業務改善によって培った教職員の情報活用能力を生かし,GIGA研修のstep2では授業にICTを取り入れるための研修を行います。研修成果を生かした担任による学習指導によって,児童の情報活用能力の向上を目指します。
岩沼小学校情報活用能力 学習目標リスト
児童に身に付けさせたい情報活用能力を【活用スキル,追求スキル,プログラミング,情報モラル・リテラシー】の4領域に設定し,領域ごとに内容項目を定めたのが「岩沼小学校情報活用能力 学習目標リスト」です。詳細については,下のPDFリンクをクリックしてください。
授業におけるICT活用の実践
岩沼小学校では児童の情報活用能力を高めるために,主として「Miyagitouch」「ロイロノート」「デジタル教科書」「タブレットドリル」を活用したICT指導実践を行っています。以下は,コンテンツごとの具体的な活用例になります。特に令和2年度~3年度はロイロノートの積極的活用を行いました。
Miyagitouchの活用実践
教師の授業支援ツールとしての活用
児童同士の意見交換ツールとしての活用
一斉解決での意見発表ツールとしての活用
Miyagitouchの強みは,年齢を問わずすぐに活用できる機能性とネットワーク環境が整っていなくても使用できるところにあります。図や写真を使ったり,該当箇所を強調したりしながら説明する経験は,児童の表現力や論理性の向上に好影響を与えると考えます。
ロイロノートの活用実践
「特活 ロイロノートを使ってみよう」
1年生は初めてデバイスを活用する児童も多い中,ロイロノートのペイントエディターは,扱いやすくお絵かき感覚で楽しく習熟を図ることができます。また,この指導の中で,「ホームボタン」「パスコード」「フリック」等のタブレット操作に必要な用語と動作を覚えたり,表現した物をメール機能で送受信するなど,様々な情報活用能力向上につながる要素も含めることができます。
「生活科 あしたへジャンプ」
新型コロナウイルス感染症の影響から,授業参観の実施が不可能となりました。そこで,2年生ではロイロノートのスライド機能を活用し,児童が自宅で保護者に発表する形式にしました。デバイスの活用で学習したことの発表や感謝を伝える機会を設定することができました。また,児童が活用するアプリケーションについて保護者が理解するということは大切なことです。保護者への周知という意味でも有効な手立てであったと考えます。
「理科 魚のたんじょう」
5年生理科の魚のたんじょうは,本来であれば教員がメダカについての知識を注入することがメインとなる学習ですが,プレゼンテーション形式の学習に切り替えて実施しました。この学習形式により理科の知識を深めたことはもちろんのこと,相手に伝わるように発表する国語科の力や検索や図書資料から得た情報を整理してまとめる社会科の力,デバイスを活用する情報活用能力など,まさに教科を横断した学習を展開することができました。
「ノート指導に生かすデジタルポートフォリオ」
ロイロノートの写真撮影機能を活用し,児童の算数のノートを提出させることによって,担任はノート指導の成果の変遷を見るという使い方をしています。デジタルポートフォリオとしては,理科の観察カードや図工の作品を提出させることで,手元で評価を行うことができます。また,提出したノートの写真は印刷することによって,手本となるノートのモデルを児童に示すことができました。
「シンキングツールの活用」
コンピュータを活用して図や表に表す力はこれからの学びにおいて大切な情報活用能力です。ロイロノートにはベン図,フィッシュボーン等のシンキングツールがあり,児童に分かりやすく情報を整理することの良さを体感させることができました。
「特別支援学級での個別最適化指導」
ロイロノートのカード送受信機能を活用して,個に応じた課題の配布,丸付け,メッセージのやりとりを行っています。課題に対するアドバイスや励ましの言葉など,個別最適化した学びが展開されています。支援の方法に即した活用の仕方ができるのも,ロイロノートの強みだと感じました。
「学年PTA行事での活用」
PTA行事では,親子でロイロノートを体験する講座を行いました。親子でカードを送受信したり,子どもが使い方を伝えたりと,充実した活動をすることができました。保護者が子どもの活用しているICTコンテンツについて理解を深めることは,学校の取組や教育現場の状況を知っていただくことにつながり,望ましいとことだと考えます。
東京書籍 デジタル教科書の活用
タブレットからデジタル教科書へと接続できるように設定したため,デジタル教科書の活用ハードルを下げることができました。音読見本や毛筆手本動画の連続再生,社会や理科の解説動画など,実際に搭載されている機能を紹介したことで有効性が周知され,活用頻度の向上につながっています。
