ようやく「金利のある世界」に向かい始めていますが、金利は経済の神経のようなものです。低金利が経済に良いと信じ込まされてきた30年間から思考的にも脱却しなければなりません。金利を操作して景気を動かそうとして見えるかもしれませんが、むしろ金利水準は経済の結果です。金利について深く考える前に、金利に関わる基礎知識を習得することは大学生のうちに是非やってほしいことです。本書は、後半、金融政策や経済政策とのかかわりにも触れていますが、前半は生活に密着した基礎知識の習得のために書かれています。自動車などを購入する際のローンで損をしないための知識など、是非読んでみてください。
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この本はどこにでもある普通の科学啓蒙書である。それをなぜ皆さんに読んで欲しいと思うのか。それは著者がまだ博士号さえとっていない若者だからだ。その若さで著者は「生命の基本は覚醒ではなく睡眠」という驚くような仮説を提案して世間を騒がせた。そんな彼だから小学生の頃からいっぱしの科学者じみた人生を送っていた。そして、文章も功成り名遂げた科学者のように風格がある。雲の上の人じゃない、皆さんと対して歳の変わらない若者でもこれだけの成果をあげ、これだけの本を書きうる。皆さんも目標は高く持って頑張って欲しい。
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宮本輝『錦繍』新潮文庫
離婚した二人による手紙の往復で構成された小説。人生を飾らずありのままに自ら綴ったもの、という感じがして通常の形式よりも寧ろ“人生”をそのまま見てしまった感じがする。人生の苦しい部分も描かれつつ、でも生きようという気持ちにさせられる。宮本輝の作品は「自分がこういう話を書きたいから書く」という純粋な動機で書かれている感じがして、派手な装飾がとても少ないところが凄い。学生の方々が今後どういう活動をするにせよ、このように純粋に自分の内側の動機のみでやる仕事…それを見つけて実行する事は、とても難しいですが…それができたら素晴らしいものになるはずです。その一つの例としてこの素晴らしい小説を推薦します。
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意志や努力ではどうにもならない困難にぶつかると、ひとは途方に暮れがちです。こんなはずじゃなかったのに、どうしてこんな目に遭うのだろう。――ここから不安に満ちた問いが出来します。「自分はなぜあそこではなくて、ここにいるのだろうか?」あるいは、「自分はどこから来て、どこに行くのだろうか?」と。パスカルが『パンセ』で答えようとしたのは、このような問いでした。彼がいつもたどり着くのは、「神」という答えでした。ただ、信仰を持たない私にとって面白いのは、とうてい正解があるとは思えない問い自体のほうです。正解がないぶん、誰にとっても根源的な難問でありうる、と思うからです。
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人々はなぜ、たった一人の支配者に服従するのか?――たしかに言われてみれば、不思議です。人々は、圧倒的な大多数を構成しています。だから、その気になれば、一人の支配者や少数の取り巻きを倒すことなど簡単なはずです。ところが実際には、そういうことはなかなか起こりません。一体なぜなのか? これが、23歳の俊英ラ・ボエシが取り組んだ難問でした。授業で本書を紹介すると、受講生はとても敏感に反応します。スクールカースト、いじめや傍観者の心理など、現代の若者にとっても切実な問題を思い出させるからなのでしょう。ラ・ボエシは若くして急死します。本書一冊だけが後世に残りました。
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「我思う、ゆえに我あり」は、高名なデカルトの言葉です。もっとも、彼がどのようにこの考えにたどり着いたのかを知る人は多くありません。本書は、その経緯を生き生きとした文章で語る自伝文学の傑作です。エリート校を去り、書斎の学問を捨て、世界各国の旅に出かけたデカルト。様々な人生遍歴の末、彼は「炉部屋」にこもり、彼以前の誰も考えたことのない問いに取り組む決心をします。「我思う」は、その孤独な苦闘の中で産み落とされた言葉です。デカルトの思想は、後世の様々な批判に曝されてきました。しかし、彼のようにたった一人で自分だけの問いを考え抜く勇気を持った人が、どこにいただろうか、と私は思います。
