を、講師としてお招きしました。生徒は自分の興味関心のある講義を一つ選び、各講師から「どのような課題にぶつかり、それをどう乗り越えてきたのか」という知見を教えていただきました。この講演会で考えたことや感じたことを、今後の探究学習に活かしてほしいものです。以下に、それぞれの講演会の概要を示します。
●「比較と対比」
講師:大阪教育大学 仲矢史雄さん
内容:課題研究は、比較分析レポート(comparative study)である。例えば、フランス革命をレポートするならば、それ自身をいくら詳しく調べても研究にはならないが、自分が選んだ他の革命と比較して何が同じで何が違うのかを述べることでオリジナルな研究になる可能性があります。これは、欧米で教育を受けた人々にとっては常識です。彼らは、中等教育で比較分析レポートを書くことを求められます。例えば、フランス革命と明治維新との比較などが挙げられます。
「比較と対比」とは、似て非なるものを探すことです。タコと烏賊、バネとゴムなど多くの例を挙げることができます。
次に課題研究の方法についてヒントを頂きました。研究においては、テーマの決定から発表までの手順が説明できることが重要です。研究分野を決めるにあたっては、3冊ぐらいの本を選ぶこと、テーマは、名詞でなく、疑問形でたてること、興味が尽きない分野を選ぶこと、専門的すぎたり、簡単すぎるものは避けるなどです。研究を進めるにつれ、テーマが変わってしまうことがあるが、これは自然なこと。テーマは、変化するものであり、成長させるものであるからです。また、研究テーマの条件を広げ過ぎないようにすることも大切であると教えて頂きました。
研究を進めるため、ガントチャート(Gantt chart)を作ることや過去の研究を調べるため、サイニー(CiNii)やグーグルスカラー(Google Scholar)を活用することにも言及されました。
●「パプアニューギニアの貧困をなくすために」
講師:JICA海外ボランティア 村瀬正則さん
内容:6限目は、ウズベキスタンとパプアニューギニアを比較しながら、JICA海外協力隊でのご経験をふまえたお話を聞きました。特にパプアニューギニアに関しては、産業や治安に関して詳細にお話ししていただき、パプアニューギニアの貧困問題の現状を理解することができました。7限目は、その内容をふまえ、「パプアニューギニアの貧困をなくすために」と題して、各自で政策や援助について考えたのち、グループに分かれ、意見交換を行いました。その後、グループ内で最も優先度が高いものを発表し、情報を共有しました。さまざまな支援策や援助について意見が出されました。この講演を通じて、貧困に関して知識を深められ、今後の探究活動の参考になりました。
現地の経験を写真を交えて説明してもらいました
グループごとに援助策を考えました
●「旅へ!」
講師:JICA海外ボランティア 浅谷幸作さん
内容:発展途上国というだけで、多くの人が“かわいそう”などのイメージを持つけれども、現地の人たちの楽しく毎日を生きている姿を見て、先入観で判断するのではなく現地に行くことの大切さを学んだと自身の体験談を交えながら、お話していただきました。
不可能に近いことでも諦めずにチャンスがあるなら行動に移すことが生きていく上で大切なことで、“眺める人生”と“する人生”、どちらを選ぶかで人生は大きく変わるということを学ばせていただきました。
「勉強なんかしなくていい。・・・今後誰とも会わないのであれば。今、一生懸命勉強しているのは、これからたくさんの人と出会うために勉強をしている」という言葉が印象的でJICA海外協力隊で、ジブチで様々な人と出会い、様々な経験をされてきたからこその言葉であると感じました。
●理科の探究」フォトニクスの未来について考えよう
講師:国立研究開発法人産業技術総合研究所 村井健介さん
内容:分光シート(回析格子)を通して白熱電球・蛍光灯・LEDの三種類の光を観察することで、光の粒子としての性質の違いを、自分の目で確認しました。そして、掃除ロボット、自動車の自動運転装置、紙幣の偽造防止などにも、光の性質が活かされていることを紹介していただき、フォトニクス(光の技術)という研究分野に関する知識を深めました。最後に、フォトニクスで何ができるようになって欲しいか? 課題は何だと思うか? についてグループで討議し、現時点でどこまで研究なされているかご教示していただきながら、フォトニクスの未来について考えました。こうやって思考しながら課題を見出すのが探究であり、その課題を解決しようとすることが研究なのだということを語っていただき、各自の探究活動へのヒントを得ました。
実際に観察をしながら考えました
6月15日(火)
探究活動の第1回として、リサーチクエスチョンの設定・探究の意義・探究方法を各々考え、9/7に設定している中間発表に向けて、探究の計画をたてました。教員は2人ずつクラスに入り各自設定したリサーチクエスチョン等の確認を行いました。近いテーマを設定した生徒同士でお互いの探究テーマについて相談したり、教員に相談しながら、仮説を立てたりと各自がこれから取り組む探究に向けて自分のリサーチクエスチョンを設定しました。
