対象 本校67期 164名
教員 8名
年間計画
1.SDGsの学習をベースにして,多教科連携の横断的な学習や外部講師から,高校生としての探究的な「学び」をめざす。
2.ユネスコ国際教育の理念を意識し,人間の尊厳・平等・相互の尊重をベースにESDを中心テーマとした学習を行う。
3.クリティカルな思考を通して身近なところから世界で起きている様々な諸問題に向かい,地域や世界の文化の違いや人としての普遍の精神を理解することによって,平和の文化を築こうとする資質を養う。
4.身近な実社会で起こっている地域の諸問題を学習し,その総合的な理解と解決に向かう資質を養う。
評価の観点
自分や他者を大切にし,身近な問題から世界の諸問題の理解に向かっていける。
自分の知識や信念を批判的に振り返り,様々なものの見方で社会の問題を吟味することができる。
周りの人とも連携し,諸問題の解決に向けた態度で行動できる。
「グローバル探究Ⅰ」(以下,「探究Ⅰ」)の第1回目はオリエンテーションを兼ねた授業でした。
本校では,早くからESD(Education for Sustainable Development)を大切にしてきており,2003年にはユネスコスクール(ASPnet:Associated Schools Project net work)へ加盟しました。
授業内では,本校がユネスコスクール(ユネスコ憲章に示された理念を実現するため,平和や国際的な連携を実践する学校)として,長年国際教育に取り組んできたことが紹介されました。
本日はユネスコ憲章「戦争は人の心の中で生まれるものであるから,人の心の中に平和のとりでを築かないといけない」というの言葉の抜粋から,「探究Ⅰ」では地球全体が幸せになるように,「SDGs(持続可能な開発目標)」について課題を知り,自ら興味のあることに対して問いを立て,答えのない問題に立ち向かっていく力を育むために。探究できるようにしていきます。
まずは自分自身の探究からはじまった「探究Ⅰ」。自分の興味があることからどう社会貢献につなげることができるのか,生徒たち一心に自分を掘り下げています。
本日は「ジェンダー平等を実現しよう」について探究をおこないました。
自分の「違和感を大切に」とはじまった授業。色んな人が言っていること,行動していることを聞いて,見ることは,自身の価値観に気づくチャンスとなりました。
また,他校でおこなわれているジェンダーについて考える取り組みが紹介されました。
人の価値観をねじ曲げようとするのではなく,「わかろうとすること」の方がこれから大切になってくると思います。
実際に自分たちで違和感についてお互い発表しあうことで,お互いの考え,当たり前だと思っていることの小さな違いについてライフステージで大事なことは変わってきますが,その都度自分の価値観,人の価値観について考え,ときには変わっていくことも成長のために必要だと考えることができました。
第3回は「エネルギーについて知っていること」・思い浮かぶもの・イメージなどを書き出すことからはじまりました。ジャムボードを使用し,お互いの知っているエネルギーについて分類しました。
わたしたちの生活や,人類の発展とエネルギーは切っても切り離せないものということがわかったのではないでしょうか?
