研究室に興味を持つ学生の皆さんへ

 Message for Students

本ページでは, 本研究室に興味を持つ(配属前の)学生さん向けにメッセージを書いています. 教員(南)も指導経験(学生さんの取り組みの様子を含む)と共に考えを定期的に見直しながら進めていきますので, 年度ごとのメッセージも記録として残しております. 

2023年度

1. はじめに

1.1 背景

 本ページの内容は, 近畿大学 理工学部 電気電子工学科(2021年度入学以前) & 電気電通信工学科(2022年度入学以降)に所属する, 研究室配属前の学生さんに向けたものである. 研究室配属前の学生さんは, あちこちの研究室を訪問したり, 先輩などから情報(噂)を聞いて回ったり, 研究室のウェブページを調べたりしていることであろう. 本ページがその一助となると幸いである. また, 研究室 主宰者(PI: Principal Investigator) の私(南)が考えていることをまとめているため, 研究室配属前の学生さんに限らず, 本研究室に何かしら興味を持って頂いている方にも参考になればと思う. 特に, 高校生(近大附属を含む)や大学1, 2回生の方で, 「配属はまだまだ先だけれども, 研究分野や研究テーマなどに興味がある」という方は, ぜひ私までご一報いただけると嬉しく思う. カリキュラム上の”卒業研究”とは別の枠組み(自主研究)で, 研究室への受け入れを積極的に実施している.

 

参考:早期に研究に着手した学生のその後と他への波及効果, 電気学会論文誌A, Vol. 139, No. 11, pp. 469-477 (2019)

 https://doi.org/10.1541/ieejfms.139.469

 

1.2. このページを更新すること

 前職(神戸高専)において, 10年間, 研究室 PIとして研究指導や研究室運営をしてきた. しかしながら, 指導方法やルールなどが固定なものになるには至っていない. 転職(2023年4月近畿大学着任)による環境の変化, 自分の経験に基づくフィードバック, 多様化する学生さんの考え方, 研究室として獲得する予算, (講義以外の)職務内容の変化など, 様々な要因があり, 研究室PIとしての考え方を見直しなどにより, 更新することにより私自身も常に成長していかなければならないと考えている. 下記の過去のメッセージを残しておくことでその変化が分かるとともに, 変わらない方針も含まれている. そのため, 大部分がただの加筆修正に留まってしまう場合もあるであろう.

 

1.3. 研究室とは何か?

 研究室に配属される前の学生さんからすると, “研究室”というものが未知の空間に見えるであろう. 私が考える研究室とは, 「課題(問題)解決を実践する修業/修行の場」である. 剣道場や相撲部屋のような存在をイメージしてもらえれば分かりやすいであろう. 修業/修行の場である研究室では, 楽しいこともあれば辛いこともある. そして, 先輩・同期・後輩の学生さんが居て, 指導者(私)がいる. 同門(同研究室)の学生・教員と切磋琢磨して自己研鑽する場所であると考えている.

 

2. 卒業研究のテーマ

2.1 卒業研究とは?

 本研究室の詳細な卒業研究のテーマを述べる前に, 近畿大学 理工学部 電気電子工学科/電気電子通信工学科の“卒業研究”としてのテーマに関して述べる. 卒業研究の分野やテーマは, 乱暴に言ってしまうと「電気電子通信工学」であれば何でもいい. そもそも研究とは, 世の中に存在する要望・問題・課題を探し出し, 解決するための過去のアプローチを調べ(文献調査), それらのアプローチとは異なる方法や手法を使って, 課題を解決するとともに, 新たな発展的なアプローチを展開させていくことである. それぞれの指導者(研究室の先生)は, 電気電子通信工学における各分野の研究者であり, その分野に精通している. そのため, 指導者の分野(研究室の名前)に関連する研究内容であれば何でも良いのである. そして, この卒業研究という科目を通じて, 「課題解決の一連の取り組み」が卒業後, 社会に出てから使えるスキルとなる. つまり, 社会に出るための準備である. そのため, 必ずしも就職先や進学先が所属する研究室の分野と一致しなければならない, というわけではない. (もちろん, 配属先の研究分野に興味がそのまま卒業後も継続していて, 同じ分野に進むことは基礎知識や技能が継続して活用できるため, 少なからずアドバンテージは身についていることになる. )

 

2.2 電気エネルギー変換研究室における卒業研究のテーマ

 本研究室は, 電気を中心(または基本)とするエネルギー変換全般を研究対象にしている. [1: 力学(位置, 運動, 振動), 熱, 光など→電気] 電気エネルギーを生み出すためには, 電気以外のエネルギーを変換する(発電する)必要がある. [2:電気→電気] そして, 生み出された電気エネルギーは, 使用するところ(場所/アプリケーション)まで, 運んだり, 使いやすい形に変換したりする必要がある. [3:電気→力学, 熱, 信号など] 最後に電気エネルギーを使って, モノを動かしたり, 温めたり, 信号を送ったりする. これらのエネルギー変換を研究室の主軸にしており, さらにコアな研究対象へと掘り進めている. 詳しくは 研究内容研究成果 を参照されたい.

 

2.3 研究テーマ割り振り

 最終的にはPIの私(南)が各学生にマッチした研究テーマを割り振るが, そのテーマには優先順位を設定した上での割り振る. 研究のフェーズ(立ち上げ期、成熟期、発展期終息期など)・研究費・共同研究・継続研究などの状況により, 優先順位をA, B, Cとまとめている. (詳しいリストはここには記載しないが, 興味のある方は聞きにきていただければお話しする). この中で, 全員に優先順位Aのテーマを主テーマとして割り振る. その上で, 希望や適正に合わせて, 優先順位B&Cのテーマを副テーマとして割り振る. 後述するように, 4回生には最低年一回の学会発表を設定している. 特に研究のフェーズによっては, 継続研究であり優先順位が高く, すぐに学会発表ができるテーマがある. 概ねそれが優先順位Aのテーマと言って過言ではない. 一方で, チャレンジングな研究・立ち上げ段階の研究・学生持ち込みの研究などは, いつ芽が出るか分からないものがほとんどである. それらの優先順位B&Cテーマは4回生の頃に副テーマとして温めておいて, 修士課程進学後に主テーマとして取り組んでもらったり, 後輩(次年度の4回生)の継続研究テーマとなる.

 

3. 研究に必要な知識や技能を学ぶこと

3.1 関連科目と学び方

 どの研究室にもそれぞれの専門分野がある. そのため, その専門分野に関連した科目をしっかりと履修しておくことは重要である. 本研究室の場合, エネルギー変換を担う電気回路がメインなので, 回路系の科目, 数値計算に必要な数値解析, 電気回路は制御しないといけないので制御工学やプログラミング系科目, 回路素子の特徴を理解しないといけないので物性系の科目, 実験には計測が必要なので電気計測...... そう考えると, 「研究室配属前にどれだけ勉強しておかないといけないのだろうか?」と, かなり敷居が高く感じられるだろう. もちろん, 関連科目をしっかり理解しておくに越したことはないが, 必要十分条件ではない. 私が本研究室に配属される学生に求めることは, これまでの勉強だけではなく, これからの勉強である. 研究室に配属されてから, 必要な知識や技能は練習して習得/修得してもらいたい. そのため, 他の研究室に比べて課題が多いように見えたり, 厳しいように見えたりするが, あまり萎縮する必要はない. 気軽に研究室の話を聞きに来てほしい.

