3月8日、次世代おかやま「夢育」ネットワーク事業の一環である、Well-beingサミット2025を就実大学で開催し、岡山県の高校、中等教育学校から22校、56名の生徒が参加しました。
午前中は、第1部として、岡山操山高校の原深唯さんと藤原咲歩さんが、それぞれ独自に進めてきた探究活動について、これまでの取組と今後の夢、展望について発表しました。
原さんは、自らが腕を骨折したときの経験から、片手で使える自助具の開発、提案を続けています。「悩みを『できる』『楽しい』へ変え、誰もが『諦めない』世界を作りたい」原さんは笑顔で夢を語っていました。
藤原さんは、失語症の人との雑談、会話のきっかけをつくる機器「チット」の開発、改良を続けています。「テクノロジーに多くの人が関わることで、世界は変えられる」と力強く、会場の参加者に語りかけました。
自分たちと同じ高校生の優れた発表、そしてそこに込められた思いに触れ、参加者の生徒からは活発な質問や意見、感想が交わされ、会場は熱気を帯びていきました。
続いて第2部として、One Young World(OYW)アンバサダーの市川太一さん、徐亜斗香さん、徳升清香さん、浅野ひかるさん、寺島美優さん、Lin Thu Kha Htaikさん、小方ひよりさんの7人が登壇し、トークセッションを行いました。
「Well-beingとは、自分のやりたいと思ったことをやること。失敗を恐れず、一歩を踏み出そう」
「自分が良く知っていると思っていることでも、改めてよく見ると新しい発見がある。そういう出会いやご縁を大切に、感謝することがWell-beingにつながっていく」
「他人と比較するのではなく、自分のペースで。自分を信じることが全ての始まり」
高校生たちは、3年後、5年後の自分たちの姿かもしれない、様々な分野で活躍する若手リーダーたちの経験、思い、夢、そして熱いメッセージに、終始熱心に耳を傾け、質疑応答の時間はもとより、休憩時間やサミット閉会後もアンバサダーを囲み、熱心に話し込んでいました。
午後からは、参加生徒が10のグループに分かれ、五つのキーワードをめぐり、「Well-beingな社会の実現」に向けて自分たちに何ができるのかについて話し合うラウンドテーブルを行いました。各グループの生徒「夢育」推進委員会(PSC)の生徒がファシリテーターとして話し合いをリードし、時にOYWアンバサダーの方々も交えながら、答えのない、難しい問いに対して熱心に議論が交わされました。
続く全体協議では、各グループの代表が発表した議論の内容について、AMDA副理事長の難波妙氏、岡山県JICAデスク国際協力推進員の橋本千明氏、中村正芳教育長から指導助言をいただきました。中村教育長からは、「大切なことは、ここで話し合ったことをもとに、どう行動していくか。皆さんが中心となり、新しい風を巻き起こしてほしい」と力強いエールが送られました。
今回のサミット開催にあたり、県立高校の有志の生徒による、生徒「夢育」推進委員会(PSC)の皆さんが、昨年6月から準備を進め、サミット全体の企画、運営を担い、サミットを成功に導きました。
何よりも、PSCの生徒を中心に、次世代である高校生たちが学校や学年の枠を軽々と越え、新しいつながりを生み出してくれたことを、本当に頼もしく感じます。Well-beingな社会に向けた、岡山の高校生たちの「次の行動」に、引き続きご期待ください。
【参加者のアンケートから】
[原さん、藤原さんの発表について]
〇高校生でも、むしろ高校生だからこそ、何でもやりたいと思って全力でぶつかればいろんな人に協力してもらえて、世の中をより良くすることに貢献できるとわかり、とても貴重な機会になりました。
〇一切妥協のない研究と研究理念が本当にすごいなと思いました。独自の支援デバイスを作る企画力、体の不自由な方に寄り添って、複数の視点から自助具を作る発想力、人を惹きつけるプレゼン、沢山の影響を受けました。今後の参考になる様々な点が見つかり非常に面白かったです。
[OYWアンバサダーによるトークセッションについて]
〇様々な分野で活躍するアンバサダーの方のお話を聞いて刺激をもらうことができた。自分の世界が広がった気がして、これから自分の将来について真剣に考えていこうと思った。
〇どの方もたくさんの場で活躍しておられて、その経験やそれを通して考えたこと、夢を聞くことができたのが嬉しいです。トークセッションでたくさん学べたし、知らない世界を知れました。みなさん行動力があって、自分自身も考えるだけでなく、行動に移していきたいなと強く思いました。
[ラウンドテーブル、全体協議について]
〇知識を得ることの日本の現状、理想に近づけるための対策などを話し合い、高校生目線の実践的な行動を考えることができた。年齢も学校も違ったけど、意見が似たような感じだったのは意外な気づきだった。
〇PSCで打ち合わせをしていく中では、自分のなかでWell-beingとは何かが明確に定まらなかった。だけど、今日のサミットで多くの意見を交わして自分の中でWell-beingが具体的になった。すごい先輩方からアドバイスもいただけて貴重な時間になった。
[全体を通して]
〇自分1人でサミットに参加するのを決めるときは躊躇いや不安がありましたが、他校の高校生との交流によってこれからの活動の幅が広がっていくと感じ、今回参加して本当に良かったと思います。これからも自分の成長のために、ウェルビーイングの実現のためにたくさん行動をしていこうと思います。そして自分が経験したことを周りに発信して誰かの挑戦のトリガーになるようになりたいです。
〇会場の反応を見ると、新たな知見や考え方を知る良いきっかけとなったのではないかと思うし、何よりも楽しんでいる様子を見て、Well-beingについて考えると同時にWell-beingを体験することもできたのではないかと思う。そのためこのような機会を創ることに携わることができたことに、感謝したいと思う。
〇正直ありきたりで分かりきったことばかりだと思っていたけれど、そうではなくて同世代の高校生とアンバサダーの方としっかり話し合う中で気づくことはたくさんあって、結論に至るまでの過程が大事だと感じたし、結論がでなくても深い協議ができたことに価値があるなと感じました。