ディジタルホログラフィ / Digital holography

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ディジタルホログラフィとは

ディジタルホログラフィ (DH) は,イメージセンサを利用してホログラムを記録し,計算機上で物体光を再構成する手法です.DH は位相を含めて物体光を再構成できるため,光伝搬計算による撮影後の焦点合わなどが可能です.また,物体光の位相解析により試料の光学厚さや表面形状を高精度に計測できるため,工業計測やライフサイエンスをはじめとして幅広い分野に応用されています.

ディジタルホログラフィの原理

DH では,ホログラムから不必要な非回折,共役成分を除去して物体を取り出します.物体を取り出す手法としては,フーリエ変換法と位相シフト法が広く用いられています.フーリエ変換法ではホログラムをフーリエ変換して周波数空間上で非回折,物体,共役成分を分離し,周波数フィルタにより物体成分を取り出します.取り出した物体成分は周波数空間の原点に移動することで参照の重畳による空間周波数シフトをキャンセルし,逆フーリエ変換することで物体を得ます.

一方,位相シフト法では参照の位相をシフトさせて記録した複数のホログラムから物体を再構成します.しばしば用いられる4ステップ法では,参照の位相を 0, π/2, π, 3π/2 として4のホログラムを記録します.参照の光路長を変化させて位相をシフトするには,ピエゾステージ,電気光学結晶,液晶などが用いられます.

圧縮センシングの応用

圧縮センシングとは,解がスパース(要素のほとんどがゼロ)であるという前提の下で,劣決定の線形方程式系(連立一次方程式)の解を推定する手法です.劣決定の線形方程式系とは,未知数に対して式の数が少なく,解が一意に定まらない(解が無数に存在する)線形方程式系のことです.このとき解がスパースであれば,L1ノルム(マンハッタン距離)を最小化することで効率的にスパース解が推定できます.音声や画像など多くの信号は適当な基底変換によりスパース表現が可能であることが知られており,圧縮センシングを DH に応用することで,2次元のホログラム情報から3次元の物体情報を再構成したり,解像度を向上することができます.

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研究テーマ

  • 粒子追跡速度計測への応用

  • バイオイメージングへの応用

  • トモグラフィの応用による3次元断層計測

  • 圧縮センシングの応用による高速化・高解像度化