今後の探究活動は、リサーチクエスチョンのテーマごとに8つの教室に分かれてゼミ形式で行います。同じテーマごとに集まることで、異なる方法から研究を進める生徒同士で違った観点からアドバイスをもらえること、探究が上手く進まない時に疑問を共有することができました。外部へのアンケートやインタビュー等は、担当の教員が内容を確認するなど、それぞれ約20名の生徒を一人の教員が受け持ちながら探究を進めました。
イノベーティブシンキング受講生が、夏休みの成果発表としてプレゼン発表、質疑応答を行いました。9/7の中間発表のお手本として、発表の際の伝え方について考える機会になりました。また、外部で発表された高校生のプレゼンを共有し、プレゼン資料の作り方や発表での伝え方の工夫などポイントを確認しました。また、発表に向けて、チェックリストに基づいて作成したポスターのチェックを行い、発表で伝えたいことや、発表内容をまとめました。さらにペアを組んでお互いに発表練習を行い、評価し合いながら内容や発表方法の改善と確認をし、次回発表に向けて準備を行いました。
9月7日
ここまでの探究成果の発表会を実施しました。生徒に探究進捗状況を把握させ、異なる分野について探究している生徒からアドバイスをもらうことで、問いの見直し・探究方法の見直しを行いました。
11月16日
「学びみらいPASS」とは、社会で求められる「新しい学力」(「教科学力」「リテラシー」「コンピテンシー」に加え、学力育成の下支えとなる「興味・関心」「学習生活パターン」までを含め「新しい学力」と定義)を測定し、生徒の特長・特性を多面的に捉えた進路・進学指導を実現するアセスメントテストです。そのうち、社会で求められる「汎用的な能力(ジェネリックスキル)」を測定する「PROG-Hテスト」を、1年次に引き続いて受験しました。
12月16日
講師に(株)リアセック契約カウンセラー・GCDF-Japanキャリアカウンセラー 松谷育代さんを迎えて、11月16日に受験した「PROG-Hテスト」に関する解説会を実施しました。キャリア教育に関する講話や、テスト結果分析シートをもとに、将来に対する思いや自分の資質能力について考える機会となりました。また、12月21日には、講師に河合塾の方を迎え、学年団の教員向け説明会も実施しました。
中間発表を受けて、問い・仮説、探究方法の見直しを行い、後期の探究計画をたてました。学年の仲間にアンケートを実施する生徒や、実際に外部へインタビューを企画、家庭科室や理科実験室で実験を行う姿も見られました。また、探究の内容はポスターにまとめました。そのうち、14のテーマが国際会議のポスターセッションの部で発表をし、高校生フォーラム・探究甲子園等外部の発表の場で発表をした生徒もいました。指導の中で「調べ学習」から脱却することを強調したため、多くの生徒がSDGsに関するプロジェクトを実施する形で探究を進めることができたと思います。
1月25日・2月1日
1年間の成果をポスターにまとめ、ポスターセッション形式で発表会を実施しました。一人8分間で成果を発表し、質疑・応答の時間を設けました。発表練習の成果として、伝え方にも工夫が見られました。実物を見せたり、目の前で簡単に実験してみせる生徒がいたり、ポスターとは別にスライドを用意したりと探究の成果を伝えようという姿勢が見られました。
1年間の探究で培った力を活かして、課題に取り組みました。グローバル探究Ⅱでは個人探究を進めた生徒も多かったので、異なる立場・意見を持つ人と協働し、もう一度自分たちの身近な世界に目を向けて「持続可能な社会」の実現に向けて取り組む姿勢を見つめ直すことを目的にグループ課題としました。課題の内容は次のとおりです。「持続可能な学校」とは、どのような学校かを考え、学校の中で「持続可能な学校」を阻害している要因をどうすれば取り除けるのかを動画の題材とし、制作しました。
「課題の場面設定」
あなたたちは、CM制作会社に所属しています。来年度の附高新入生に向けてCMを制作してください。
附高を『持続可能な学校』にしたいと思います。現在、それを阻害している要因があるなら、附高生全員の努力で取り除かなければなりません。
CMを見た新入生が共に附高を『持続可能な学校』にしようと心を動かされる動画を制作してください。
2月8日
講師に大阪大学全学教育推進機構の堀一成教授と坂尻彰宏教授を迎え,レポート作成術を教わりました。分かりやすい文章を作成するために、パラグラフ・ライティングとは何か、その構造と効果について講義していただきました。説明を聞いたあと、生徒は、各自の探究内容に関して、「問いと答え」・「トピックセンテンス」を書き出しました。そして、1パラグラフ文を作成し、それをペアワークで検証する作業を行いました。本講義が、各自の探究内容をレポートにまとめる上での、良き参考になったと思います。
2月22日
講師に大阪大学全学教育推進機構の堀一成教授と坂尻彰宏教授を迎え,レポート作成後のチェックポイントを教わりました。個人で「ダメレポート例」を読んで「ダメ」なポイントを探しだしたあと、それをペアで検証しました。そのあと、講師の方から解説を伺って、どのようなところが「ダメ」なのか、それをどう改善すべきなのかを学習しました。本講義をもとに、各自の探究内容をまとめた個人レポートを再度自己点検し、推敲することを求めました。
56・59回の授業で作成した動画を相互評価し、身近な問題から探究に取り組む姿勢と自分の行動について見直す活動をしました。また、2年間の探究で学んだこと、考えたことをもう一度振り返り、文章にまとめることで2年間の学びの振り返りをしました。