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ダジャレの域をはるかに踏み外した言葉遊びの洪水。あからさまな噓八百なのに、思わず笑ってしまうホラ話の数々。大暴れしながら、町も人も混乱に陥れる巨人の王様。幼児が大喜びしそうな、ウンチとオシッコの話。こんな滅茶苦茶な物語の合間に、「国家はどうあるべきか」「健全な共同体とは何か」という考察が展開されていたら、どう思いますか? 本書では、このように遊びと真剣が混然一体となって、読者に降りかかります。最大のハイライトは「テレームの僧院」物語。そこで生活する男女に課されたルールはただ一つ、「汝のしたいことをなせ!」――授業でこういう共同体が実現可能か質問すると、面白いコメントが沢山返ってきます。
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古典は古臭い、難しいし、退屈だ。――このステレオタイプは、広く流布しています。すぐに役に立つものが追求される社会では、役に立たないように見える古典は、敬遠されがちなのでしょう。本書はそんな「古典」観を一掃するエッセー集です。そもそも古典とは、気の遠くなるほど長い歳月の中でも、風化することのなかった作品のことです。一時の批評や流行を超えて、くりかえし新たな意味を生産し続けてきたからこそ、今日まで生き延びているのです。「古典とは、いつまでも意味の伝達を止めることがない本である。」このように新たな古典の定義を生み出した本書もまた、今や古典となりつつあります。
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本書の主人公は、災いに翻弄され続けます。婚約者は売り飛ばされ、娼婦に身を落とします。師匠は彼を裏切り、婚約者に暴力をふるいます。主人公自身も各所で滅多打ちにされ、一文無しになります。こうした物語がめまぐるしく語られるので、唖然とする読者もいるかもしれません。しかも、不幸に見舞われるたびに主人公がくりかえす決め台詞は、ブラックジョークそのもの。いわく「この世界で起こることはすべて最善だ!」と。とはいえ、人間として経験しうるあらゆる悲惨な遍歴の果てに、やっとのことで主人公がたどり着く独特の境地は、本作最大の見所です。人生も捨てたもんじゃない、そんな希望の光が差してくるのです。
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物語には起承転結があるべきだ、人物や場面はきちんと描写されるべきだ。本書はこの暗黙の了解を次から次へと覆していきます。馬は突然暴走し、物語を脱臼させます。犬は大声で吠えたて、場面をひっかきまわします。ドタバタだらけの脱線文学?しかし、些細な逸脱に見えた物語は、いつしか他の物語群と複雑なつながりを紡ぎ始め、その過程で、登場人物たちは、この地上の論理を超える「運命」の不思議さに思いを馳せるようになるのです。こうして、意図や期待通りには進まない私たちの人生の複雑な成り行きを示唆するかのように、本書はくりかえし宣告するのです、「ひとは、自分がどこへ行くのかなんてことを知ってるものでしょうか?」と。
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本書を開く読者は、度肝を抜かれるでしょう。160通の虚構の書簡集が一気に並んでいるからです。これらは、後に政治哲学者として大成するモンテスキューが、周到な戦略に基づいて配置したものです。特に、2つの空間の鮮やかなコントラストは要注目。1つはパリ。株価や証券の変動に一喜一憂しつつ、無数の娯楽を満喫する開放的な金融都市の空間です。もう1つはペルシア帝国のとあるハーレム。多数の女性の生活や身体を監視し、拘束する閉鎖的な管理空間です。当初は何の関係もないように見える2つの空間ですが、パリに滞在する2人のペルシア人の視点を通じて、徐々にコインの表と裏のような関係性が炙り出されていくのです。
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松本清張『或る「小倉日記」伝』新潮文庫