 

 知識や技能を学ぶ方法もいろいろある. すぐに思い付く方法は2つ:勝手に学びなさいという方法, 1から10まで手取り足取り教えるという方法. ここではどちらの方法が優れているという議論はしない. 私はそのちょうど良い所を実現できれば良いと考えている. 勝手に学びなさいという方法は, ほったらかしている訳ではなく, 実践を通して自ら考え学んでいくということである. その方法により学んだ内容は, 深く自分の糧となり, さらに発展していくことが期待できる.しかしながら, この方法では, 時間や能力の制約により到達できない場合がある. 一方, 手取り足取り教えるという方法では, 短時間で正確に学ぶことができる. しかしながら, ただただ与えられたことを知っただけ, 実施しただけでは, その知識や技能がそれ以上伸びることは難しい. さらに, 私や先輩の学生が手取り足取り教えるには時間がかかってしまうという課題もある. これらの一長一短を理解した上で, 本研究室ではちょうど良い塩梅で必要な知識や技能を学んでもらいたい.

 

 特に, 後半の手取り足取り教える手法の良いところは, 誰でも同じ水準で同じ理解/知識や技能が身につけられることである. そのため, 基礎能力/技能の修得に向いている. 本研究室では, 次の2つを基礎能力/技能の修得として実践してもらう.

 

3.2. オンデマンド学習による基礎知識の修得

 学生さん達は, 昨今の教育手法に関する状況の変化を肌で感じているであろうか?従来, 対面による知識や技能の教育(講義などを含む)や指導が主流であったが, 情報量が指数関数的に増大している昨今において, 学ぶ機会や手法が多様化している. このような背景を後押しするように, 文部科学省は教育 DX の推進を強く提言してきた. 加えて, 新型コロナウイルス感染症拡大に伴い, 「フィジカル」の空間から「サイバー」の空間への移行が劇的に進展し, 新しい生活様式(ニューノーマル)に対応した取り組みが各業界において必要不可欠となっている. この未曾有の危機の先(ポスト・コロナ)にある未来社会においても, デジタル技術を活用した教育手法の重要性は非常に高くなると想定される.

デジタル技術の有効活用として, オンデマンド学習(動画を聴講して学習すること)が既に学生さん達には浸透している. 実際, 近畿大学の一部講義ではオンデマンド講義の実施が進められている. 本研究室の対象分野にマッチしたオンデマンド教材が一般社団法人 日本パワーエレクトロニクス協会 というところで多く展開されている. 学生さんは1年間無料で視聴可能なので, 本研究室に配属されたら, レベル0 (5時間)とレベル1 (10時間)の履修を指示している. 参考ページ https://pwel.jp/elearning

 

3.3. 守破離(茶道用語)
 「守破離」とは, 茶道の用語であり, 「修業に際して、まずは師匠から教わった型を徹底的に「守る」ところから修業が始まる。師匠の教えに従って修業・鍛錬を積みその型を身につけた者は、師匠の型はもちろん他流派の型なども含めそれらと自分とを照らし合わせて研究することにより、自分に合ったより良いと思われる型を模索し試すことで既存の型を「破る」ことができるようになる。さらに鍛錬・修業を重ね、かつて教わった師匠の型と自分自身で見出した型の双方に精通しその上に立脚した個人は、自分自身とその技についてよく理解しているため既存の型に囚われることなく、言わば型から「離れ」て自在となることができる。」という意味である. それを研究室における活動に当てはめてみると,

 守 まずはデスクワーク、数値計算、実験の基本を学ぶ
 破 自分で他からの情報(経験、知識、方法など)を学び、従来(本研究室基礎)を打ち破る
 離 本研究室と自分が確立した方法を双方ともに熟知し、自分の方法を確立して離れていく

 
 3.1と3.2で前述したように, 本研究室で研究活動をする上で最低限のスキルは学んでもらうが, 本研究室で提示する全てのスキルや経験をこなす必要はない. 得意なところ(分野)に電気エネルギー変換が絡むテーマをどんどん伸ばして欲しい. そして, 「守破離」で述べたように, 自分から打ち”破”り, 自身の方法を確立してほしい.

 

4. スケジュールと研究時間

4.1 スケジュール

 3回生10月頃に配属され, 希望や適正などについては普段のディスカッションの時に相談を重ねる. その中で概ね固まるので, 先輩から実験のイロハを2,3月に教えてもらう(引き継ぐ). 1月下旬に卒業論文(略して, 卒論)の提出と最終発表が控えているため, 4回生11月頃から卒業論文の構成について定期ディスカッション時に毎回ブラッシュアップする. エフォートで言うと, 11月は(新たな)実験50%, 卒論執筆50%である. 12月になると, 卒論の形ができてくるため, 撮り損ねていたパラメータでの実験や条件を揃えた再実験などの(すでに予想がつく)実験50%, 卒論執筆50%の割合である. そのため, 12月には発展的な新しい実験は残念ながらできない. クリスマス頃には, 卒論が概ね仕上がり, 研究室内の年末研究会にて, その概要を発表してもらう. その研究会での議論を経て, 年内には卒論第一稿を直近の指導者(先輩 or 私)に提出する. 1月に入ってからは, 卒論の文章を修正したり, 図をブラッシュアップしたり, 最終発表の準備にエフォート100%を注ぎ込む. そうして, 自分が受けてきたように2,3月に後輩に実験のイロハを教えて晴れて卒業となる. 修士課程に進学する方はその時期に修士課程での研究テーマを議論することになる.

 

4.2 研究時間

 近畿大学理工学部電気電子工学科および電気電子通信工学科における卒業研究のシラバスには, 年間360時間が最低の出席であると記載がある. 360時間すれば良いという意味ではなく, あくまで必要条件(最低条件)が360時間である. 年間で言うと長く辛いように感じてしまうが, この最低時間の計算は, 4コマ(6時間)/週 x 30週間 = 180時間が指導教員に直接的に指導してもらう時間であり, その倍の時間に各自の研究を進めるので, 最低が360時間というわけである. この時間には, 定期(週次)ディスカッション(1時間強)や研究室内研究会が含まれているため, 長い時間ではない.

 一方で, 本研究室の基準(他研究室でも似た基準があるが)としては, 1日4コマの研究時間(週30時間平均)をラインとしている. 4回生ともなれば, 座学科目の履修はほぼなく, 1週間の中で毎日を自由に設計することができる. この中で, 1日6時間(昼休憩を入れたら7時間)研究室にいることは, 決して難しいことではない. 2.1で述べたように, 社会に出てからの準備が卒業研究を実施することである. 社会に出たら, (一例を挙げると)1日7 時間45分(間に休憩1時間入れて, 8時間45分)勤務は一般的である. 講義がないから朝起きない(起きれない)という学生さんには特に良い訓練となるだろう.