ウチダ IoT百葉箱を活用した授業
全国の学校がリアルタイムにインターネットでつながる、百葉箱です。IoT百葉箱を活用することで、自分の学校と全国各地との比較が行え、複数の資料を関連させながら思考させる授業を行うこともできます。
東京書籍 タブレットドリルの活用
東京書籍タブレットドリルのライセンス契約をしたことで,児童はタブレットを使って習熟を図ることができるようになりました。朝の学習や課題が早く終わった時など,自分の力に応じた問題に挑戦することができます。また,AIによる自動丸付け機能が付いているため,その場で間違いを確認し再挑戦することができることが力の定着につながっています。児童の進捗状況が管理アカウントで確認できることもこのアプリケーションの強みであるといえます。R3年度は長期休業の課題として,タブレットドリルを活用しました。
キーボー島,e-タイピングの活用
「ローマ字タイピング」
1人1台のタブレットが支給された現在,3・4年生の国語科における学習以外に,タイピングソフトを活用した指導が可能となりました。そこで,4年生以上にスズキ校務が提供する登録型無料ソフト「キーボー島アドベンチャー」,インターネットを利用して行うことのできるタイピング実力検定試験「e-タイピング」の活用を行いました。左記の4月と12月に行ったアンケート結果や授業中の文字入力の様子から児童のタイピング技能が着実に身に付いていることが分かります。「e-タイピング」は進学先の中学校で実施していることからも,情報教育に関する小中接続にもつながるものになります。
授業づくりのGIGA研修に関するアンケート分析
授業におけるICT活用のGIGA研修と各担任による授業実践の成果を検証するため,令和3年12月に5・6年生児童に対して情報活用能力に関する児童アンケートを,教員に対しても学習指導に関するアンケートを行いました。児童,教員とも質問項目は4月に行ったもの(H25に文部科学省が実施した情報活用能力に関する調査の項目に準拠したアンケート)と同一なものを使用しています。また,12月は自由記述項目としてGIGA研修を通した自身成長,ICT活用における自身の課題,来年度の研修への要望の3点を追加しました。
児童アンケートの集計結果分析
自分の考えの発表,プレゼンテーションの際で,ICTを用いた表出機会を設定すること,ロイロノートのシンキングツール等を活用して情報を表やグラフにまとめること,この2つは情報活用能力育成の重点指導事項として職員による共通理解を図り,年間を通した指導を行ってきました。そのことにより,児童の苦手意識は大きく軽減され,成長を実感していることをアンケートの数値から読み取ることができます。
全国学力学習状況調査の質問紙では,ICTの使用頻度や活用方法で全国平均を大きく上回っているという結果が出ました。また,岩沼市教育委員会から提供を受けた本校のロイロノートアクセスログによると,本校は1日平均250アクセスを維持しており,日常使いになっていることが分かります。これらのデータ数値は教室内で常にタブレットを身近においていることや毎日持ち帰りをさせていることなど,学校における環境設定も大きく影響していると考えます。
教員アンケートの集計結果分析(数値が大きいほど指導に対してポジティブな回答を示している。)
教員アンケート結果からは,教員が授業の中でMiyagitouchやロイロノート等のアプリケーションを積極的に活用していることが分かります。また,プレゼンテーションソフト等を通して発表させることに関しては,積極的なICT活用が教員の自信につながり,指導力の伸びを感じている職員の割合が増えました。これは,児童アンケートの同項目と照らし合わせると,ICTを活用した学習指導において,教員が重点指導事項を定めて意識的指導を行った時,教員・児童ともに情報活用能力が着実に高まることが示唆されたと考えます。児童にICTを活用した学習をさせる項目からは,力の伸びを感じている教員と自信のない教員との二極化傾向が見られました。一人一台のタブレットを有効的に活用させていくために,自信を持てずにいる教員に対して,今後のGIGA研修の中で,好事例の紹介や個別の研修機会の設定を通して対応する必要があることが分析できます。また,情報モラル等の教育が不十分な中でICT機器を活用させることに抵抗があるという意見も記述アンケート回答から確認することができました。情報モラル・リテラシーに関して担任の指導力を高める研修を行う必要があります。
岩沼市立岩沼小学校 TEL 0223-22-2145 担当:北澤