本書は清張の傑作短編集とされ、表題作他の短編からなり、モデルが実在する歴史学・考古学などに関連した救いのない話が多い。表題作もすさまじいまでの学問の残酷さを表すが、私が惹かれるのは、考古学をモデルとした「断碑」「石の骨」である。前者は、弥生農耕論を先駆的に標榜しながら世に認められることなく若くして病死した森本六爾、後者は明石原人の発見者として著名な直良信夫がモデルである。細部に小説的な変更が多いが、プロットは反骨の考古学者の悲劇をなぞる。清張が新聞社の下積みに務めていた頃の鬱屈の反映と言われるが、むしろ憧れの気持ちではないかと評者も自らに重ねて読む。推薦として変だが、初心者には薦められない本。
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各々の立場に拘束され、決して結ばれない男女たち。それでも法や慣習ゆえに対面せざるをず、出口のない感情のループに絡めとられていく悲しみ、怒り、絶望。ラシーヌの悲劇では、そんなまがまがしい空気が押し寄せてきます。すべてがあらかじめ決められていたかのように、人物たちはどんなにあがいても、たった一つの究極のバッドエンドに吸い寄せられていきます。出会いを重ねるほど、すれちがいや傷つけあいを深めずにはいられない人間の情念の切なさ。「こんなことあっていいのか!」と胸を締め付けられつつ、「こうでしかありえなかった!」と納得させられてしまう運命の成り行きの恐ろしさと妖しさを、ぜひとも堪能してみてください。
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粋で、ハンサムで、優しい人。自分を真剣に愛し、求めてくれる人。ただ、どうしても、その人が希代のプレイボーイだという噂が引っかかる――本書が描くのは、この戸惑いに揺れ動く、若い女性の繊細な心理です。拠り所のない彼女を取り巻くのは、権力関係が目まぐるしく変転する宮廷社会です。そこでは恋愛もまた、様々な嫉妬や打算に左右される椅子取りゲームのような様相を呈しています。そんな状況下で彼女がとった行動は、誰もが驚く突飛なものでした。とはいえ、それが相手の男性を本気で愛するがゆえの決断だったことは、間違いありません。人間の感情の複雑な機微を、余すところなく描き切った心理小説の名著。
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絶海の孤島。その孤島の中でも、最も人里離れた山間部。そして、その隔離地区に建てた掘っ立て小屋で、ひっそりと肩を寄せ合って生きる2つの母子家庭。やんごとない事情のため、社交や喧噪から引きこもってきた彼女たちの元にも、じわじわと「文明」の論理が忍び寄ってきます。都会vs田舎、文明vs自然。こうした分かりやすい二項対立を示すかに見えた本書は、19世紀フランスにおいて大ベストセラーになった後、百年近くも忘れ去られたままでした。しかし近年、純真かつ素朴と一括されてきた作品の、意外にも複雑な陰影が、改めて注目を浴びるようになっています。時空を超える古典作品の命脈の不思議さを知る上で、もってこいの秀作です。
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良識にも世間体にも縛られず、勝手気ままに愛人を乗り換えていくマノン。そんな彼女に何度裏切られても、執着心を断ち切れず、ずぶずぶと泥沼にはまりこむ恋人のデグリュ。この二人の痴情につけこんで、不穏な企みに巻き込もうとするマノンの兄。そんな中、八方塞がりの二人の恋人たちは、思わぬ事件を通して「新世界アメリカ」に流れ着くことになります。男を手玉にとる「悪女」の典型とされてきたマノンですが、実は18世紀当時の「懲罰用監獄」の囚人だったという設定は見逃せません。このような人物設定を通して、本書は、寄る辺ない境遇ゆえに歴史の大きな渦に飲み込まれ、人知れず散っていった無数の者たちの哀切を歌っているのです。
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恋愛とは賭けであり、狩りであり、闘いである――本書を読むと、このように定義したくなります。それほどまでに、人物たちがくり広げる恋愛劇は、激しく妖しい火花を散らすのです。どんな女性も征服ゲームの対象としかみなさない放蕩者ヴァルモン。社交界に出入りする男女を言葉巧みに操り、誘惑と陰謀の計略を張り巡らす貴婦人メルトゥイユ。ページをめくればめくるほど、この二人の本音が何であるのか、分からなくなります。それは、本書が様々な情熱や欲望を幾重にも押し隠した書簡のやりとりだけで成立しているからなのでしょう。駆け引きと裏切りの錯綜。そして、それらを引き裂くほど、強靭な愛情の炸裂。人間の情念の迷宮へようこそ!
