森林資源管理学研究室の吉田と小林は、東京農工大学農学部附属広域都市圏フィールドサイエンス教育研究センター(FSセンター)に所属しており、4つの森林研究サイトを管理しています。このページでは、FM草木について紹介します。
概要
群馬県みどり市東町に所在し、415haの面積を有しています。標高600~1200mの範囲で、秩父古生層と花崗岩の基岩からなる馬蹄形の山です。沢筋にはほぼ北限に当たるシオジ林があり、上部はミズナラが主体で、わずかにイヌブナ、ブナがあり、険しい尾根部にはモミ・ツガ林も残っています。複相林や広葉樹の人工植栽地も設けています。いわゆる、深山としての風格に満ちています。
アクセス
右の地図の場所にあります。最寄り駅はわたらせ渓谷鐵道わたらせ渓谷線の神戸駅(ごうどえき)になりますが、歩いていくのは無理です。車が必須になります。アポイントなしに演習林に入ることはできませんので、見学したい場合は吉田か小林に連絡ください。
林況
本演習林の林況は、大きく二つに分けることができます。
一つは第3〜第6林班で、地元の方々がかつて採草原野として利用していた土地が、明治末期に帝室林野局の所管となり、同局によって一部にスギ、ヒノキ、カラマツ、アカマツの植栽が行われました。同時に、それまで慣習として行われていた火入れが全面的に禁止されたため、原野のまま放置された土地は広葉樹林へと移行し、そこにモミやツガが侵入するようになりました。
もう一つは、第1・2林班の代替地として、昭和47年に草木ダムの建設により水没した花崗岩の原石山が地元の東村に払い下げられ、さらに前橋営林局から有償で所管換えを受けた第7・8林班です。これらの林班は、明治以来、同局が地元の自家用薪炭林として経営してきた広葉樹林で、北向きの斜面に位置しています。一部は昭和10年代にスギ、ヒノキ、カラマツが植栽されましたが、寒害の影響を受けて造林は不成績に終わりました。そのため、第7・8林班の大部分は広葉樹林であり、一部にはモミやツガが侵入しています。
新井雅夫(1991)東京農工大学農学部演習林報告より抜粋
気候情報
年平均気温:13.8 ℃、年降水量:1346 mm
林班図
林班図は以下に示します。赤色が林道です。歩くことは可能ですが、すべて車で入れるわけではないです。ちょっと文字が小さいですが、基礎データに記載されたリンクからPDFがダウンロードできます。
針葉樹林の様子
広葉樹林の様子
草木長期生態学調査地
FM草木には、草木長期生態学調査地と呼ばれるモニタリングプロットがあります。日本長期生態学研究ネットワーク(JaLTER)にも登録されています。群馬県みどり市、渡良瀬川の上流域に位置し、冷温帯の落葉広葉樹林を対象とした調査が行われています。2005年に約2ヘクタールの固定調査区が設けられ、毎年の樹木センサスや、月ごとのリターフォール調査、さらに植物の垂直構造に関する被度調査(2008年・2014年)が継続的に実施されています。調査地ではシオジ、クリ、ミズナラなどが優占し、シカの採食圧や地形由来の撹乱の影響も観察されています。これらのデータは、山地河畔林における長期的な森林構造と動態の理解に役立つものです。
本調査地のデータ(2005~20XX年)はJaLTERのサイトで公開されています()。最新のデータを利用したい方は、小林に連絡ください。
主な研究成果
1.Fukamachi AS, Yoshida T, Hoshino Y, Watanabe N (2023) Homogenization of understory vegetation by deer (Cervus nippon) overabundance in a temperate forest, central Japan. Journal of Forest Research, 28: 271–279.
2. Fukamachi AS, Watanabe N, Hoshino Y, Yoshikawa M, Yoshida T (2020) Structure and dynamics of a mountain riparian forest at an upstream valley in central Japan. Ecological Research, 35: 1035–1044.
草木長期生態学調査地の位置図:OOOOOOO
Fukamachi et al.(2020)Ecological Researchより引用
宿泊施設
FM大谷山のページをご覧ください。
基礎データ
以下のリンクからアクセスすることができます。調査地の下調べなどで自由に使用・閲覧してください。なお、研究(卒業研究を含む)でGISや気象データなどを使用される場合は吉田と小林まで連絡ください。
気象データ
以下のリンクからアクセスすることができます。
https://nyymttfsbmgkjdchg00fmq.on.drv.tw/%E6%B0%97%E8%B1%A1%E5%A0%B1%E5%91%8A/
LiDARデータ
200X、2024年にLiDARデータを取得しました。こちらも小林に相談いただければご利用いただけます。