 

5. 研究室アクティビティ

5.1 年一回の学会発表

 研究のフェーズ(立ち上げ期、成熟期、発展期終息期など)により, 一年以内に成果が出る出ないは変わってくる. そのため, 前述したように携わる研究テーマは, 成熟期(先輩から引き継いで成果がすぐ出そうなもの: 優先順位A)または発展期(研究成果を実際の応用に適用するもの: 優先順位A)と立ち上げ期(数年後に成果が出るもの: 優先順位B&C)を並行して取り組んでもらう. 自身の出した研究成果を学外の公で, 発表するという経験は, ここに文字で説明する以上に学生の成長に繋がる. 普段の研究室内だけの狭い世界ではなく, 国内外の研究者や年齢の近い(他大学や高専の)学生さんの研究活動に刺激を受けるとともに, 企業の研究者や技術者との交流による将来ビジョンの明確化の一助となる.

 

5.2 研究発表の場(一例)

 まず, 本研究室が主軸としている電気エネルギー変換に関しては, 電気学会を軸に活動をしている. 電気学会の学会発表の中でも特に大きな発表の機会が, 部門大会(8月下旬)と全国大会(3月中旬)である. 2,3月に先輩から引き継ぎ, 程なく簡易な成果が出る研究テーマに関しては, 夏の部門大会が学会発表のデビュー戦となるであろう. もちろん, 年に2階だけではなく, 複数回に及ぶ電気学会 研究会や電気学会以外の学会(電子情報通信学会, パワーエレクトロニクス学会, システム制御情報学会, 電気設備学会, 産業応用工学会など)にそれぞれ学会発表のチャンスはある. さらに世界に目を向ければ, IEEE関係の学会も数多く存在する. 研究成果の中身や学会の特性に合わせて, PIである私(南)が発表する場所を考える. もちろん, 研究に携わっている学生さんからの提案は歓迎するが, あくまで最終決定はPIの責任であることを意識してほしい.

 

5.3 研究室見学&企業見学

 研究室での活動はもちろん重要であるが, どうしても殻に篭ってしまうと, 世間を知らない学生さんが出てきてしまう. 本研究室では, 他大学や企業の研究施設の見学やディスカッションに数多く訪問している. 見学を通じて, 本研究室や自身の研究の立ち位置を理解するとともに, 進路(大学院や就職)の参考にしてほしい. 近畿大学教員としては, 「近畿大学大学院以外の大学院を勧めるとは何事か!?」とお叱りを受けているが, それでも自身の成長ができる場がココ(近畿大学大学院)でなければ, 他大学の大学院も進路の一つとして考えてほしい. 特に博士課程(博士後期課程)への進学をちょっとでも考えているのであれば尚更, 他研究室や他大学に行かざるを得ない(私が博士学生の指導資格がない). これらの進路についてのあれこれは, 直接相談してほしい.

 

6. おわりに

 研究室での研究指導を中心にPIである私(南)が想いのままに書き連ねた内容となった. 指導教員として, “まだ10年”しか経験していない身としては, 想うところは数多くあり, 書ききれぬことやまとまらない駄文が続いてしまったかもしれないと反省が絶えない. しかし, 自分の想いの一端をこのページに記載して, 学生さんも私自身もこれを振り返り, 修正して研究室運営をしていく所存である. 近畿大学着任1年目に配属される3回生にとって, 参考となれば幸いである.


202394日 南 政孝 

前職(神戸高専)時代のメッセージ (参考用)

2020年度

はじめに

本ページの内容は主として, 本校電気工学科の学生で, 本研究室への配属を検討している, または迷っている学生に向けたメッセージです. そのため, 4年生のエンジニアリングデザイン(以下では, プレ卒と略する. )と5年生の卒業研究(以下では, 卒研と略する. )の内容を中心に私の考えを述べていきます. さらに2019年度には, 自主研究生として1名の学生を受け入れました. 学校のカリキュラム通りではなく, 本研究室の研究に興味がある学生には, 研究室への受け入れも実施していますので, 低学年(1-3年生)にもこのメッセージが届くことを期待しています. 


このページを更新すること

私が本校に着任して丸7年が経ち, 4月から8年目になります. その間に2018年度の一年間は海外研修(サバティカル)に行き, 遠隔で学生の研究指導にあたるとともに, 研究者としての自分自身を磨いてきました. そして帰国後バタバタとしているうちに1年が経過しました. 私が何を考え, 振り返り, 次はどう研究指導していこうかと考えながら, 特に, これまでの経験が5年+1年(サバティカル)+1年という区切りになるので, 過去5年を振り返り, 海外で経験したことを活かし, そして未来に向けて, このページを更新しています. さらに, 仕事(役職:総合情報 副センター長, 担任, 教務副主事, etc), 研究(室)環境, 獲得してきた予算などの状況も変化していきます. そのため, 自分自身やその周辺を見直し, 常に成長し続けられるようにと考えています. 加筆修正がほとんどかもしれませんが, このページを更新することをそのきっかけにしています. 

研究に必要な知識や技能を学ぶこと

 どの研究室にもそれぞれの専門分野があります. そのため, その専門分野に関連した科目をしっかりと履修しておくことは重要だと思います. 本研究室でしたら, 回路がメインなので回路系の科目, 数値計算に必要な数値解析, 回路は制御しないといけないので制御工学やプログラミング系科目, 回路素子の特徴を理解しないといけないので物性系の科目, 実験には計測が必要なので電気計測...... そう考えると, 「研究室配属に向けてどれだけ勉強しておかないといけないのだろうか?」と,かなり敷居が高く感じられるでしょう. もちろん, 関連科目をしっかり理解しておくに越したことはありませんが, 必要十分条件ではありません. 本研究室に配属される学生に求めることは, これまでの勉強だけではなく, これからの勉強です. 配属されてから必要な知識や技能は練習して習得(修得)してもらいたいと考えています. そのため, 他の研究室に比べて課題が多いように見えたり, 厳しいように見えたりしますが, あまり萎縮する必要はありません. 気軽に研究室の話を聞きに来て下さい.


 知識や技能を学ぶ方法もいろいろあります. すぐに思い付く方法は2つ:勝手に学びなさいという方法, 1から10まで手取り足取り教えるという方法だと思います. どちらの方法が優れているという議論はしません. 私はそのちょうど良い所を実現できれば良いと考えています. 勝手に学びなさいという方法は, ほったらかしている訳ではなく, 実践を通して自ら考え学んでいくということです. その方法により学んだ内容は, 深く自分の糧となり, さらに発展していくことが期待できます.しかし, この方法では, 時間や能力の制約により到達できない場合があります. 一方, 手取り足取り教えるという方法では, 短時間で正確に学ぶことができます. しかし, ただただ与えられたことを知っただけ, 実施しただけでは, その知識や技能がそれ以上伸びることは難しいのではないでしょうか. これらの一長一短を理解した上で, 本研究室ではちょうど良い塩梅で必要な知識や技能を学んでもらいたいと考えています.