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ルソー作品のお勧めを一つにしぼるのは至難の業。ただ、学生時代に一度は読んでみてほしいのが本書です。代表作『告白』において「自分は全世界から迫害されている」という妄想を切々と語ったルソーですが、最晩年の本書では、この「迫害」の苦しみから徐々に解放されていく自分の姿が描かれます。いまだ妄想自体は継続中ですが、病者としてのルソー自身を静かに見つめるもう一人のルソーがそこにはいるのです。苦痛に満ちた人間関係から離脱し、世界との向き合い方、自分との向き合い方を変えること。特に、自分の心を捕らえる思考を一つずつ手放すこと。この自己治療の過程が、湖水の波紋のように美しい文章で綴られていく奇蹟的な名作です。
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なぜ授業中に私語をしてはならないのでしょうか。注意されるからでしょうか、成績評価が悪くなるからでしょうか。それなら、成績評価が悪くならないなら、注意されないなら、私語をしてもよいのでしょうか。筆者は、ルールを守るのは、ゲームの参加者としての必要条件と考えています。そして、「ペナルティではルールを守らせることはできない」といいます。この主張がどのような意味を持ち、どのような帰結をもたらすのかは、読んでみてください。どうしてもサンクションをベースに規範(法)を考えてしまいがちな人への、社会学者からの問題提起の一冊です。
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この本は、2024年3月に中央大学経済学部を卒業した大塚あみさんが、4年生の春、「入門ICT演習」の授業中に、ChatGPTを使って、意外に簡単にPythonでオセロゲームが作れてしまった、というところから始まります。先生に勧められて、ゲーム作成過程を学会で発表をしたところ、参加者からも褒められ、Pythonプログラム作成に打ち込むようになります。10月からは、タイトルのように、ChatGPTの助けを借りながら100日間ゲーム開発を続けた結果、エンジニアとして就職し、本も執筆するまでの過程が生き生きと描かれています。参考になる点も多いと思いますので、一度、手にとって読んでみてください。
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経済学で私が重視することは「実務ベース」と「人の意識」です。本書は後者を学生さんに伝えたくてお薦めします。隣で美味しそうにビールを飲まれると自分も飲みたくなり,あるブランドのスニーカーが流行すると自分も買ってみたくなる。他社が新工場を建てると自社も何かしたくなる。これらは所得水準やその伸び率,期待収益率などで説明されるものではなく,他者(他社)の波長が自分(自社)に伝わってきたことによります。ノーベル経済学賞受賞者のロバート・シラー氏が伝えたいことは,経済学の「進化」に対する苦言でもあり,もう少し素直な経済学を構築していきましょうというメッセージを読み解いてみましょう。
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この本は、都内に実在する理容室の経営立て直しを題材に、経営コンサルタントが使う主だった経営理論や人生に関するノウハウが紹介されています。理容室という身近な存在をモチーフに、コンサルティングの手法を用いて、立体的に経営を捉えた、飛び出す絵本のような興味深い本で、マンガのようにスラスラ楽しく読めます。これから進路を見つけたい一年生から、就活に忙しい三年生、就職先が決まり社会に飛び出す前に経営理論を身につけておきたい四年生、経営理論の復習をしたい大学院生まで本学の学生に広く読んでいただきたい一冊です。一度手に取り、軽い気持ちで読んでみてください。
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私の知る範囲で初めて「経済史」をファンタジー創作に応用した作品です。この作品の世界では「魔王」と「勇者」が戦う宿命にあるのですが、「魔王」が現代の地球文明の知識に触れ、その戦いを終わらせるために「勇者」に協力を持ちかけます。そこで平和のための第一歩として最初に彼らが行うのが「ノーフォーク式農法」の導入による食糧問題の解決なのです。もちろんそれで物語が閉じるわけではなく、以後も食料を始めとした物資の効率的な生産と流通の問題が物語中で重要なファクターとなります。このような例もあるので、もしかしたら学生諸君がいま勉強している学問も、いずれ創作に応用して画期的な物語を生み出せるかもしれませんよ!
