本領域に関連する海外研究者を招聘し、本領域の研究を推進するための国際シンポジウムを開催します。同じ会場で、以下の会議も開催されますのであわせて参加を検討いただけると幸いです:
日時:2026年3月14日(土)ー16(月)
会場:東京大学生産技術研究所 コンベンションホール
形式:ハイブリッド、ポスターセッションあり
招待講演者(confirmed)
Yongdae Shin:Seoul National University
Lorenzo Di Michele:Cambridge University
Ikuo Masuho:サンフォード研究所
松波宏明:Duke University
David Brückner:バーゼル大学
Hsuan-yi Chen 陳宣毅:National Central University
平岩徹也:Institute of Physics, Academia Sinica
Suropriya Saha:Max Planck Institute
Jennifer Schwarz:Syracuse University
Wenying Shou:UCL
Jeremy Beaulieu:University of Arkansas
Paul François:Université de Montréal
Antonio Celani:International Center for Theoretical Physics
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JST CREST「構造的・動力学的制約を活用した多元混合化学情報の解読とその応用」国際ワークショップ
日時:2026年3月17(火)
会場:東京大学生産技術研究所 コンベンションホール
形式:ハイブリッド
招聘予定者(調整中)
Aleksandra Walczak:Ecole Normale Supérieure
David A. Sivak:Simon Fraser University
Joel Mainland:Monell Chemical Senses Center
Katy Craig:University of California, Santa Barbara, Department of Mathematics
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学術変革B「生命-非生命転移」国際ワークショップ
日時:2026年3月18(水)
会場:東京大学生産技術研究所 S棟ホール
また領域の最新情報などは以下のXおよびblueskyのアカウントからも配信します:
本領域は「高度な生命機能がいかにして現れ、洗練されてきたのか、その創出の原理」をターゲットとします。
生命系の領域の多くは、現存のすでに高度化が進んだ生命機能のメカニズムの解明を進めてきました。我々はむしろ、それがどのようにして現れ、複雑化し、そして機能を高度化してきたのか、という問題を主眼とします。
生命機能の高度化や複雑化には様々なメカニズムが考えられますが、特に階層を横断してみられる普遍的な基盤として我々は「アセンブリ」という概念に着目しています。アセンブリとは、ヘテロな素子が組み上がってできるシステムを意味します。生体であれば、タンパク質はアミノ酸配列が組み上がった分子アセンブリ、細胞内反応や神経回路は化学物質や神経が反応や神経接続で組み上がった回路アセンブリ、そして多細胞体は細胞が組み上がった細胞アセンブリです。アセンブリはその組み合わせ的な性質から、オープンエンドに複雑化が可能であるという点で、進化的な機能探索に重要な基盤構造であると考えます。
しかし同時に、可能なアセンブリは構成要素が増えるに従って指数的に増え、その膨大な組み合わせからより機能的なアセンブリを生命はどう探索し得ているのか、が問題となります。我々は、様々なアセンブリが非平衡的なプロセスにより機能を発露しているという実験事実と、近年の生成モデルは非平衡的なプロセスを学習することで、自然画像などの画像全体の中では統計的に例外的な集合を効率的に生成しうる、という理論的な知見にも着目しました。そしてこれらをもとに、生体アセンブリにおいても「非平衡的なアセンブリプロセスの制御」とその「進化的な選択(最適化)」が組み合わさる(共役する)ことで、様々な機能が効率的に探索できているのではないかという仮説を設定しました。この新規機能の萌芽・発展・複雑化に対する非平衡ダイナミクスと進化ダイナミクスの寄与を理解することが課題となります。
この課題に対し、領域ではイメージングなどの計測技術と最新の進化解析技術を統合します。タンパク質の反応や相分離(分子アセンブリ)、細胞内反応系や感覚系のシグナル伝達(回路アセンブリ)、そして細胞集団や多細胞の動態は、近年のイメージング技術で詳細な計測が可能です。一方で、各アセンブリの構成や進化は分子情報から解読できます。タンパク質であればアミノ酸の部分配列の組み合わせ、反応回路は受容体などの構成分子群の組み合わせ、そして多細胞は相互作用認識分子の組み合わせをみることで、どんな組み合わせが相関しつつ進化してきたのかを追跡できます。多形質の相互進化を扱う最新の系譜解析技術により進化過程を復元するだけでなく、得られた祖先型を実際に再構成して、イメージングなどでその機能を検証することも視野に入れています。
そして理論面では、分子・回路・細胞のアセンブリのそれぞれで、その非平衡ダイナミクスと進化ダイナミクスの両面を捉える理論を構築し、相互作用推定や画像解析、時系列解析などの情報技術で実験と理論を接続します。最終的に、情報、非平衡、進化に共通する変分構造やその構造に密接に関わる大偏差理論(レアイベントの理論)を介して、生命機能とその創出における非平衡と進化、そして情報の普遍的役割を明らかにすることを目指します。
本領域で生命機能の創出原理の理解を目指して開発される実験・情報・理論技術は、液滴反応システム、生体情報伝達系、そして多細胞体のオルガノイドなど多様な生体システムの設計に応用されるとともに、情報工学的にも情報と進化・非平衡を繋いだ新しいアルゴリズムや知的システムの構築に寄与すると期待されます。
より詳しくは領域の狙いについての詳細な解説「EPIC Assemblyとはなにか?」もご参照ください。
X01:総括班
A01: 分子アセンブリ班
代表:川口 喬吾(東京大学大学院 理学系研究科 知の物理学研究センター)
分担:瀧ノ上 正浩(東京科学大学 情報理工学院)
A02: 回路アセンブリ班
代表:青木 一洋(京都大学 大学院生命科学研究科)
分担:戸田 安香(東京科学大学生命理工学院)
A03: 細胞アセンブリ班
代表:梅津 大輝(大阪大学 大学院理学研究科)
分担:澤井 哲(東京大学 大学院総合文化研究科)
B01: 物理理論班
代表:斉藤 稔 (広島大学統合生命科学研究科)
分担:花井 亮 (東京科学大学 理学院 物理学系)
分担:杉村 薫(東京大学 理学系研究科)
B02: 数理情報班
代表:小林 徹也(東京大学 生産技術研究所)
分担:鈴木 誉保(順天堂大学 大学院医学研究科)
分担:細田 一史(情報通信研究機構(NICT) 未来ICT研究所 脳情報通信融合研究センター(CiNet))