11月22日(土)~23日(日)に、生徒「夢育」推進委員会(PSC)の第3回委員会として、香川県直島での1泊2日のフィールドワークを実施しました。
このフィールドワークは、PSCのメンバーが、“Well-being”について理解を深めるとともに、アートの対話型鑑賞やグループでの話し合い等を通して、ファシリテーターとしての知識やスキルを学ぶことを目的としています。
船上から瀬戸内海を望む
1日目は、ベネッセハウス ミュージアムで、5つのグループごとにアート作品の対話型鑑賞を体験しました。
対話型鑑賞とは、アート作品を専門家や学芸員が解説するのではなく、参加者同士がファシリテーターの進行のもとで対話する鑑賞方法です。作品について「みる」「考える」「話す」「聴く」ことを繰り返すことで、参加者それぞれの多様な視点や解釈、発見を深めることを目的としています。生徒たちは、それぞれが感じたことを、ファシリテーターの方からの投げ掛けと応答、対話を通して、言語化していきました。また、他のメンバーの考えを聞き、同じ作品を見ていても、感じ方や視点が全く異なることに気付いていきました。
最後に、それぞれが印象に残った作品を一つ選んでスケッチするとともに、どんなことを感じたかと、そこからこの2日間で個人的に考えてみたいテーマについてシートに書き込み、全体で発表、共有を行いました。
ベネッセハウス ミュージアム
ベネッセハウス ミュージアム
ベネッセ ハウス ミュージアム リチャード・ロング「瀬戸内海の流木の円」(1997年)
ベネッセハウス ミュージアム
対話型鑑賞体験で感じたこと、考えたことをシェア
その後、“Well-being”について考えていくために、直島について4人の島民の方へのインタビューを行いました。4人の方はそれぞれ、直島で生まれ育ち、生活してきた方、島外から移住してきた方、行政という立場で島の施策等に携わっておられる方で、生徒たちは、アートの島としての直島のこれまでの歴史と現状、今後の課題や、観光と島民の生活、過疎の問題と地域おこし、瀬戸内の環境に関する問題などについて、積極的に質問を投げかけ、会場は熱気に包まれました。
2日目は、前日のアート鑑賞を通して設定した個人の関心と、島民の方へのインタビュー結果をもとに、「おかやま高校生“Well-being”宣言」の5つの視点ごとのグループに分かれてそれぞれのテーマを設定し、直島の本村地区のフィールドワークを行いました。本村地区の古い民家などを活用した「家プロジェクト」を中心に、直島の町の風景や、訪れている人、暮らしている人の様子、空気を肌で感じながら、自分たちの設定したテーマについて考えていきました。
家プロジェクト「はいしゃ」
家プロジェクト「石橋」
最後に、フィールドワークを通してそれぞれのテーマについて考えたこと、気付いたことについてまとめ、グループごとに発表を行いました。どのグループも、対話型鑑賞、インタビュー、フィールドワークそれぞれで感じたこと、考えたことをもとに、“Well-being”について一歩踏み込んで考えることができていました。ここでPSCの生徒たちがまとめた内容は、来年3月のWell-beingサミットのラウンドテーブルに生かしていく予定です。
二日間を通して、高校生たちの、思いや考えを言語化する力、経験したことや知識、思考を自分の中でつなげていく力、そして何よりも学校の枠も学年の枠も越えてつながっていく力に、改めて、無限の可能性を感じました。
フィールドワークで得たものを、今後の活動、PBLフォーラムやWell-beingサミットにつなげていってもらいたいと思います。
※なお、今回の2日間のフィールドワークは、「ベネッセアートサイト直島」様の教育プログラムを活用し、全体のファシリテートや直島でのフィールドワークのガイド等を担っていただきました。
【参加生徒の感想】
〇対話型鑑賞は、どんどん自分の思ったことや感じたことを言語化して伝えあっていくうちに自分の考えが深まり、自分一人ではたどり着けない領域まで考え続けることができたと感じ、とても満足感を感じた。直島にPSCとして行くことができ、天気にも恵まれて、仲間にも恵まれて、県立高校に入って、PSCになれて良かったと改めて感じる機会になりました。
〇初めは、アートからどうWell-beingにつながるのか分からなかったけれど、対話型鑑賞を通してアートについて自分で考えるとはどういうことかわかり、その後の一人で見て回るときや、フィールドワークでも生かすことができたと思います。大きなテーマや学校ではあまり話せないような話題についてじっくり考えたり、それを共有できたりする場があるのがとても楽しかったです。
〇私は友達とPSCに参加したわけではなく、知り合いもいなかったので一泊二日のフィールドワークは不安も大きかったですが、第二回の委員会の際話しかけてくれたメンバーと一緒に回ることが多く、より仲も深めることができたと感じました。学校や部活以外で友だちができるという経験は初めてで、フィールドワークにもPSCにも参加してよかったと思えました。
〇2日目のフィールドワークは、最初に付箋で書いたことは抽象的なものもあり、不安な部分もあったけれど、班のみんなと意見をまとめる時に、フィールドワークから感じたこと、気づいたことを付箋に書き出すと最初に書いたことに全て繋がり、深く意識しなくても、自然と繋がっていくものだなと感じました。宿泊や違う学校の人たちと交流してみて、違う学校だし先輩だからと緊張していたけど、全然関係なくみんな対等な感じで話すことができ、助け合い、協力し、笑い合うことができて、とても楽しかったです!すごく有意義な時間になりました!
〇フィールドワークが終わって数日が経ちましたが、学校の先生方や友人にこのフィールドワークで学んだことを伝えることができています。フィールドワークの最後に発表した、「広げる」ということを実践し続けたいです。
〇自分はこのフィールドワークをする前は自分で言語化をして相手に伝えることが苦手でした、でもこのフィールワークを通して自分の言葉で相手に伝えるということの苦手意識がなくなりました。島民の方がおっしゃっていた「人と人との出会いを大切に」という言葉が心に強く響きました。このPSCを通してもっと色んな方と関わり出会いを大切にしていきたいと改めて思いました。