3月7日、次世代おかやま「夢育」ネットワーク事業の一環である、Well-beingサミット2026を岡山駅前のスクエアホールで開催し、岡山県の高校、中等教育学校から21校、62名の生徒が参加しました。
開会行事で中村教育長からは、「“Well-being”は当たり前のことのように思えるが、その実現と維持は難しい。一人ひとりがよく考え、他者と協力しながら、実現に向けて行動していくことが大切。学校の枠を超えて多くの高校生が集うこのサミットにおいてしっかり議論するとともに、自分たちがどう動いていくべきかという具体的なアクションを導き出してほしい」と挨拶がありました。
続いて、実行委員である生徒「夢育」推進委員会(PSC)を代表して岡山城東高校の塩田菜月さんは、「知」という言葉をキーワードに、「『知る』ことは、何かを新しく始めたり変えたりする際の大きな動力源。この場での『知』に対する働きかけが、参加者全員にとって将来、新しいことに挑戦するための未来への一歩となるような一日にしていこう」と力強いメッセージを伝えました。
午前中は、まず、フォトジャーナリストとして長きに渡って国内外の紛争地域や災害について取材を続けておられる、認定NPO法人Dialogue for People副代表の安田菜津紀氏による基調講演を行いました。
安田さんは、多くの取材経験や自身の家族のルーツを辿りながら、多様性が尊重される社会のあり方と、そうした社会=Well-beingな社会を実現していくために、私たち一人ひとりに何ができるかということについて、高校生に語り掛けました。
「不条理のそばを黙って通り過ぎないこと」
「語り続けていくこと」
「一人ひとりが持つ役割は異なっても、それぞれができることを持ち寄り合うことで、誰もが呼吸しやすい社会を作っていくこと」
安田さんの豊富な経験と実感に満ちた言葉は、会場の高校生にとってたくさんの刺激に満ち、心に強く響くものでした。
続いて、今年度、世界に飛び出し、様々な経験を経て、大きく視野を広げた岡山の高校生によるトークセッションを行いました。コーディネーターは、一昨年のOne Young World(OYW)2024 モントリオール大会に参加したアンバサダーの小方ひよりさんが務めました。
昨年の夏、AIG高校生外交官プログラムで高校生外交官として渡米した岡山朝日高校の田中琉生さんは、全米・全日本から集まった高い志を持つ同世代と出会うことで、自分がいかに「井の中の蛙」であったかということに気付かされたこと、「不完全でも発信し続ける勇気」が他者との架け橋になることを学んだということを語りました。その上で、ありのままの自分で他者と対話し、認め合う経験が、前を向くエネルギーになる、と会場の高校生にメッセージを送りました。
昨年11月のOYW 2025ミュンヘン大会に参加した岡山一宮高校の片山桂汰さんは、高校1年の頃からWell-beingサミットに実行委員として参加し、活動してきたことで、それまで意識していなかった世界への視野が広がっていったと言います。片山さんが考える「Well-being」とは、「究極のスーパーポジティブシンキング」。世界を広げて自己分析を行い、「どこへ行っても自分ならやっていける」という自信を持つことが、困難な状況でも幸せを感じる力になると語りました
午後からは、五つのキーワードをめぐり、「Well-beingな社会の実現」に向けて自分たちに具体的に何ができるのかということについて話し合うラウンドテーブルを行いました。初めに、PSCのメンバーが11月に直島で行ったフィールドワークで学んだことについて紹介した上で、10のグループに分かれ、PSCの生徒がファシリテーターとして話し合いをリードし、答えのない、難しい問いに対して熱心に議論を交わしました。
続く全体協議では、各グループの代表が発表した議論の内容について、岡山大学副学長の横井篤文先生から指導助言をいただきました。横井先生からは、「幸せは一人で作るものではなく、他者との「関係性」の中から生まれるものである」こと、そして「一人ひとり異なる『夢』=自分自身と向き合い、深掘りしていく自己探求の作業を続けていくことこそが幸せに繋がる。今日のサミットでの「夢と幸福」についての議論を家族や友人に広げ、深めていってほしい」とあたたかいエールが送られました。
最後に全体を通して、室学校教育推進監からは、「この場で直接体験し、感じたことをそれぞれの学校や地域に持ち帰り、周囲に伝えていくことが大きな変化に繋がる。今日という日を糧に一歩前進し、未来に向かって大きな夢を持ってもらいたい」と期待が寄せられました。