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ガブリエル・ガルシア=マルケス
『百年の孤独』(新潮文庫刊)
マコンドと呼ばれる町を舞台に、愛のない世界に生きる錬金術を愛する男と、そのいとこでもある妻、そして彼らの子供たち100年間の物語。不思議で想像を絶する出来事が次々と起こるが、霊能者によって羊皮紙に書かれた謎が解読されるとき、一族の物語は結末を迎える。その結末が幸せなものか、悲劇的なものか、ぜひ発見してください。世界的ベストセラーとなった20世紀西文学の傑作が、読みやすい日本語版で新登場(2024年6月発売)自分はスペイン語で5回以上読んでいますが、いつか日本語で読めたらという夢があります。
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大学生の目的が就活だ、と言われて久しい。今、これを読んでいるあなたにとっても、就活は学生生活最大の関心事だろう。大学で一番頑張ったのはなんですかという就活面接の質問に就活ですと答えたという笑えないギャグまで出る始末。だが、待ってほしい。誰もが羨む大企業に就職したら、本当にそれは成功なんだろうか?若い皆さんの人生は長い。本書は「雇われる」という働き方が時代遅れになり、いまだかつてなく簡単になった起業こそが正しい働き方だ、と勧めている。そんな馬鹿な、と思うかもしれないが、つい100年前にはよい就職先のために大学へ行く、という方が非常識だったそうだ。時代は変わるのである。若い皆さんにお勧めの一冊。
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高校までは「1つの正解にいかに早くたどり着くか」という能力を競ってきました。しかし、大学は「正解はまだない問題を自分の頭で考える力」を身につける場です。正解はひとつとは限らないし、あるとも限りません。実社会はこうした問題が数多く存在し、それらに果敢にチャレンジすることがみなさんに期待されています。この本と「子どもに伝えたい<三つの力>」(斎藤孝:著)を読むことで、情報を正確に読み取る力、ものごとの筋道を追う力、受け取った情報をもとに自分の論理をきちんと組み立てられる力、また<コメント力><段取り力><まねる盗む力>といったことについてわかりやすく学ぶことができます。
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著:Joshua Paul DALE
出版:Profile Books, London
This book is not difficult to read. It answers the questions: Why are some things cute, and others not? What happens to our brains when we see something cute? And how did cuteness go global, from Hello Kitty to Disney characters?
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因果関係の迫る思考法
著:伊藤 公一郎
出版:光文社
青木 英孝 先生
ビジネスの世界では、需要予測やマーケティングなどにビッグデータが活用されています。また、証拠に基づく政策立案(Evidence Based Policy Making)と呼ばれるように、実は政策の効果もデータによって検証されています。本書は、因果関係に焦点を当て、分析の基本的な考え方を、数式を使わず分かりやすく解説している良書です。
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犯罪を行った加害者が、その犯罪に関連する内容の書籍出版、映画化の契約をしたり、近年ではyoutube、X等のSNS等を通じて、収益を得ることがある。犯罪被害者にとっては、犯罪の内容が世間に明らかになる一方(事実が誇張されると、犯罪被害者にとってはさらに大きな苦痛となろう)、そのような加害者の活動を法的に規制することができるのであろうか。本書は、アメリカ合衆国等の「サムの息子法」を紹介し、表現の自由、犯罪被害者の立場等の様々な観点から、そのような法律をわが国で制定できるかを論じている。わが国でもこの問題は潜在化しており、この問題を真剣に考えるための素材として本書の一読を薦める。
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犯罪によって被害者が死亡したり傷害を負うと、被害者は今までの生活が一変し、身体や精神に変調をきたす一方で、経済的に困窮した状態に陥ることが多い。犯罪者には、犯罪により生じた責任を刑罰として果たす義務があるほか、犯罪により生じた経済的損害を賠償する義務がある。しかし、ほとんどの加害者はこの賠償義務を果たしておらず、国家が経済的支援の一環として犯罪被害者に対する給付を行ってきた。本書は、犯罪被害給付制度、刑事司法制度における犯罪被害者の経済的損害回復の在り方を検討するものである。本書は容易に解決できない問題を論じている。一読を薦める。
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