大学院教育について
大学院教育は、北海道大学環境科学院の地球圏科学専攻の雪氷・寒冷圏科学コースを担当しています。
研究は、雪氷試料の化学分析をメインに雪氷圏の環境変動に関する研究を行っています。詳しくは研究内容をご覧下さい。
研究テーマ
大学院の研究テーマは、その時に進められているプロジェクトを考慮にいれながら、学生と相談して決めていきますが、今、一緒に取り組みたいと考えている内容は
冬季の季節海氷域における水循環(紋別市での現地観測(気象・水蒸気同位体比)と積雪の化学分析)
海氷上のフロストフラワーの形成に伴う化学成分分別(釧路、然別湖での現地観測、化学分析、データ解釈、室内での模擬実験)
モンゴルの氷河表面の汚れ物質の質量収支に関する研究(現地観測、化学分析、データ解析)
積雪の融解期に生じる不溶性物質の表面濃縮プロセス(札幌や道内での野外観測、データ解析、積雪変態モデル解析)
グリーンランド氷床南東部アイスコアの解析(化学分析、データ解析)
北太平洋地域の山岳アイスコアを用いた小氷期以降の環境変動(データ解析)
南極氷床沿岸アイスコアを用いた環境復元(化学分析、データ解析)
furano bonchi powder project(現地観測、データ解析、モデル解析)
研究室について
日々の研究は,低温科学研究所,環オホーツク研究センターに所属して行います.環オホーツクセンターには,環オホーツク地域を対象とした海洋物理学,化学海洋学,自然地理学,雪氷学などを専門とする教員が所属し,共同で研究に取り組んでいます.各教員が指導を担当している大学院生は,同じ居室に机を並べて研究をしますので,幅広い研究分野に触れる機会があります.
日々のセミナーは、環オホーツク観測センターの西岡准教授(生物地球科学コース担当)の研究グループと一緒に月に2回程度行っています。
フィールドワークについて
私の研究は,主にフィールドワークを中心とした研究ですが,入学前のフィールドワークの経験の有無は問題ではありません.大学院に入学してから初めてフィールドワークを経験した大学院生もいました.これまで私が担当した大学院生は,修士・博士課程在学中には、アラスカ山岳氷河掘削、カムチャツカ山岳氷河掘削、アラスカ積雪縦断観測、フィンランド積雪縦断観測、グリーンランド 氷床気象・積雪観測、ヒマラヤ氷河観測、グリーンランド氷床掘削、冬季グリーンランドなどに参加する機会がありました。
大学院の授業は、「地球雪氷学基礎論(1回担当)」「氷河氷床学特論(2回担当)」を担当しています。学部の授業は「南極学基礎論」を担当しています。
これまで指導教員を担当した大学院生の研究論文は以下の通りです。
<博士論文>
平成28年度
佐々木 央岳 (Hirotaka Sasaki)
「アラスカ・ランゲル山アイスコアから復元した北部北太平洋への陸域起源物質の沈着に関する研究」
(A study on depositions of crustal materials onto the northern North Pacific reconstructed from an ice core drilled at Mount Wrangell, Alaska)
平成26年度
對馬あかね(Akane Tsushima)
「山岳アイスコアを用いた北部北太平洋域の古環境復元に関する研究」
(A study on reconstruction of paleo-environmental changes in the northern North Pacific region from an alpine ice core)
<修士論文>
黒﨑 豊
「アイスコア中の水同位体比を用いたグリーンランド北西部の海氷変動の解明」
羽月 稜
「グリーンランド北西部カナック氷河における汚れ物質の空間分布特性」
門田 萌
「グリーンランド北西氷床(SIGMA-D)アイスコア化学解析に基づく小氷期以降の環境変動」
對馬あかね
「アラスカ・オーロラピークアイスコアの化学解析による過去274年間の環境変動復元」
佐々木 央岳
「アラスカ・ランゲル山雪氷コア中の鉄濃度から推定して北部太平洋域への鉄の沈着量」