また、PSCを代表して、岡山城東高校の丁美友さんが、「夢は口に出すことが大切。自分自身の行動の指針になるし、その夢を応援してくれる人や手を差し伸べてくれる人が現れ、そうした人たちの力も借りて、夢が確実に自分に近づいてくる。皆さんの夢が育ち、将来がWell-being(幸せ)に溢れたものになりますように」と、サミットを締めくくりました 。
今回のサミット開催にあたり、県立高校の有志の生徒による、生徒「夢育」推進委員会(PSC)の皆さんが、昨年6月から準備を進め、サミット全体の企画、運営を担い、サミットを成功に導きました。
何よりも、PSCの生徒を中心に、次世代である高校生たちが学校や学年の枠を軽々と越え、新しいつながりを生み出してくれたことを、本当に頼もしく感じます。Well-beingな社会に向けた、岡山の高校生たちの「次の行動」に、引き続きご期待ください。
【参加者のアンケートから】
[基調講演について]
〇今回のお話を聞いて、人はそれぞれ違う背景や考え方を持っていることを理解し、それを自己表示できるような環境が必要であるのではと考え、まずは自分がそういう人間であることができるように意識したいと思いました。
〇特にシャヘドさんのお話が印象に残っています。彼女の笑顔が頭から離れません。無事を祈るばかりです。安田先生の『出会いが人を変える』という言葉を聞いてこれからも勇気を出して挑戦していきたい、人との交流を通じて自分について見つめ直したいと思いました。
〇今私たちが当たり前の生活を享受している時に当たり前の人権が守られていない人がいること、そしてそれを気づけていない人がたくさんいること、それを知るために、そして知らせるために何ができるのか、高校生という立場でどのようなアクションを起こせるのか向き合い続けるべきだと思いました。自分が知らなかったこともたくさんあって、自分の無知さ、関心の無さも自覚できました。
[トークセッションについて]
〇私は英語が苦手で、海外に行くことに対してあまり関心が持てなかったのはそれが一番の問題だと捉えていたからだと思います。しかし、お二人のお話を聞いて言語の壁はそれほど重要ではなく、自分の意見を伝えようとする気持ちや、向上心、探究心が大切なのだと感じました。
〇人との縁が、この活動や自己形成につながっているというようなお話をされていたと思います。縁などの自分の環境に感謝するということは、私もなかなかできずにいるため、そのような考え方ができることをとても尊敬しています。
〇二人とも、自信はなくても海外へ踏み出してみることで、見えた世界があるということを強調していて、英語がうまく喋れなくて不安だけど留学してみたいと考えている人や、異文化交流に関心がある人に今回のような話を伝えて、海外挑戦を促したい。そして、今後もこういった実体験を伝える講演会を開催してほしい。
[ラウンドテーブル、全体協議について]
〇アイデアが出てもまたそこから疑問が出て話し合いという流れが続く感じがとても楽しかった。このような機会で初めてあった人たちと様々な意見交流ができたので参加できてよかったと思った。
〇普段友達とはしないような話ができたこと、学校の枠、性別を超えて他の人の考えを聞けたこと、1時間という短い時間でも自分たちなりに意見をまとめられたこと、すごく楽しかったです。全高校生に一度この経験をしてほしいなと思います。
〇ラウンドテーブルでは自分の興味のある分野について話を深めていったけど、全体協議があることでそれをアウトプットできるだけでなく、他の分野についても考えることができたのでよかったです。どの分野もつながっている部分は必ずあると思うのでこれからも様々なことに触れていきたいです。
[全体を通して]
〇もっと多くの人にこのサミットに参加してほしい!と思いました。学校では学べないことが沢山ありました。自ら参加した人も先生に言われて参加した人もきっと大きく成長できたと思います。平和を作るにはこういう活動の繰り返しが不可欠だと思います。これからの自分の人生にぜひ活かしていきたいです。
〇正直、問題が分かっていても、高校生の私にはできることはほとんどないだろう、できたとしても些細なことでほとんど意味をなさないだろうと思っていました。しかし、このサミットを通して、私が知っていることはまだほんの些細だったことを知り、そしてみんなで考え出したことはとても重要で本当に成し得ることができるのではないかと、とても希望に満ち溢れました。やはり、1人では出来ないことはあっても、仲間と共に積み上げてきたものは説得力も行動の重みも違うのだなと痛感しました。
〇PSCとして1年間頑張ってきてよかったです!思うように上手くいかないこともあり、不安でしたが、一般参加の方から貴重な経験ができた、スタッフの仕事をする姿がかっこよかった、と言って頂いて頑張って良かったと思いました。PSCの仲間からたくさんの刺激を受け、もっと頑張りたいなと思いました。これからも「私のWell-being」について追求し続けたいです。