次に「持続可能」とは一体何?と考え,「安定した生活を続けていける」「幸せ」など,それぞれの「知」を共有しました。
エネルギーとは何なのでしょう?人それぞれです。さまざまなエネルギー形態の中で「電気」を中心に議論を進めることができました。
第4回は「教育」について考える授業でした。今まで自分自身が受けてきた教育や、学校の中で起こる困っていることについて考えました。日本は多くの人が教育をうけられているという評価を受けています。ですが、日本国内においても問題はまだまだあり、わたしたちはその問題を知る必要があると思います。ワークではNGO団体の質問に対して、各政党の回答を読み、自分ならどの意見に賛同できるか、その理由はなぜなのかを考えました。
問題をあげることがゴールではなく、問題を解決するためにどうすればいいかについて頭をつかうことが大切な第一歩です。内容については学校保護宣言についてなどが取り上げられており、日頃あまり知ることがない言葉もあったと思います。知らないことだから関係ないのではなく、まず知って、そのことについて自分で掘り下げていく作業が大切だと感じる授業でした。
第5回は「貧困」についての授業でした。貧困をなくそうと目標を掲げてはいますが、では何をもって貧困なのか。「衣食住ができない」、「生きることに支障がでるくらい」、というイメージをもっているなどの意見がでました。国際貧困ラインでは1日を1.9ドル未満で過ごす人(絶対的貧困)のことをいうそうです。世界の貧困といわれている人々のうち、0~17歳が約半分を占めています。また、地域によって貧困が集中している場所があります。貧困をなくすために事実を知ることは個人の行動を変えるきっかけになります。
今回の授業では貧困問題の一つの解決策として、「フェアトレード」について考えました。フェアトレードは生産者・消費者・企業にとってどのようなメリットがあるのか、デメリットがあるのか、さまざまな立場の考えを想像し話し合いをしました。最後は何を優先させることが貧困の解決につながるのか、本人たちなりのアプローチを考えていました。
第6回 6月3日(金)
まず夏休み課題図書の説明がありました。夏休み中にSDGsの中で興味のある本を読み,レポートを書き学びを深めます。次にディベートの説明です。ディベートは肯定側と否定側にわかれ,どちらのチームに説得力があるのか審判に判断してもらいます。
教員の見本を見た後,その後自チームで役割分担,対戦相手チームとも司会など分担をおこないました。最後はテーマである,「日本はごみ収集を有料にすべきである。是か非か」について話し合いや,効果的な情報を収集していました。二週間後の本番に向けて,「多角的にものごとを見る」というテーマのもと,準備をおこなっていきます。
第7回 6月10日(金)
第7回はクラスごとにディベート準備をおこないました。テーマは,「日本はごみ収集を有料にすべきである。是か非か」です。
1班4~5人編成で,否定派肯定派にわかれ,自チームの主張が審判に有効と認められるように作戦を立てます。chromebookだけでなく,なかには本を読み込んできている生徒もいました。
ディベートは方法の1つであり,今回のテーマは,「社会をよりよくするために最適な方法を導き出すこと」です。
自分たちなりの立論をおこなうためには,多くの情報の中から信憑性のあるものを選び,どの主張が有効か繰り返し検討する必要があります。
今回のディベート準備をすすめるなかで社会問題に対し,一人ひとりが課題を分析する力が必要です。
本番に向けて考えをまとめる作業が続きます。
第8回 6月17日(金)
第8回はディベートを実際に行いました。
肯定側,否定側,審判などに分かれて,それぞれ4会場で行いました。
第9回はアカデミックライティングの授業をうけました。
はじめに,「アカデミックとは何か」ということについて学びました。
難しいことを調べてレポートにすることではなく,学術的文章であるかどうか,「問い」に対して「証拠」や「実験結果」というデータにもとづき「答え」があるのか,ということが重要ということでした。交通ルールと同じように,学問にもルールがあり,自分勝手に思いつきをのべるのではなく,相手にとって必要な情報を最短でわかりやすいようにすることが求められます。
また,アカデミックライティングをする最大の理由は,「人類全体へのボランティア」とも学びました。そのために,多くの人に受け入れられるように工夫することや,正確さも必要です。
ワークでは,「問い」「答え」「論拠」を学ぶため,互いに自慢をしあい基礎定義や測定が可能なものかを考えたり,練習文を読み定義に正確性があるのかどうかなどを学びました。今後自自らの「問い」や「答え」が「人類全体へのボランティア」へとなるのか,これからが楽しみです。
情報収集・活用について学びました。
