以下、バイオインフォマティクス学会で領域のワークショップを開催します。
日時・会場:9月4日13:50-15:20・第2会場(200名)OR 9月4日15:30-17:00・第2会場(200名)
概要:生物は分子から個体に至る多様なスケールで、洗練された機能を発現するシステムを構築している。こうした機能がどのような物理的・進化的過程を経て出現し、複雑化・高度化してきたのかに焦点をあてる。その理解の鍵として、我々は「アセンブリ(Assembly)」という概念を提案する。アセンブリとは、異種の構成要素が組み合わさることで新たな性質や機能が創発するプロセスであり、タンパク質、細胞、発生、進化といった生命の主要な階層に共通して見られる現象である。
本ワークショップでは、「複雑な生命機能がいかに構成されるか」という根本的問いに立ち返り、多体系数値計算・相分離理論・発生ダイナミクス解析・進化系譜解析といった多角的なアプローチに注目し、生命の構造化と機能創発の過程を物理と進化の視点から探る。この問題に挑む若手研究者をお招きし、最新の理論と技術を紹介し、生命情報学の新展開を議論したい。
講演者情報:
梅津 大輝(A03 細胞アセンブリ班) 大阪大学大学院理学研究科
川口 喬吾(A01 分子アセンブリ班) 東京大学大学院理学系研究科
斉藤 稔(B01 物理理論班) 広島大学統合生命科学研究科
鈴木 誉保(B02 数理情報班) 順天堂大学大学院医学系研究科
本研究領域において公募研究は、(C01)多様な生体アセンブリ現象について「機能と進化」の関連を開拓して領域が扱う現象の幅を広げること、(C02)多様なアセンブリの「機能と進化」の関連を紐解く理論や情報技術、更には計測・操作技術を構築して領域の技術的な基礎を築くこと、そして(C03)領域の知見を生物工学や情報工学などの他分野へ活用して応用展開を拡大することの、3つを目的として設置する。
本分野を国内外の研究コミュニティに広く普及・定着させるには、次世代を担う学際的研究者の育成や多様な研究者の参画が重要であると考え、自らの手を動かして研究を推進できる若手や、様々な研究バックグラウンドを持つ方の積極的な応募を推奨する。また本研究領域に資する独自の実験系や理論、情報技術を有し、計画研究及び他の公募研究とも連携・協調して領域の研究を推進できる提案を歓迎する。実験と理論が融合している提案はもちろん望ましいが、生体アセンブリに関わる実験系の提案で、本研究領域の理論や情報技術などと有機的に組み合わさることで「機能と進化」の謎に迫れるものや、逆に本研究領域の実験現象に適用することでその真価が発揮される理論モデルや情報解析技術、計測・操作技術の提案もぜひ応募いただきたいと思う。
アセンブリは分子・回路・細胞の3つに分類されているが、これら以外の重要な生体アセンブリも公募のスコープに入る。ただし「機能と進化」の関係はおさえてほしい。
情報技術は、バイオインフォマティクスからモデル推定、深層学習なども広く含む。加えて、アセンブリを直接扱わなくても、一般性を持つ数理や情報工学技術で、例外的な事象の予測や探索、更にはその応用に資するものも重要であると考えている。
タンパク質の折りたたみなど平衡状態が機能や進化にも重要な現象もあるので、非平衡に過度にこだわる必要はない。