2023.12.04 News

トーマス・J・ミチェリ 著、髙橋直哉 訳「刑罰のパラドックス 刑事司法の経済学について考える」を刊行

経済学の視点から刑事司法システムを多面的に分析した一冊。刑罰に関する抑止と応報の対比を軸にしながら、量刑、司法取引、累犯対策、個人責任と団体責任といった刑事司法政策上の重要トピックに考察を加え、更には法と道徳の関係にも経済学的な視点から切り込む意欲的な著作である。確かな専門的知見に基づきながら、平易な筆致で語りつくすその叙述は、経済学に関する専門的な知識がなくとも、学際的研究の魅力を存分に味わいながら読み進めることができる。類書の乏しい中、刑事法に関心のあるすべての人に読んでもらいたい書物である。変動の激しい現代社会における刑事法のあり方を考える上で、有益な示唆が多数得られるであろう。

主要目次

第1章 プロローグ:刑罰のパラドックス

 パートⅠ 犯罪に関する経済学的諸理論の対比

第2章 犯罪の社会的費用・抑止

第3章 交換としての犯罪:応報

 パートⅡ 刑罰の制度的構造

第4章 量刑ガイドラインと司法裁量:抑止と応報のバランシング

第5章 答弁取引:交渉的司法

 パートⅢ その他の刑罰の目的

第6章 累犯者:限界抑止と贖罪

第7章 個人責任対団体責任:集団処罰

第8章 刑罰の限界:天使と悪人

 パートⅣ 結論

第9章 エピローグ:私たちは何を学んだか?

訳者紹介

 髙橋 直哉(たかはし なおや) 中央大学大学院法務研究科教授


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