仮設をたてるために「情報」を収集します。以前のディベートの振り返りからも,情報をより具体的に多く収集することで信憑性が高まり,意見を相手に正しく伝えることができると感じた生徒が多くいました。
今後,自分の「問い」をもち,自分の「答え」をどう見つけていくのか,検索の仕方,大阪教育大学の検索システム利用,学術論文や世界中の文献からも調べる方法を知りました。
簡単に検索し一部分を切り取ることで「自分の考え」とするのではなく,仮説を立ててからはじめて自らの考えを提示できる力が求められます。
次に,探究活動をおこなう上でアカデミック・イングリティという考えにも触れました。自ら発信する際には,誰かの真似をしたり,実験データを捏造することなくおこなう必要性があります。
今後の情報収集・活用へといかしていきます。
第11回はアカデミックリーディングの授業を受けました。
まずは学術的な文章をうまく読むということをテーマに各自一冊本を持参し,ペアで本を交換しました。一分間で本の背表紙や帯,目次を中心に読み,相手にどのような内容が書かれていたかを相手に伝えました。今後探究活動をしていくために,「さまざまな文献を読む」という技術が必要になるので,今回は「速読」,「構造読み」にチャレンジしました。「速読」ではある文章を読み,基本的な情報を一分間で書き出しました。
次は少し難易度が上がり,「構造読み」をおこないました。ただ文章が良い悪いと判断するのではなく,作者が書いた文章の『問い』,『答え』,『論拠』を自分なりの視点で見つけ書き出します。探究のために文献を読む技術を学ぶことができたので,今後探究活動や夏休み課題のブックレポートにいかしていきます。
ブックレポート報告会をおこないました。
夏期休業中にSDGsの17の課題から,自分が選んだテーマに関する課題図書を1冊を読み,自分なりに感想などをまとめました。
今回の探究の授業では,「他の人と意見を交わし,読んだ本の内容理解を深めること」,「読んでいない本を紹介してもらうことで,視野を広げる」ことをテーマとしておこないました。各チーム自分が調べてきた内容を一生懸命伝え相手もそれに応え,いい質疑応答の時間をもつことができていました。
これまでSDGsに関わる講義などを受けてきましたが,夏休みの課題図書や今回のブックレポート報告会を経て,後期は自分自身が探究したいテーマを決め,半年間探究していきます。
第13回は卒業生講演第1回目でした。63期生にMeetを介して講演をしていただきました。まずは自己紹介や高校生活で何を大事にしていたかなど話してくださいました。
問題発見のアドバイスでは,「誰よりも調べる」ということを挙げてくれました。例えば,「自分の好き」をマインドマップでさまざまな問題につなげていく方法や,「同じ想いの人を集めること」がより解決に近づくということも話してくださいました。高校生の間に自分の中で問題を発見するためには,自分自身と社会とのつながりや自分の好きや得意ととことん向き合うことが大事な要素となるようです。最後の質問タイムでは,行動を持続させるモチベーション,問題をどう乗り越えたか,自分の考えを素直に話す姿がみられました。
先輩のお二方,大学の授業やさまざまな活動がある中後輩へ向けて話をしていただきありがとうございました。先輩方が活躍されている話を聴き,刺激や励みになったのではないでしょうか。前期の活動を通し,自分自身にしかない「問い」を,どう「解決」していくのか,半年間探究していきます。
「リサーチクエスチョン」について
「お米」について取り上げ,リサーチクエスチョンを立てていく練習をしました。また,例として挙げられた調査や実験方法のどこが問題なのか,検討しました。
続いて,リサーチクエスチョンから立てた仮説を検証します。仮説は適当か,調べればすぐにわかる仮説や抽象的な仮説になっていないかなど検討しました。
リサーチクエスチョンから先行研究を調べ,事例を理解し,情報収集を徹底し,仮説を立て,それを検証をするという過程を繰り返す中で,新たな仮説が生まれることを学びました。
続いて,班ごとにリサーチクエスチョンの設定です。研究テーマに対して,「問い」を立てていきます。『課題研究メソッド』を参考にしながら,言葉の意味や定義,原因(なぜ),信憑性,比較,先行研究・選考事例,影響,方法や関連性などを7つ「問い」について検討していきます。前回までの問い立て方法を活用し,リサーチクエスチョンを導きます。
さらに,リサーチクエスチョンを受け担当教員と共に,定義が曖昧ではないか,どの地域が対象なのか,それは適切なのか,どのような条件を想定しているのか,など多くの課題を検討しました。
リサーチクエスチョンを見直しながらそれぞれの班の現時点での結論を見出しています。中間発表でお互いの意見を交換し,次の探究活動に繋げていきます。