自主研究(学年問わずご連絡ください)

 課外活動と同じように, 本研究室の活動に興味のある方は, ぜひご連絡ください. 冒頭に述べたように, 2019年度は1名(3年生)を受け入れましたし, 2020年度もさらに1名(新3年生)を受け入れ予定です. 活動としては, 後述する5年生の卒研とほとんど同じですが, 成果をコンテストなどに出すことを目標にしています.

プレ卒(4年生後期)

 4年生後期のプレ卒では, 「卒研に向けての準備」と「ものづくり」に取り組みます. 本研究室では, 「卒研に向けた準備」として, Linux演習と輪講(勉強会)を考えています.  

Linux演習

 本研究室のほとんどの計算機(パソコン)はLinuxマシーンです. 1年生の情報基礎, 2-3年生の情報処理で, Linuxを扱ってきたと思います. しかしながら, それだけで完全に使いこなせることはないでしょう. 上述した通りですが, 配属されてから勉強して習得(修得)して下さい. まずは文章を書くことから, 次にグラフ(図)を描くこと, 次に…という順に, 一つ一つ慣れて下さい. 全てを一人でこなすことは難しいと思います. 5年生の先輩を教育係として一人ずつに付けますので, その先輩に教えてもらって下さい. もちろん, ただこなすだけでは身に付かないので, 主体性を持って実践して下さい. このLinux演習に関して, センター広報[pdf]に詳細を掲載しましたので, 興味があれば参考までにどうぞ.  

輪講(勉強会)

 全員に関連する分野の輪講(勉強会)を実施します. 輪講では, 毎回交代で4年生が講師を務めます. 他の4年生と5年生と南はその講義を受けて, 全員で質問や議論を交わして進めます.  

ものづくり

 プレ卒のメインがこの「ものづくり」です. この「ものづくり」の目標は, 次年度のオープンキャンパスの展示(+デモンストレーション)です. 配属された4年生が一丸となって, 電気に関連するものを設計, 製作, 評価します. どのようなものを製作しても構いませんが, 予算と能力と計画をしっかりと考えて下さい. 必要に応じて, 南や5年生がサポートします.

 これまでのエンジニアリングデザイン演習

卒研(5年生通年)

 5年生になると本格的に卒研がスタートします. 4年生から5年生にかけて本研究室に配属が決まっていれば2月に, 5年生から新たに本研究室に配属が決まったら3月に, 卒研テーマを決めます. 卒業する5年生に担当していた卒研内容を話してもらい, それを聞いてもらってから, 個別ディスカッションを通して卒研テーマを決めます. また, 5年生から研究室を移動してきた学生は, 4年生後期に本研究室で実施している「卒研に向けての準備」を並行して進めてもらいます.  

卒研の目的

 卒研の目的は何か?

 シラバスによると, 「特定のテーマを設定し, 授業等で修得した知識と技術を総合して自主的かつ計画的に指導教官のもとで研究を行う. 研究を通じて, 問題への接近の方法を理解し, 文献調査や実験, 理論的な考察などの問題解決の手順を修得して, 総合力およびデザイン能力を高める. また, 研究成果を口頭で発表し論文にまとめることでコミュニケーション能力を身につける. 」ということが卒研の方針です.

 要約すると, 1. 研究する(できるようになる), 2. 発表する(できるようになる), ということです.

 この目的を達成するためには, 1「文献調査, 実験, 数値計算, 理論」, 2「文章執筆およびプレゼンテーション作成, 口頭発表, 質疑応答」が必要です. 研究室配属されてから, それぞれの能力を習得(修得)してもらいます.  

研究テーマ

 電力変換制御工学に関連した内容から研究テーマを創出します. 配属された卒研生の希望と南の考えの中で決めていく予定です.  テーマの詳細は, ここでは割愛します. 詳しく知りたい方は直接聞きに来て下さい.

 これまでの卒業論文のタイトル  

輪講(勉強会)

 4年生の輪講に参加して, 聞き役(指導役)をして下さい.  

個別定期ディスカッション

 一人一人に週一回1時間を目安に, 定期ディスカッションを設定しています. 定期ディスカッションでは, 個々人の取り組んでいる研究に関して様々なこと(文献報告, 実験状況, そのほかにも備品や消耗品の購入, 学会や論文発表のことなど)を議論します. もちろん, そのほかに必要に応じて, 私の予定が空いていたら, 不定期にディスカッションも実施しています. 負担に感じるかもしれませんが, まとめていっぺんに進めようとするより, 私がナビゲーションしながら毎週毎週着実に進めていく方が, 確実かつ安心に卒研を実施しやすいと思います.  

研究会(三研究室合同ゼミ)

 南研究室では, 同分野の道平研究室と茂木研究室と連携しています. そして, 大学の大講座制と同様に, 週一回の研究会(三研究室合同ゼミ)を実施しています. 普段は私と個別ディスカッションを通して卒研を進めてもらいますが, その進捗や成果, 困っていることなど, 研究に関する様々なことを研究会では発表してもらいます. 発表を通して, 発表の仕方の練習になったり, 分からない聴衆(三研究室のメンバー)への説明の仕方の練習になったりと, いろいろ勉強になります.

卒研に充てる時間

 研究室(卒研室, 実験室など)で実働にあたる時間について述べます.  本校の制度上, 時間割に「卒業研究」というコマがあります. この時間は最低限, 研究室に居て下さい. もちろん他の科目と同様に出席も取ります. この時間は, 学生も教員も確実に時間が確保されています. そのため, この時間を利用して, 各自の実験などに加えて, 輪講や研究会(三研究室合同ゼミ), 個別(不定期)ディスカッションなどを実施します. (せっかく全員の時間が確保されているので, 個別定期ディスカッションは別日時に設定しています. )  しかし, 卒研を進める上で, この時間割の時間だけでは, 到底足りません. この時間の他にも, 放課後や空き時間を利用して卒研を進めて下さい. 卒研の時間以外は一切研究室に来たくないという方は, 本研究室は合わないと思います. 5年生は時間割の空き時間が多くあります. その時間を自分で考え, 有効に使って下さい. もちろん, 来たいときに来て, 休みたいときに休んで下さい. ただし, 全く連絡がなく居ないことが多いと, 心配しますので, あらかじめ長期で休む場合はその予定をお知らせ下さい. もちろん, 卒研室で研究以外のこと(例えば, 勉強, 談笑, パーティなど)をしていても(他の方の迷惑にならない範囲であれば)構いません.


 自分の時間を自分で管理することも研究を実施する上で必要な能力になります. 遊ぶときには遊ぶことに集中する, 仕事(勉強や研究)をするときには, 仕事に集中する. 生活にメリハリをつけて下さい.

おわりに

 本ページに書いたことは, あくまで一教員・一研究者としての意見に過ぎず, 神戸高専や所属学科の意見ではありません. また, 教員としても研究者としてもまだまだ未熟ですので, 今後の経験を通じて, 卒研についての考え方を随時, 改善していきます.


