令和6年8月7日(水)、岡山県教育委員会と岡山大学の協働事業である「おかやま夢育イニシアチブ」の第5回ワークショップを岡山コンベンションセンターで開催し、11校20名の生徒が参加しました。
今回は、「瀬戸内海の未来へ届け!~高校生が考えるビジネスアイデア~」をテーマとして、岡山の高校生にとって身近な瀬戸内海をめぐる諸問題について学ぶとともに、それらの問題を解決し、瀬戸内海を豊かにしていくためのビジネスアイデアについてディスカッションを行いました。
はじめに、岡山大学の天王寺谷達将准教授からインプットトークとして、持続可能な未来を作るためのビジネスの在り方として、「経済価値を持続的に生み出していくことは当然として、持続可能な未来に貢献するためには、環境価値や社会価値の創造を視野に入れて考えていく必要がある」というお話がありました。
その後、各グループに分かれて、アイスブレイクを行ったあと、瀬戸内海のさまざまな問題、課題について意見を出し合い、議論を進めていきました。岡山大学DS(データ・サイエンス)部のコーディネートのもと、「海ゴミなどの環境問題」「観光資源をどう生かすか」「自然災害への対策」「少子高齢化による漁業や海の家などの後継者不足」「景観保護と観光の両立」など、様々な意見が上がりました。
ここで出された問題の中から、テーマを絞り、その解決を図っていくための方策についてディスカッションを重ね、各グループのビジネスアイデアをまとめていきました。話合いの過程では、普通科、商業科、農業科など、異なる分野を学んでいる高校生たちが、それぞれの専門の視点からの意見を交流したり、必要な情報を逐次、手元の端末で調べて共有したりするなど、学校の枠を越え、ダイナミックに学びを広げていく様子が見られました。
最後に、各グループでまとめたビジネスアイデアを、同会場で開催されている「おかやまSDGsフェア2024」の特設ステージで、フェアに参加している企業や大学関係者をはじめ参加者に向けて発表し、様々な立場からの意見、助言を受けました。
【各グループのビジネスアイデアの提案】
1「漁師育成のための学校をつくろう!」
少子高齢化で後継者問題を抱える漁師を育成する専門学校をつくり、漁師の成り手を育て、漁獲量の増加につなげていく。
2「キャンピングカーで瀬戸内海の島巡り」
観光地の交通インフラ不足を補うため、観光客向けに、地元食材つきのキャンピングカーの貸し出しを行う。
3「せとうちにゃんこホテル」
頭数が増加している保護猫の問題と、未利用魚の増加問題の解決のため、保護猫と過ごせるホテルを作り、未利用魚を保護猫の餌にする。客への保護猫の譲渡会も行う。
4「On the seaでsightseeing」
人口減少が問題となっている瀬戸内の島々を跨ぐ形の宿泊施設を作り、新たな観光事業を生み出すことで間接人口の増加につなげる。
5「長期的な避難による問題」
閉鎖性海域である瀬戸内海での津波被害等を想定し、長期間の避難生活のストレス軽減をはかる寝袋リュックを開発する。
6「アニメで過疎地を救おう」
海外観光客の日本アニメ人気を瀬戸内の観光につなげるため、瀬戸内地域のアニメの舞台となった「聖地」をめぐる船旅ツアーの提案。
岡山大学の天王寺谷准教授からは、「それぞれの課題について、それを自分たちのビジネスモデルで、どのように解決をしていくのか、という、社会課題とビジネスを結びつける『物語』が必要。そこがもっと見えるように」と、次の探究活動につながるアドバイスも含め、それぞれの発表について講評をいただきました。
今回も、高校生たちにとって、学校の枠を越えた多くの「出会い」や「気付き」、「学び」にあふれた一日となりました。今日のそれぞれの「学び」を各校に持ち帰り、その学びの輪がさらに広がっていくことを期待しています。
【参加者の声】
岡山一宮高校2年 片山桂汰さん
今回が3回目の参加。他校の高校生や大学生と一緒に議論したり考えたりする機会はとても貴重で、参加後、自分が成長したと感じることができるし、その後の勉強や学校生活にもその経験が生きていると感じることがあります。今回はビジネスアイデアを作るということで、単なる意見ではなく、具体的な行動につながる提案を行うものになっていて、これまでより難易度は上がったけれど、とても楽しかったです。
興陽高校2年 白江琴葉さん
今回が2回目の参加。自分は普段、農業科で学んでいるので、前回参加して、異なる学科の高校生と意見を交わしたり、議論したりすることがとても楽しかったです。今回はビジネスプランを実際に作っていくということで、自分も今、学校で商品開発を行っていることもあり、興味をもって取り組むことができました。また。他校の異なる学科の高校生の、自分とは違う視点に触れることができて、とても勉強になったし、楽しかったです。
笠岡商業高校1年 山本優莉さん
商業科なのでビジネスアイデアを提案して課題を解決する、というテーマがとても興味深かったので、先生に紹介してもらい、今回初めて参加しました。学校でもこれから探究活動を進め、来年、成果を発表することになっているので、今回のワークショップはとても参考になりました。ステージでの発表はとても緊張したけれど、参観してくれた人も含め、色々な人とビジネスの視点で話ができて、楽しかったです。