2020年3月17日 南 政孝 



2016年度

はじめに

 本ページの内容は, 神戸高専 電気工学科の学生で, 本研究室への配属を検討している, または迷っている学生に向けたメッセージです. そのため, 4年生のエンジニアリングデザイン(以下では, プレ卒と略する. )と5年生の卒業研究(以下では, 卒研と略する. )の内容を中心に私の考えを述べていきます.

毎年更新すること

 私が本校に着任して丸3年が経ち, 4月から4年目になります. 毎年, 年度末の3月に1年を振り返って, このページを書いています. このページの更新も4回目になります. 1年間の研究教育を通して, 「上手くいった」と思うことや「これからはこうしよう」と思うことが多々あります. さらに, 仕事(役職, 例えば担任)や研究(室)環境, 予算などの状況も毎年変化していきます. そのため, 自分自身やその周辺を見直し, 常に成長し続けられるようにと考えています. 毎年このページを更新することをそのきっかけにしています. (実際は加筆修正に近いです)

研究に必要な知識や技能を学ぶこと

 どの研究室にもそれぞれの専門分野があります. そのため, その専門分野に関連した科目をしっかりと履修しておくことは重要だと思います. そう考えると, 「研究室配属に向けてどれだけ勉強しておかないといけないのだろうか? 」と,かなり敷居が高く感じられるでしょう. もちろん, 関連科目をしっかり理解しておくに越したことはありませんが, 必要十分条件ではありません. 私が本研究室に配属される学生に求めることは, これまでの勉強(だけ)ではなく, これからの勉強です. 配属されてから必要な知識や技能は練習して習得(修得)してもらいたいと考えています. そのため, 他の研究室に比べて課題が多いように見えたり, 厳しいように見えたりしますが, あまり萎縮する必要はありません. 気軽に研究室の話を聞きに来て下さい.

 知識や技能を学ぶ方法もいろいろあります. すぐに思い付く方法は2つ:勝手に学びなさいという方法, 1から10まで手取り足取り教えるという方法だと思います. どちらの方法が優れているという議論はしません. 私はそのちょうど良い所を実現できれば良いと考えています. 勝手に学びなさいという方法は, ほったらかしている訳ではなく, 実践を通して自ら考え学んでいくということです. その方法により学んだ内容は, 深く自分の糧となり, さらに発展していくことが期待できます.しかし, この方法では, 時間や能力の制約により到達できない場合があります. 一方, 手取り足取り教えるという方法では, 短時間で正確に学ぶことができます. しかし, ただただ与えられたことを知っただけ, 実施しただけでは, その知識や技能がそれ以上伸びることは難しいのではないでしょうか. これらの一長一短を理解した上で, 研究室では必要な知識や技能を学んでもらいたいと考えています.

配属の時期と移動

 電気工学科では, 4年生後期から研究室に配属されます. 配属の方法(優先順位)は, 担任の先生の考えで決まりますが, 大抵は成績順がベースになっています. 希望の研究室への配属を望むのであれば, しっかりと勉強しておきましょう. また, 希望が通らなかったとしても, それも何かの縁です. 配属された研究室でしっかりプレ卒, 卒研に取り組んで下さい.

 4年生後期の配属は, プレ卒のものであり, 卒研に向けての仮配属です. とはいうものの, ほとんどの学生さんが5年生の配属も同じ研究室を希望することが多いです. 4年生後期から仮配属されて, 半年間, 研究室でプレ卒に取り組みます. その中で, いろいろな想いがあって, 研究室を移動したい場合も出てくると思います. その場合は, 担任の先生や研究室の先生に相談の上, 5年生からの配属で研究室を移動することが可能です. また, クラスの人数変更により配属が大きく変わる年もあります. もちろん, 配属の方法(優先順位)は, 成績順なので, 必ずしも希望通りになるとは限りません. 何度も言いますが, 希望が合おうが合うまいが, 配属された研究室でしっかり取り組んで下さい.

プレ卒(4年生後期)

 4年生後期のプレ卒では, 「卒研に向けての準備」と「ものづくり」に取り組みます. 本研究室では, 「卒研に向けた準備」として, Linux演習と輪講(勉強会)を考えています. (研究室によっては「卒研に向けての準備」をされない所もあります. それぞれの先生のお考えですので, 個別に聞いてみて下さい. )  

Linux演習

 本研究室のほとんどの計算機(パソコン)はLinuxマシーンです. 1年生の情報基礎や2, 3年生の情報処理でLinuxを扱ってきたと思います. しかしながら, それだけで完全に使いこなせることはないでしょう. 上述した通りですが, 配属されてから勉強して習得(修得)して下さい. まずは文章を書くことから, 次にグラフ(図)を描くこと, 次に…という順に, 一つ一つ慣れて下さい. 全てを一人でこなすことは難しいと思います. 5年生の先輩を教育係として一人ずつに付けますので, その先輩に教えてもらって下さい. もちろん, ただこなすだけでは身に付かないので, 主体性を持って実践して下さい.

 このLinux演習に関して, センター広報[pdf]に詳細を掲載しましたので, 興味があれば参考までにどうぞ.  

輪講(勉強会)

 全員に関連する分野の輪講(勉強会)を実施します. 輪講では, 毎回交代で4年生が講師を務めます. 他の4年生と5年生と南はその講義を受けて, 全員で質問や議論を交わして進めます. この輪講は, 特別な事情がない限り1年を通して進めます.(新年度の前期までという意味です. )


 これまでの輪講(勉強会)  

ものづくり

 プレ卒のメインがこの「ものづくり」です. この「ものづくり」の目標は, 次年度のオープンキャンパスの展示(+デモンストレーション)です. 配属された4年生が一丸となって, 電気に関連するものを設計, 製作, 評価します. どのようなものを製作しても構いませんが, 予算と能力と計画をしっかりと考えて下さい. 必要に応じて, 教員(私)や5年生がサポートします.

 これまでのエンジニアリングデザイン演習

卒研(5年生通年)

 5年生になると本格的に卒研がスタートします. 4年生から5年生にかけて本研究室に配属が決まっていれば, 2月に, 5年生から新たに本研究室に配属が決まったら3月に, 卒研テーマを決めます. まず, 卒業する5年生に担当していた卒研内容を発表してもらい, 最後に私が本研究室の卒研テーマを包括的にまとめます. それを聞いてもらってから, 個別ディスカッションを通して卒研テーマを決めます. また, 5年生から研究室を移動してきた学生は, 4年生後期に本研究室で実施している「卒研に向けての準備」を並行して進めてもらいます.  

卒研の目的

 卒研の目的は何か?

 シラバスによると, 「特定のテーマを設定し, 授業等で修得した知識と技術を総合して自主的かつ計画的に指導教官のもとで研究を行う. 研究を通じて, 問題への接近の方法を理解し, 文献調査や実験, 理論的な考察などの問題解決の手順を修得して, 総合力およびデザイン能力を高める. また, 研究成果を口頭で発表し論文にまとめることでコミュニケーション能力を身につける. 」ということが卒研の方針です.

 要約すると, 1. 研究する(できるようになる), 2. 発表する(できるようになる), ということです.

 この目的を達成するためには, 1「文献調査, 実験, 数値計算, 理論」, 2「文章執筆およびプレゼンテーション作成, 口頭発表, 質疑応答」が必要です. 研究室配属されてから, それぞれの能力を習得(修得)してもらいます.  

研究テーマ

 電力変換制御工学に関連した内容から研究テーマを創出します. 配属された卒研生の希望と南の考えの中で決めていく予定です.

 これまでは, 進捗や大小に関わらず, 私が考え得るすべての研究テーマを説明していました. しかし, 配属されてすぐの状態で「さあ選べ」と言ったところで, それぞれのテーマの理解もできていない状態では選べません. さらに, 選択肢が多くなると選べなくなるとして知られている「決定回避の法則」があるように, なかなか研究テーマを選択することは難しいことでしょう. そこで, 2016年度の卒研テーマ決めのときには, 「応用」「技術」「回路」に分類し, それぞれがどのような関係で成り立っているかを大まかに絞って話をしました. その中でどういうことに興味を持ったのかを話してもらい, 個別に決めていきました.

上記テーマの詳細は, ここでは割愛します. 詳しく知りたい方は直接聞きに来て下さい.    これまでの卒業論文のタイトル  

輪講(勉強会)

 4年生後期のプレ卒のところでも述べたように, 5年生前期の間は輪講を続けます. 後期からは, 4年生の輪講に参加して, 聞き役(指導役)をして下さい.

 これまでの輪講(勉強会)  

研究会(研究進捗報告会)

 普段は, 私と個別ディスカッションを通して卒研を進めてもらいます. その中で, 同じ研究室のメンバーにも, 自分が今, どのような研究を進めているのかを発表してもらいます. 発表を通して, 発表の仕方の練習になったり, 分からない聴衆(研究室のメンバー)への説明の仕方の練習になったりと, いろいろ勉強になります.

 さらに, 神戸高専 電気工学科では, 本研究室の他にも電力変換制御工学の研究室(道平研究室と茂木研究室)があります. これらの3研究室で, 合同研究会を実施しています. この研究会の意図も研究室内の研究会と同じように考えています.

卒研に充てる時間

 卒研に充てる時間は, 頭の中で考えている時間を含めると, 四六時中となってしまうので, ここでは, 研究室(卒研室, 実験室など)で実働にあたる時間について述べます.

 神戸高専の制度上, 時間割に「卒業研究」というコマがあります. この時間は最低限, 研究室に居て下さい. もちろん他の科目と同様に出席も取ります. この時間は, 学生も教員も確実に時間が確保されています. そのため, この時間を利用して, 各自の実験などに加えて, 輪講や研究会(研究進捗報告会), 個別ディスカッションなどを実施します.

 しかし, 卒研を進める上で, この時間割の時間だけでは, 到底足りません. この時間の他にも, 放課後や空き時間を利用して卒研を進めて下さい. 5年生は時間割の空き時間が多くあります. その時間を自分で考え, 有効に使って下さい. もちろん,来たいときに来て, 休みたいときに休んで下さい. ただし, 全く連絡がなく居ないことが多いと, 心配しますので, あらかじめ長期で休む場合はその予定をお知らせ下さい.

 自分の時間を自分で管理することも研究を実施する上で必要な能力になります. 遊ぶときには遊ぶことに集中する, 仕事(勉強や研究)をするときには, 仕事に集中する. 生活にメリハリをつけて下さい.

おわりに

 本ページに書いたことは, あくまで一教員・一研究者としての意見に過ぎず, 神戸高専, 学科の意見ではありません. また, 教員としても研究者としてもまだまだ未熟ですので, 今後の経験を通じて, 卒研についての考え方を随時, 改善していきます.


2016年3月31日 南 政孝

2015年度

はじめに

 本ページの内容は, 神戸高専 電気工学科4年生以下の学生で, 本研究室への配属を検討している学生や研究室配属を迷っている学生に向けたメッセージです. そのため, 4年生のエンジニアリングデザイン(以下では, プレ卒と略する. )と5年生の卒業研究(以下では, 卒研と略する. )の内容について説明しています. 専攻科から本研究室への配属を検討している学生は個別に対応しますので, ご一報下さい.

研究に必要な知識や技能

 どの研究室にもそれぞれの専門分野があります. そのため, その専門分野に関連した科目をしっかりと履修しておくことは重要だと思います. そう考えると, 「研究室配属に向けてどれだけ勉強しておかないといけないのだろうか? 」と,かなり敷居が高く感じられるでしょう. もちろん, 関連科目をしっかり理解しておくに越したことはありませんが, 必要条件ではありません. 私が本研究室に配属される学生に求めることは, これまでの勉強(だけ)ではなく, これからの勉強です. 配属されてから必要な知識や技能は練習して習得(修得)してもらいたいと考えています. そのため, 他の研究室に比べて課題が多いように見えたり, 厳しいように見えたりしますが, あまり萎縮する必要はありません. 気軽に研究室の話を聞きに来て下さい.

配属の時期と移動

 電気工学科では, 4年生後期から研究室に配属されます. 配属の方法(優先順位)は, 担任の先生の考えで決まりますが, 大抵は成績順がベースになっています. 希望の研究室への配属を望むのであれば, しっかりと勉強しておきましょう. また, 希望が通らなかったとしても, それも何かの縁です. 配属された研究室でしっかりプレ卒, 卒研に取り組んで下さい.

 4年生後期の配属は, プレ卒のものであり, 卒研に向けての仮配属です. とはいうものの, ほとんどの学生さんが5年生の配属も同じ研究室を希望することが多いです. 4年生後期から仮配属されて, 半年間, 研究室でプレ卒に取り組みます. その中で, いろいろな想いがあって, 研究室を移動したい場合も出てくると思います. その場合は, 担任の先生や研究室の先生に相談の上, 5年生からの配属で研究室を移動することが可能です. もちろん, 配属の方法(優先順位)は, 成績順なので, 必ずしも希望通りになるとは限りません. 何度も言いますが, 希望が合おうが合うまいが, 配属された研究室でしっかり取り組んで下さい.

プレ卒(4年生後期)

 4年生後期のプレ卒では, 「卒研に向けての準備」と「ものづくり」に取り組みます. 本研究室では, 「卒研に向けた準備」として, Linux演習と輪講(勉強会)を考えています. (研究室によっては「卒研に向けての準備」をされない所もあります. それぞれの先生のお考えですので, 個別に聞いてみて下さい. )  

Linux演習

 本研究室のほとんどの計算機(パソコン)はLinuxマシーンです. 1年生の情報基礎や2, 3年生の情報処理でLinuxを扱ってきたと思います. しかしながら, それだけで完全に使いこなせることはないでしょう. 上述した通りですが, 配属されてから勉強して習得(修得)して下さい. まずは文章を書くことから, 次にグラフ(図)を描くこと, 次に…という順に, 一つ一つ慣れて下さい. 全てを一人でこなすことは難しいと思います. 5年生の先輩を教育係として一人ずつに付けますので, その先輩に教えてもらって下さい.  

輪講(勉強会)

 全員に関連する分野の輪講(勉強会)を実施します. 輪講では, 毎回交代で4年生が講師を務めます. 他の4年生と5年生と南はその講義を受けて, 全員で質問や議論を交わして進めます. この輪講は, 特別な事情がない限り1年を通して進めます.(新年度の前期までという意味です. )

 これまでの輪講(勉強会)  

ものづくり

 プレ卒のメインがこの「ものづくり」です. この「ものづくり」の目標は, 次年度のオープンキャンパスの展示(+デモンストレーション)です. 配属された4年生が一丸となって, 電気に関連するものを設計, 製作, 評価します. どのようなものを製作しても構いませんが, 予算と能力と計画をしっかりと考えて下さい. 必要に応じて, 教員(私)や5年生がサポートします.

 これまでのエンジニアリングデザイン演習

卒研(5年生通年)

 5年生になると本格的に卒研がスタートします. 3,4月の段階で個別ディスカッションを通してテーマを決めます. また, 5年生から研究室を移動してきた学生は, 4年生後期に本研究室で実施している「卒研に向けての準備」を並行して進めてもらいます.  

卒研の目的

 卒研の目的は何か?

 シラバスによると, 「特定のテーマを設定し, 授業等で修得した知識と技術を総合して自主的かつ計画的に指導教官のもとで研究を行う. 研究を通じて, 問題への接近の方法を理解し, 文献調査や実験, 理論的な考察などの問題解決の手順を修得して, 総合力およびデザイン能力を高める. また, 研究成果を口頭で発表し論文にまとめることでコミュニケーション能力を身につける. 」ということが卒研の方針です.

 要約すると, 1. 研究する(できるようになる), 2. 発表する(できるようになる), ということです.

 この目的を達成するためには, 1「文献調査, 実験, 数値計算, 理論」, 2「文章執筆およびプレゼンテーション作成, 口頭発表, 質疑応答」が必要です. 研究室配属されてから, それぞれの能力を習得(修得)してもらいます.  

研究テーマ

 電力変換制御工学に関連した内容から研究テーマを創出します. 配属された卒研生の希望と南の考えの中で決めていく予定です. 大まかには以下の3種類を想定しています.

電力変換回路

  電気の形を異なる電気の形(例えばDC-AC, AC-DC, DC-DC(昇圧, 降圧)など)に変える回路に関するテーマ.

測定回路および制御回路

  電力変換回路における電流, 電圧などの測定を行ない, 制御系にFBするための装置やデバイスの開発および評価に関するテーマ.

数値解析および理論解析

  実験を実施する前段階として結果を予想するための解析, または実験結果を裏付けるための解析に関するテーマ.または, その解析手法の評価に関するテーマ.  上記テーマの詳細は, ここでは割愛します. 詳しく知りたい方は直接聞きに来て下さい.

   これまでの卒業論文のタイトル  

輪講(勉強会)

 4年生後期のプレ卒のところでも述べたように, 5年生前期の間は輪講を続けます. 後期からは, 4年生の輪講に参加して, 聞き役(指導役)をして下さい.

 これまでの輪講(勉強会)  

研究会(研究進捗報告会)

 普段は, 私と個別ディスカッションを通して卒研を進めてもらいます. その中で, 同じ研究室のメンバーにも, 自分が今, どのような研究を進めているのかを発表してもらいます. 発表を通して, 発表の仕方の練習になったり, 分からない聴衆(研究室のメンバー)への説明の仕方の練習になったりと, いろいろ勉強になります.

 さらに, 神戸高専 電気工学科では, 本研究室の他にも電力変換制御工学の研究室(道平研究室と茂木研究室)があります. これらの3研究室で, 合同研究会を実施しています. この研究会の意図も研究室内の研究会と同じように考えています.

卒研に充てる時間

 卒研に充てる時間は, 頭の中で考えている時間を含めると, 四六時中となってしまうので, ここでは, 研究室(卒研室, 実験室など)で実働にあたる時間について述べます.

 神戸高専の制度上, 時間割に「卒業研究」というコマがあります. この時間は最低限, 研究室に居て下さい. もちろん他の科目と同様に出席も取ります. この時間を利用して, 各自の実験などに加えて, 輪講や研究会(研究進捗報告会), 個別ディスカッションなどを実施します.

 しかし, 卒研を進める上で, この時間割の時間だけでは, 到底足りません. この時間の他にも, 放課後や空き時間を利用して卒研を進めて下さい. 5年生は時間割の空き時間が多くあります. その時間を自分で考え, 有効に使って下さい. もちろん,来たいときに来て, 休みたいときに休んで下さい. ただし, 全く連絡がなく居ないことが多いと, 心配しますので, あらかじめ長期で休む場合はその予定をお知らせ下さい.

 自分の時間を自分で管理することも研究を実施する上で必要な能力になります. 遊ぶときには遊ぶことに集中する, 仕事(勉強や研究)をするときには, 仕事に集中する. 生活にメリハリをつけて下さい.

おわりに

 本ページに書いたことは, あくまで一教員・一研究者としての意見に過ぎず, 神戸高専, 学科の意見ではありません. また, 教員としても研究者としてもまだまだ未熟ですので, 今後の経験を通じて, 卒研についての考え方を随時, 改善していきます.


2015年3月17日 南 政孝 

2014年度

はじめに

 本ページは, 神戸高専 電気工学科4年生以下の学生で, 本研究室への配属を検討している方に向けたメッセージです. そのため, 5年生の卒業研究(以下では, 卒研と略する. )の内容がほとんどです. 専攻科から本研究室の配属を検討している人は個別に対応しますので, ご一報下さい.

卒研の目的

 卒研の目的は何か?

 シラバスによると, 「特定のテーマを設定し, 授業等で修得した知識と技術を総合して自主的かつ計画的に指導教官のもとで研究を行う. 研究を通じて, 問題への接近の方法を理解し, 文献調査や実験, 理論的な考察などの問題解決の手順を修得して, 総合力およびデザイン能力を高める. また, 研究成果を口頭で発表し論文にまとめることでコミュニケーション能力を身につける. 」ということが卒研の方針です.

 要約すると, 1. 研究する(できるようになる), 2. 発表する(できるようになる), ということです.

 この目的を達成するためには, 1「文献調査, 実験, 数値計算, 理論」, 2「文章執筆およびプレゼンテーション作成, 口頭発表, 質疑応答」が必要です. 研究室配属されてから, それぞれの能力を習得(修得)してもらいます.

研究テーマ

 電力変換制御工学に関連した内容から研究テーマを創出します. 配属された卒研生の希望と南の考えの中で決めていく予定です. 大まかには以下の3種類を想定しています.

電力変換回路

  電気の形を異なる電気の形(例えばDC-AC, AC-DC, DC-DC(昇圧, 降圧)など)に変える回路に関するテーマ.

測定回路および制御回路

  電力変換回路における電流, 電圧などの測定を行ない, 制御系にFBするための装置やデバイスの開発および評価に関するテーマ.

数値解析および理論解析

  実験を実施する前段階として結果を予想するための解析, または実験結果を裏付けるための解析に関するテーマ.または, その解析手法の評価に関するテーマ.  詳細は, 直接南まで聞きに来てください.

輪講(勉強会)

 卒研の一環として, 全員に関連する分野の輪講(勉強会)を実施します. 輪講では, 毎回交代で卒研生が講師を務めます. 他の卒研生と南はその講義を受けて, 全員で質問や議論を交わして進めます. この輪講は, 特別な事情がない限り1年を通して進めます.

卒研に充てる時間

 卒研に充てる時間は, 頭の中で考えている時間を含めると, 四六時中となってしまうので, ここでは, 研究室(卒研室, 実験室など)で実働にあたる時間について述べます.

 神戸高専の制度上, 時間割に「卒業研究」というコマがあります. この時間は最低限, 研究室に居て下さい. もちろん他の科目と同様に出席も取ります. この時間を利用して, 各自の実験などに加えて, 輪講や研究会(研究進捗報告会), 個別ディスカッションなどを実施します.

 しかし, 卒研を進める上で, この時間割の時間だけでは, 到底足りません. この時間の他にも, 放課後や空き時間を利用して卒研を進めて下さい. 5年生は時間割の空き時間が多くあります. その時間を自分で考え, 有効に使って下さい. もちろん,来たいときに来て, 休みたいときに休んで下さい. ただし, 全く連絡がなく居ないことが多いと, 心配しますので, あらかじめ長期で休む場合はその予定をお知らせ下さい.

 自分の時間を自分で管理することも研究を実施する上で必要な能力になります. 遊ぶときには遊ぶことに集中する, 仕事(勉強や研究)をするときには, 仕事に集中する. 生活にメリハリをつけて下さい.

おわりに

 本ページに書いたことは, あくまで一教員・一研究者としての意見に過ぎず, 神戸高専, 学科の意見ではありません. また, 教員としても研究者としてもまだまだ未熟ですので, 今後の経験を通じて, 卒研についての考え方を随時, 改善していきます.


2014年3月5日 南 政孝 

2013年度

はじめに

 本ページは, 神戸高専 電気工学科4年生以下の学生で, 本研究室への配属を検討している人に向けたメッセージです. そのため, 5年生の卒業研究(以下では, 卒研と略する. )に関連した内容が多くなります. 専攻科で本研究室を検討している人は個別に対応しますので, ご一報下さい.

卒研の目的

 卒研の目的は何か?2013年のシラバス によると, 「特定のテーマを設定し, 授業等で修得した知識と技術を総合して自主的かつ計画的に指導教官のもとで研究を行う. 研究を通じて, 問題への接近の方法を理解し, 文献調査や実験, 理論的な考察などの問題解決の手順を修得して, 総合力およびデザイン能力を高める. また, 研究成果を口頭で発表し論文にまとめることでコミュニケーション能力を身につける. 」ということが卒研の方針です. 要約すると, 1. 研究する(できるようになる), 2. 発表する(できるようになる), ということです.

 この目的を達成するためには, 1. 「文献調査, 実験, 数値計算, 理論」, 2. 「文章執筆およびプレゼンテーション作成, 口頭発表, 質疑応答」が必要です. 研究室配属されてから, それぞれの能力を習得(修得)してもらいます.

スケジュールと卒研内容

 上述の項目を達成するために, 2013年度は, 以下のようなスケジュールを考えています.

 研究室配属(4月)から夏休み(7月下旬)まで

 いきなり, 研究を扱うのではなく, これまでの勉強や実習で学んできたことを活かして(思い出して), 課題に取り組んでもらいます. ここでは, 卒研準備課題と呼びます. 2013年度の卒研準備課題は, 電源回路, 発振回路, C言語による数値計算(Runge-Kutta法), 半導体素子(MOSFET)の静特性, ゲートドライブ回路(フォトカプラ)です.

 それぞれの卒研準備課題について期間を設けて, 最終日には, 各人に発表を行なってもらいます. 発表時には, 卒研報告書を書く練習として, 資料を準備してもらいます.

 また, 並行して, 全員に関連する分野の勉強会を実施します. 勉強会は輪講形式で行ない, 毎回, 卒研生が講師を務めます. この勉強会は, 特別な事情がない限り1年を通して進めます.

 夏休み(7月下旬)から中間報告会(10月中旬)

 卒研準備課題を通して, 理論, 実験, 数値計算を学んだ卒研生に, 具体的な研究テーマを設定し, 取り組んでもらいます. (研究テーマに関しては, 後述します. )  夏休みですので, それぞれの計画に合わせて進めてもらいます. そのため, それぞれの状況報告などは個別に行ないます.

 9月からは, 中間報告会に向けて, 夏休みの成果をまとめます. この成果次第では, (神戸高専 電気工学科の代表として) 外部の研究発表会に推薦される可能性がありますので, 全力を尽くして下さい.

 中間報告会(10月中旬)から年末

 中間報告会で質問を受けた内容を含めて, 今後の課題を明確にし, 年末までの研究計画を立てます. そして引き続き, 研究に取り組んでもらいます.

 年末から最終報告会(2月下旬*)

 年末までの研究経過状況およびその成果を鑑みて, 卒研としてどのようにまとめるかを決定します. そして, 卒研報告書の執筆および最終報告会の資料作成に移ります. 成果が不十分であれば, 状況により実験や数値計算を並行して行ないます.

 卒研報告書を完成させ, 最終報告会で十分な質疑応答ができれば, はれて神戸高専卒業となります. (ただし, 単位が足りていれば…)

 *卒業研究報告書の提出も同時期

研究テーマ

 基本的には, 電力変換制御工学に関連した内容から研究テーマを創出します. 卒研生の希望や南の考えの中で決めていく予定です.

卒研室にいる時間

 「いつ卒研室に居なければいけませんか?」や「夏休みはありますか?」という質問を受けることがあります. 時間割の卒研の時間は, 最低限, 卒研室および実験室に居て下さい. 5年生は時間割の空き時間が多くあります. その時間を自分で考え, 有効に使って下さい. もちろん, 夏休みは来たいときに来て, 休みたいときに休んで下さい. ただし, 全く連絡がなく居ないことが多いと, 心配しますので, あらかじめ休む予定をお知らせ下さい. 自分の時間を自分で管理することも研究を実施する上で必要な能力になります. 遊ぶときには遊ぶことに集中する, 仕事(勉強や研究)をするときには, 仕事に集中する. 生活にメリハリをつけて下さい.

おわりに

 本ページに書いたことは, あくまで一教員・一研究者としての意見に過ぎず, 神戸高専, 学科の意見ではありません. また, 教員としても研究者としてもまだまだ未熟ですので, 卒業研究のスケジュール, 内容(特に卒研準備課題), 考え方を随時, 改善していきます.


2013年6月14日 南 政孝